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打倒・青森山田の挑戦続ける八戸学院野辺地西、アウェーで体感した宿敵との戦いを今後の糧に

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八戸学院野辺地西高は厳しいチェックで青森山田高に対抗

[7.26 青森県高校夏季競技大会決勝 青森山田高 4-0 八戸学院野辺地西高 青森山田高G]

 スコアは0-4。八戸学院野辺地西高の三上晃監督は試合後、素直に敗戦と青森山田高の強さを認めていた。「ヘディングでも主導権を取れないし、セカンドでも主導権を取れないし、技術でも……。昨年よりも強いですよ」。だが、青森山田のトップチームとアウェーで真剣勝負ができたことを今後へのプラスアルファにする。

 序盤から青森山田は縦に速い攻撃とセットプレーで野辺地西ゴールをこじ開けに来ていた。これに対し、「昨年、(100分間を)0-0でやれた手応えのある中で子どもたちは入った」(三上監督)という野辺地西は、昨年度の選手権予選決勝で青森山田を無得点に封じているGK鈴木奏汰主将(3年)が好守。また、ゴール前での身体を張った守備や鋭いプレッシングなどで立ち上がりの失点を回避したように映った。

 だが9分、相手のクロスを警戒するあまり、俊足SBタビナス・ポール(3年)に対する寄せが甘くなった隙を突かれて失点。それでも、以降はCB堀田玲穏(3年)とCB風穴真苑(3年)の両DFを中心にチャレンジ&カバーを徹底し、PAでの粘り強い対応もあって1点差のまま食い下がる。

 選手権優勝世代の青森山田と1-2の接戦を演じた一昨年度選手権予選決勝や、0-0でPK戦まで持ち込んだ昨年度選手権予選決勝同様に、野辺地西は守り一辺倒ではなく攻めにも出ていた。鈴木がロングキックを敵陣深い位置へと蹴り込み、セカンドボールの攻防でも健闘。2年生MF佐々木琉矢がキープ力を発揮したほか、仕掛けのパス交換にトライし、ロングスローやセットプレーでゴール前のシーンを作り出した。

 青森山田は敵陣ゴール前でミスが出るなど思い通りに行かない部分も。一方の野辺地西は0-1で前半を折り返し、後半半ばまで再び接戦を演じていた。だが、後半15分、スルーパスで背後を突かれると、CBが対応しながらも前に出られてPKを献上。その後点差を広げられたが、結果的にこの2点目の失点が痛かった。

 PKのシーンは、他チームの選手が相手であれば止められていたかもしれない。だが、青森山田の選手はそこで強引に一歩前に出て、シュートまで持ち込もうとしてくる。三上監督はそのPKを責めるのではなく、「やって初めて分かることができる。(青森山田は)他のチーム、選手よりも一枚上だということが感じられれば」と経験値として活かす考えを口にしていた。

 全国出場権のかかっていなかった今大会、指揮官は「山田とやるところが一番の目標でしたし、どのくらいできるか体験できた。アウェーでできたのは収穫です。子どもたちも足りないところが見えたと思う」。昨年の好勝負を見て、野辺地西へ進学した中学生も多いという。日々の選手間競争やリーグ戦で大きく成長してくる宿敵に負けないような成長スピードで進化することができるか。20年間にも渡って県内公式戦で勝ち続けている青森山田の対抗勢力1番手、野辺地西がこの日学んだことも力に冬へ向かう。

(取材・文 吉田太郎)
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