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[和倉ユース]決勝で5-0。青森山田が立ち向かってくる相手を全て跳ね除け、初優勝!

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昨年のプレミアリーグ王者・青森山田高が予選リーグから6戦全勝で初優勝

[8.5 和倉ユース大会決勝 青森山田高 5-0 履正社高 城山陸上競技場]

 青森山田が5-0V! 第8回和倉ユースサッカー大会2020決勝が5日、七尾市城山陸上競技場で行われ、19年プレミアリーグ優勝の青森山田高(青森)が履正社高(大阪)に5-0で快勝。予選リーグから6戦全勝で初優勝を飾った。なお、青森山田のU-17日本代表MF松木玖生(2年)が大会MVPに輝いている。

 予選リーグでの対戦は青森山田が2-1で勝利。履正社は雪辱を期して準々決勝、準決勝を良い形で勝ち上がってきた。だが、青森山田も大会中に自分たちのベースとなる守備、運動量のレベルを再確認。それを決勝で存分に表現して、インパクトのあるスコアで勝利した。

 前回の対戦は青森山田が開始6分で2得点。この決勝でも序盤から右SB内田陽介(3年)のロングスローなどからセットプレーで履正社ゴールを脅かす。だが、履正社はGK杉村斗磨(3年)の思い切った飛び出しやCB李泰河(3年)の高さによって序盤の失点を回避する。

 そして、グラウンダー勝負に出ようとするが、青森山田は今大会“MVP級”の働きを続けたMF安斎颯馬(3年)と松木、MF宇野禅斗(2年)の中盤中央の3選手が履正社の前進を許さない。しつこく相手にプレッシャーを掛けてボールを奪い、速攻に繋げた。

 青森山田の黒田剛監督は「『リベンジなんて簡単にやらせるか』という受ける形ではなく、逆にそれを飲み込んでいくくらいの気持ちで入っていた」。“青森山田らしい”メンタリティー、球際の強さを持って試合を進めた青森山田が徐々に履正社を飲み込んでいく。15分、松木の展開から左MF小原由敬(2年)がクロス。ゴール前に安斎と松木がパワーを持って飛び込むと、ファーサイドでこぼれ球に反応したMF藤森颯太(2年)が左足ボレーシュートをゴールに突き刺した。

 履正社はその直後、右FKにCB舩田陸人(3年)が飛び込むがわずかに合わず、青森山田GK韮澤廉(3年)がキャッチ。この後、履正社はセカンドボールが拾えず、攻撃のテンポも上がらない。準決勝で存在感を示したMF平岡大陽(3年、湘南内定)とMF赤井瞭太主将(3年)が中心となって必死に戦うも、流れを引き寄せることができなかった。

 そして24分、青森山田が追加点を奪う。敵陣でセカンドボールを拾うと、藤森がPAのFW名須川真光(2年)へパス。DFを背負ってボールを受けた名須川が鮮やかなターンでDFを抜き去り、そのまま右足で決めて2-0とした。

 履正社はなかなか前線までボールを運ぶことができず、ロングボールは青森山田のCB藤原優大主将(3年)とCB三輪椋平(2年)に跳ね返されてしまう。後半立ち上がりには平岡を下げて流れを変えようとしたが、青森山田は藤原の高精度フィードを起点とした攻撃から松木が決定的な左足シュートを放つなど、試合の主導権を握り続ける。

 履正社はMF井谷洸一郎(3年)のドリブル突破が効いていたものの、逆に3点目を失ってしまう。16分、青森山田は大型左SBタビナス・ポール(3年)のアーリークロスをファーサイドの藤森がマイナスの折り返し。ゴールエリアへと飛び込んだ名須川がゴールネットを揺らす。一度はオフサイドでノーゴールとなったが、判定が覆り、3-0。履正社はこの失点で意気消沈してしまった。

 青森山田は21分、安斎が獲得したPKを藤原が右足で決めて4点目。24分にはPAでこぼれ球を繋ぎ、最後は安斎の落としを受けた松木が左足で5点目を奪った。青森山田は予選リーグで続いていた失点を断ち切り、準々決勝以降3試合連続となる完封勝利。打倒・青森山田へ闘志を燃やしてくる相手を封じ込んでの優勝だ。黒田監督は「やっぱり守備がキチッとしていれば、攻撃は表裏一体で上手くいくもので良いボールの奪い方ができたから良い攻撃に転じることができたというのが、自分たちでもよく理解できた部分だと思います」と頷いた。

 今大会で新たに先発を務めた選手もいたが、チームメートやコーチ陣に指摘されながら、守備の強度や運動量を向上。黒田監督は「どれくらい走ればどれくらいの結果が出るということ、ピンチもチャンスもキチッと凌げたり、取れたり、肌で実感していかないといけないから。最初は手探り状態でやっているところがあったけれど、最後は失点ゼロでやってくれて良かった」と微笑んだ。“青森山田のベース”を各選手が確認して大会を終えることができた。

 大会関係者の尽力、地域の協力、理解もあって開催された大会で頂点に立った。藤原は「コロナの期間とか、そういう苦しい時に取り組んだ結果が出たと思います。(公式戦が行えず、)キツい期間だったと思いますけれども、モチベーションを落とさずにやっていた結果がこの優勝に繋がったと思います。(課題が)試合を重ねるごとに改善されていって、成長も見られたと思います」と納得の表情。ただし、目指すのはあくまで選手権での日本一だ。今回、自分たちが確認したベースにプラスアルファを加えていくこと。そして、今大会決勝の5-0からまた日々成長を遂げて、選手権で大目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)
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