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1年生レギュラーから中心選手へ。桐生一注目の2年生、FW寶船月斗とMF金沢康太は「育英倒して全国」

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桐生一高注目の2年生、FW寶船月斗(右)とMF金沢康太

 プリンスリーグ関東に所属する強豪、桐生一高(群馬)で1年時から先発を務める2年生コンビ。宿敵を撃破し、群馬制覇するためにはFW寶船月斗(2年)とMF金沢康太(2年)の進化が一つの条件となるだろう。

 前橋SCジュニアユース時代にU-15クラブユースの東西対抗戦、メニコンカップに出場している寶船は、昨年5月のプリンスリーグ関東・横浜FCユース戦で初ゴール。同6月の川崎F U-18戦では2ゴールを叩き出して名を挙げた。FW若月大和(現シオン)の1年時よりも技術力の高さを評価されているFWは、マルチな攻撃能力と献身的な守備を発揮。今年は前線の柱として期待されている。

 一方の金沢はセカンドボールの感覚、球際の鋭さが非常に優れたボランチだ。冷静かつ堂々とした動きが印象的。取材日に行われた2年生同士の紅白戦では、他を上回るような存在感を示していた。負けず嫌いな性格で、セカンドボールの攻防に絶対の自信を持つMFは今年、1ボランチを務めるなど中盤の要の役割を担っている。

 寶船は金沢について、「良いライバルとしてお互いに高め合っていけたらなと思っています。守備が良いので真似していきたい」と語り、金沢は寶船について「(寶船)月斗はプリンスでも点を取っているし、常にゴールを意識しているので、そういう意味では自分ももっと意識していかなければいけない」と刺激を受けていた。

 それぞれ、来年ではなく、今年からチームを引っ張っていかなければならないという自覚を持っている。昨年、プリンスリーグ関東などで貴重な経験を積んだことは確かだが、選手権予選で悔しい敗戦。先輩たちの全国出場に貢献できなかった。

 選手権予選準決勝で桐生一は宿敵・前橋育英高に0-1で惜敗。後半残り10分ほどで途中交代した金沢は、「相手の迫力とか凄かった。そこで少しビビって小さくなってしまったりしていた」と振り返る。相手の中盤にはU-17日本代表候補MF櫻井辰徳(現3年)がいたが、その精度の高さやコーチングの部分などで「差を感じてとても悔しかった」という。

 敗戦後、ピッチで自分から発信することを意識し、攻撃時の精度、判断の質、プレー強度の向上などを求めてきた。「次やる時は負けたくない」という思いを持っているMFは、再戦時にどんな状況でも怯まず、貪欲に白星をもぎ取る。目標とするプロのステージに駆け上がるためにも重要な一年。チェルシーのMFエンゴロ・カンテに憧れる金沢は、自分の武器を突き詰め、課題を改善してスカウトたちにアピールする。

 また、寶船は昨秋の前橋育英戦について、「正直、あの負け方はめっちゃ悔しかったです。(前橋育英のように)細かいところを突き詰めていかないとやっぱり勝てないのかなと思います」という。攻守における細かな精度、1本のシュートの質……。細部を突き詰める必要性を感じた。加えて、前橋育英をはじめ、群馬県内のライバルに勝利し、全国に出場するためにはFWの自分が打開し、ゴールを決めなければならないと考えている。

「去年は(若月)大和さんがいたんで、助けられた部分があったんですけれども、今年からいないので、自分で打開できるようにしていきたいと思っています。去年は点が少なかったので、今年はしっかりと点を意識していきたいと思っています。何試合あるか分からないですけれどもプリンスだけで10点いきたい」。04年の早生まれで、来年のU-17ワールドカップ出場を目指す一人。先輩FW若月のように世界と戦うためにも、今年は結果にこだわる意気込みだ。

 高い目標を持つ2人は今年、主軸として桐生一を勝たせることができるか。金沢は「(昨年、)3年生と一緒に試合して、泣いている姿とかを近くで見ました。その悔しさは自分と月斗が(2年生で)一番知っているので、必ず育英倒して全国に行きたいです」と宣言。注目の2年生、寶船と金沢はそれぞれ個人としても目立つ存在となって、打倒・前橋育英、そして群馬制覇を果たす。

(取材・文 吉田太郎)
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