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“異質のテクニシャン”名経大高蔵MF岩松虎徹は自重しながらも周囲に順応し、技術力示す

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MF岩松虎徹(名経大高蔵高)は初対面の選手たちの中で順応し、技術力を発揮していた

 1都7県で全12回の開催が予定されていた「高校生サッカー・大学合同トライアル-THE CHALLENGE- supported by 森永乳業」(12日の東京2日目は雷雨中止)。参加予定選手リストの中で特に注目されていた選手が、“異質のテクニシャン”MF岩松虎徹(名経大高蔵高)だった。

 昨年度のインターハイでは、2年生ながら愛知で台頭中の名経大高蔵を牽引。全国初勝利、ベスト16進出に貢献した。19年U-16愛知県選抜、20年愛知県年間優秀選手の実績の持ち主。足の届く範囲に飛んできたボールをことごとくピタリと止め、1対1はおろか1対2でもボールを失わない。独特のリズムで相手の足を止め、突破やアイディアのあるラストパスでチャンスを作り出してしまう。
 
 昨年名を上げ、今年はより高い評価を得るのではないかと思われていた。だが、個人として、チームとしても活躍が期待されていたインターハイは中止に。アピールする場を失ってしまう。それでも東海地区屈指のMFは強豪大学から誘いを受けている模様だが、今回、「自分の力を試したいし、チャンスがあれば高いレベルでやりたい」という理由で合同トライアウトに挑戦した。

 Jクラブのスカウトからも名を知られている岩松は、1本目からボランチの位置で存在感を放つ。優れたタッチによってボールを難なく止め、狭い局面でもテクニックと身のこなしでDFをずらしてスペースを作り出していた。そして、パスを繋いで攻撃の起点に。簡単に相手の間を取ってスルーパスも通していた。

 昨年のインターハイでは相手のマークが1人であれば、思い通りに近いプレーができていたという。だが、「(3回戦の京都)橘だけボランチ2人がマンツーで来て、その2人相手にいなせなかったのは課題」。昨年、チーム内では自分が足元で変化をつける必要性があった。その分、判断が遅れてしまう課題も。今年はコロナ禍で自分と向き合う時間が増え、判断スピードの向上とフィジカル強化に取り組んできたという。

 この日、取り組んできた成果も出てか、持ちすぎることなくボールをさばき、サイドチェンジで局面を変えていた。また守備でもボールを奪うシーンを増加。一方でこの日は急造チームだったため、名経大高蔵のように選手同士の距離感は近くなかった。本人は初対面の選手たちでもある程度順応し、技術面で差をつけられたことを実感していたが、“こねくりまくる”“個で圧倒する”と言えるほどのボールキープでDFをこじ開けているいく姿は見られず。最後は参加選手の都合によってCBで出場し、苦戦したこともあってインパクトには欠けたかもしれない。

 公式戦から遠ざかり、自分を試す場も限られている。それでも、上を目指す姿勢は変わらない。「今頑張れば、大学に入った時に強豪校の子とかに今は負けているかもしれないけれど、差を縮めたり抜けるかもしれない。がむしゃらに頑張っていきたい」。武器を伸ばすこと、また課題改善に努め、より進化した姿で次の舞台に立つ。

(取材・文 吉田太郎)
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