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同点弾にバー直撃砲…異彩放った湘南MF鈴木冬一は“vs仲川”も完遂「動画で分析できていた」

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同点ゴールを叩き込んだ湘南MF鈴木冬一

[7.8 J1第3節 横浜FM3-2湘南 ニッパツ]

 守れば昨季のJリーグ最優秀選手と互角に渡り合い、攻めれば無尽蔵な運動量からオーバーラップを連発して得点もマーク。横浜F・マリノスに惜しくも敗れた湘南ベルマーレだったが、20歳のMF鈴木冬一が放った存在感は絶大だった。

 相手はJリーグ王者の横浜F・マリノス。左ウイングバックのポジションを任されたからには、最も優先すべきミッションは明らかだ。マッチアップの相手はFW仲川輝人。昨季のJ1リーグ15ゴールという結果で最優秀選手賞と得点王をダブル受賞し、日本代表に上り詰めたアタッカーを抑える使命を自覚していた。

 もともと対人戦には定評のある鈴木だが、昨年10月19日に同じニッパツ三ツ沢球技場で行われた前回対戦では、自身が仲川にかわされ先制弾を献上。試合後には「1点を防げるような選手になりたい」とさらなる決意を固めており、再戦となったこの日はさらに入念な準備をして臨んでいた。

「試合前にしっかりと仲川選手の動画を見て、しっかり自分の中で分析できていた」。そんな言葉どおり、鈴木は「守備のところで裏を取ってくるタイミング、逆サイドからクロスに侵入してくるところ、ボールを持った時の1対1の対応」をしっかりと頭に叩き込み、自身のプレーにも落とし込んだ。

 その結果、相手が3枚替えで仲川を左サイドに回した後半19分までの間、横浜FMの目立った決定機はFWエジガル・ジュニオのヘディングシュートにつながった一度だけ。前半8分にMFマルコス・ジュニオールへのファウルでイエローカードを受けていたことも踏まえれば、以降は上出来すぎる対応だった。

「仲川選手が松原選手(DF松原健)と良い関係で来るのもわかっていた。自分の中で分析しつつ、隣にいる山田(直輝)選手とうまく連係して抑えられたと思う」(鈴木)。

 また、試合前から予想していたという「後半ラスト15分はオープンな展開になる」という時間帯では、攻撃面でも次々と見せ場をつくっていた。

 まずは1-2で迎えた後半34分、MF岡本拓也のクロスにファーサイドで反応し、左足ダイレクトでゴールネットに突き刺した。「岡本選手と目が合ったと思ったけど、実際は見てなかったらしいです」。そんなジョークも口にした鈴木だったが「最近、逆サイドが持った瞬間に速く上がることを意識していた」という姿勢が大きな成果に結びついた。

 さらに2-3で迎えた後半45分には、相手に狙いを絞らせないドリブルからDF松原健を軽やかにかわし、ペナルティエリアを切り裂いて強烈な左足シュート。GK梶川裕嗣に触れられてクロスバーに弾かれたものの、相手エースのマークをこなしていた後とは思えないような最終盤での出力だった。

「ラスト20分、オープンな展開になるのは予想していた。それが的中したと言ったらアレですが、スペースがある中で自分の武器であるドリブルやクロスをあの時間帯から発揮できたのは良かった」。

 そう手応えも語った鈴木だったが、敗戦には悔いが残っている様子だ。「連戦が続く中で最後の20分、15分で質にこだわってやっていかないと相手に上回られる。ラスト15分、20分を課題にして取り組まないといけない」と厳しく語り、さらなるレベルアップを誓った。

(取材・文 竹内達也)
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