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鳥栖DF中野伸哉が16歳でJデビュー! 金監督「守備固めで戦力として使った」

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アダイウトンとマッチアップしたサガン鳥栖DF中野伸哉

[8.1 J1第8節 FC東京2-3鳥栖 味スタ]

 相手の圧力が高まった終盤の緊迫した時間帯、サガン鳥栖金明輝監督は16歳のDF中野伸哉をJリーグデビューのピッチに送り込んだ。試合後、指揮官は「守備固めで戦力として使った」と起用の意図を説明した。

 3-1で迎えた後半34分、金監督は残り3枚の交代カードを一気に使い、38歳のMF梁勇基、大阪体育大出身ルーキーのFW林大地、U-19日本代表に飛び級選出されている中野を同時に投入した。昨年3月にはMF松岡大起が17歳9か月1日でデビューし、クラブ史上最年少出場記録を打ち立てていたが、中野はそれを更新する16歳11か月15日での初出場となった。

 強力な攻撃陣を擁するFC東京とのアウェーゲームにおいて、開幕8戦目での待ちに待った今季初勝利が間近に迫っているというシチュエーションからも伝わるように、単に「試合経験を積ませてあげる」という起用ではない。試合後、金監督に中野を投入した意図を問うと次のような答えが返ってきた。

「中野に関しては皆さんが思っている選手ではない。トップチームでもずっと長く練習をやってきて、チアゴ・アウベスや小屋松とも十分に対応できている。相手がパワーを持ってきているのはわかっていたので、守備固めで戦力として使った」。

 その言葉に続いては「飛び級で日本代表にも選ばれていて吸収力も早いので、消化試合で出すのではなく、緊迫した状況で出すことが選手を成長させるし、一歩前に進めるためにもなる」とも語っていたが、それはあくまでも副次的な要素だという。その結果、中野はFWアダイウトンら強力攻撃陣とマッチアップしたが、対人ではほぼ後れを取ることなく勝利に貢献した。

 鳥栖は昨年度の多額の赤字計上により「育成型クラブへの転換」というテーマを掲げており、竹原稔社長がたびたび報道を通じて積極的にアピールしている。またメンバー表を見ても、開幕スタメンの松岡やMF本田風智、この日先制ゴールを決めたFW石井快征、大卒ルーキーのDF森下龍矢や林ら多くの若手選手を起用しているというのは事実だ。

 ところが鳥栖アカデミーを全国で戦える強豪チームに育て上げた実績を持ち、昨年5月からトップチームの指揮を執るようになった金監督は「僕自身は育成型クラブというのを掲げていない。例えば梁は(今年度)39歳で僕と同い年です。彼らに失礼なのでそういった言葉は使わない」と説明する。

 その上で「構成上はアカデミーの選手が多いので、誰かが出ればアカデミー選手を使っているということになってしまうが、良い選手がたくさんいて、もっといいプレーができる選手がいれば使いたいくらい」と苦笑い。使える試合で使ってあげるのではなく、試合で使えると判断したからこそ緊迫した場面でも使う——。そうしたフラットな選考で成長を促していく姿勢を強調した。

(取材・文 竹内達也)
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