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茨城会場は“無名校”の選手も全力で挑戦。大学トライアルは“高校生救済”以外の面でも貴重な機会に

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茨城県4部から挑戦したGK池田兼太朗(玉造工高、右)も大学トライアルでアピール

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で夢に向かって実力をアピールできる場を失った高校3年生のサッカープレーヤーを応援するプロジェクト、「高校生サッカー・大学合同トライアル-THE CHALLENGE- supported by 森永乳業」は8日、ひたちなか市のひたちなか地区多目的広場で茨城県会場の合同トライアルを実施した。

「高校生サッカー・大学合同トライアル-THE CHALLENGE- supported by 森永乳業」は、関東1都7県で合同トライアルを開催中。茨城県会場にはJクラブユースや街クラブ、高体連の強豪校などから、大学サッカー関係者へのアピールを目指す36選手が参加し、25分×4本の紅白戦を実施した。

 おそらく、各選手のアドレナリンが最も出ていたのが1本目。立ち上がりから各選手が前へ、前へとエネルギッシュなプレーを連発していた。右SB谷口翔太郎(鹿島アントラーズユース)やMF関根悠斗(古河一高)がDFのマークを強引に振り切って突破。また、FW押久保弘人(鹿島学園高)が非常に力強い動きでゴールを目指していた。

 特にCB大津平嗣(学法石川高)が目立つプレー。見せ場のヘッドはわずかだったものの、出足の良い守備やサイドチェンジで存在感を放った。また、声で良い雰囲気を作っていたCB沖田凌介(第一学院高)が正確な縦パスを連発。攻守両面で光るCB吉田健人(鹿島学園高)や技巧派レフティーMF和田恭介(水戸啓明高)も特長を発揮していた印象だ。

 2本目は昨年度の選手権経験者、MF楠原秀翔(明秀日立高)や大津がクオリティの高い動き。一方で全体的に縦へ速い攻防となる中、各選手のミスも増えてしまっていた。3本目、SB光安皇貴(羽黒高)と和田が右サイドを攻略し、FW高野匡哉(第一学院高)が初ゴール。さらにFW堀江海翔(明秀日立高)が和田とのコンビネーションから右足でゴールを破る。そして、4本目にはMF中村惇志(水戸葵陵高)の折り返しからMF藤原楓馬(枚方FC)がゴール。結果を残した選手、自分の強みを発揮した選手、思うようなプレーのできなかった選手とそれぞれだったが、それでも所属チームの異なる選手たちがピッチ外を含めて協力しながら、関係者にアピールしていた。

「高校生サッカー・大学合同トライアル-THE CHALLENGE- supported by 森永乳業」は、“普段ならば”見られる機会の多い強豪チームの選手たちの“救済”以外の面でも、高校生にとって貴重な機会となっている。

 関西屈指の強豪、びわこ成蹊スポーツ大・北村裕貴スカウトは「普段、色々な大学さんはプレミアリーグやプリンスリーグ中心にターゲットにすると思います。でも、この企画は(県下位リーグなど)なかなか見てもらえない選手が見てもらえている。これは選手の可能性が広がる」。Jクラブユースや全国区の強豪に加え、“無名校”の選手も大学サッカーの強豪やJリーグのスカウトの目に触れるチャンス。前日の群馬会場にはJ5クラブのスカウトが訪れ、この日も10大学の強化担当者が高校生の動きをチェックしていた。

 茨城県からの推薦で参加したGK池田兼太朗(玉造工高)は、茨城県4部リーグが主戦場。「サッカーを考えて進学したいので、良い機会だと思ってトライアウトに参加しました」という池田は184cmの長身の持ち主で、得意のビルドアップや至近距離のシュートストップなどでアピールした。

 そして、「少しは自分の良さも出せたと思います。(自分は)4部で下の方にいるので、1部の選手とか対戦する機会とか少ないと思うんですけれども、こういう機会があって良かったです」。高い安定感を見せたGK櫻井絢介(鹿島学園高)ら強豪チームの選手たちとともにプレーしたことで学んだこともある。

「チームではなかなかない激しさや強さがありました。この経験を活かして、今日できなかったこととか、コミュニケーションとか、次またこういう機会があればチャレンジしたいですね」。大学トライアルは、池田のように“無名校”の選手が“名を売る”チャンスでもあり、成長するチャンスでもある。今後、神奈川県、東京都、千葉県、埼玉県の会場に参加する選手たちも有名・無名関係なく、まずは自分に自信を持って挑戦し、力を出し切ること。それが自身の可能性を広げ、今後への学びにもなるはずだ。

(取材・文 吉田太郎)
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