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再開初戦は気付きの多い試合に。前橋育英はサッカー、それ以外の部分も突き詰めて冬へ

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名門・前橋育英高を率いるMF熊倉弘貴主将

[7.11 練習試合 前橋育英高 0-1 桐生一高 前橋育英高高崎G]

 久々の対外試合で気付かされることがあった。名門・前橋育英高(群馬)のAチームは対外試合再開初戦を0-1で終えた後、グループ、チームではなく個々での戦いになってしまったことについて、山田耕介監督から指摘された私生活の部分についてなど選手同士で再確認。今年は注目司令塔MF櫻井辰徳(3年)やCB大野篤生(3年)、FW中村草太(3年)、MF熊倉弘達(3年)、MF熊倉弘貴主将(3年)と昨年からの経験者を複数残し、強力な陣容だが、この日は25分×2本の短期決戦で力を十分に発揮することができなかった。

 熊倉弘貴は「(山田耕介監督から)『練習だけじゃなくて、学校の雰囲気とか、私生活の部分で抜けていた部分があるんじゃないか』と指摘されて、各選手で思い当たる部分も多分あったと思います。サッカーだけやっていれば良いという訳じゃないので、自分たちでサッカーの部分から、そしてピッチ外の部分も突き詰めていかないと大事な試合の時にボロが出ると思っています」。もちろん、フワッとした空気感があった訳ではないが、より突き詰めなければならないことを各選手が確認する試合となった。

 この日の1本目は宿敵・桐生一高の4-1-4-1システムにハマってしまう形に。熊倉弘達らが個で突破するシーンがあったものの、全体的に選手間の距離が開き、本来のトントントンと流れるようなパスワークが見られたシーンはわずかだった。今年は個での突破も、グループでの崩しもできる選手が多いが、それが1本目は個での突破ばかりに。局面、局面で数的優位を作ってくる桐生一に封じられ、カウンターから失点して0-1で折り返した。

 2本目は開始直後に左SB中島修斗(3年)のクロスから中村が決定的なヘッド。ボランチの櫻井が右サイドへ開くなど変化を加えながら攻めて主導権を握る時間を増やした。だが、チームが好転してきたところで試合終了。悔しい敗戦となった。

 短期決戦での敗戦だったが、熊倉弘貴は「25分の中で自分たちのやりたいことができなければ、それはダメなのかなと思っています」と言い訳をしなかった。その上で「気付ける部分が多かったので、それは良かったかなと。気付けた部分をまた練習でしっかりと落とし込んでいければ、またさらに強くなって行けるかなと思います」と強くなるための糧にすることを誓っていた。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で地元開催のインターハイが中止となり、大目標の一つが失われた。自分たちには選手権がある、と切り替えてトレーニングしていたが、それでも「ちょっと難しい部分がありました」と熊倉弘貴は言う。だが、紅白戦ではなく、4、5か月ぶりに対外試合ができたことは明るい材料。ここから試合勘を取り戻しながら、団結して目指すところへ向かっていく。

 選手権へ向けたチーム作りについて、熊倉弘貴は「まず前育のスタイルである攻守の切り替えの速さだったり、全員でハードワークしたり、そこを落とさずに自分たちのやりたい繋ぐサッカーだったり、そういう質を高くしていければ、今日みたいにプレッシャーが速くても剥がせたり、攻守の切り替えで相手よりも数的優位を作れたりするので、そこをもっと上げていかないといけない」と力を込めた。

 目標は選手権予選の7連覇、そして全国制覇。新型コロナウイルスの感染が再び拡大傾向にあるなど情勢はまだまだ楽観視できるものではないが、熊倉弘貴は「3年間最後なので、悔いのない3年間だったなと思えるようにしたいです」と語る。ブレずに努力し続けること。そして、悔いを残すことなく、高校3年間を終える。

(取材・文 吉田太郎)
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