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“刺激”を力に変えるU-16日本代表候補、再開後初の練習試合に向けて調整「存在感をアピールしたい」

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 U-16日本代表候補は19日から、千葉市の高円宮杯JFA夢フィールドでトレーニングキャンプを行っている。3日目となった21日の練習では、翌22日に控えるJクラブユースとのトレーニングマッチに向け、クロスやセットプレーのクオリティー向上に取り組んだ。

 2004年1月1日以降に生まれた選手で構成されるU-16日本代表は、来年のU-17ワールドカップを目指すチーム。森山佳郎監督のもと、11〜12月のアジア予選に向けて準備を進めている。新型コロナウイルスの影響により、今年に入って活動できない状況が続いていたが、7月22〜26日に再開後初の合宿を実施。集合時にPCR検査(あるいはSmartAmp法検査)を全員が受け、練習中もボトルの共有をしないなど、感染拡大防止に配慮しながらトレーニングしている。

 先月からようやく活動再開に至ったU-16日本代表チームだが、アジア予選までの準備は例年と異なるスケジュールとなっており、所属チームの公式戦もほとんど開催されていないため、調整不足は避けられそうにない。かといって、代表活動の中で取り組めることにも限界はある。そこで前回のトレーニングキャンプでは、指揮官は選手たちに“宿題”を出していた。

 前回合宿の最終日、森山監督はオンライン取材で次のように語った。

「W杯に行くのは本当に素晴らしいこと。選手たちが最高に楽しくて、最高に刺激を受けて、世界の相手と戦えて、こんなことじゃダメだって思えて、成長の角度が変わる場所だと思う。だからこそ絶対にそこまで辿りつかないといけない。ただ、今の状況ではとんでもなく厳しいよと伝えた」。

 その際には過去2大会の映像や、世界に羽ばたいた先輩からのメッセージビデオを見せたという森山監督。「ネガティブに捉えるのではなく、ものすごくポジティブなほうに向けられる」ような刺激を与えた上で、「W杯に行くための準備は代表に行くときだけやればいいのではなく日々にある」という意識を共有し、次に来る前までに高めてほしいポイントを落とし込んでいたようだ。

「意識を高める言葉、意識を高めるための種をまいた。あとは選手たちがその種に水をやり、栄養を与えて、自ら成長して実をつけて花を咲かせてくれることを期待するしかない。自分が毎日の練習を見られればいいけど、待ちの姿勢でみんなの努力に期待するしかない」(森山監督)。

 そうして迎えた今回の合宿は選手たちにとって、日々の努力を証明する勝負の場だ。この日の練習後にオンライン取材に応じた面々からは「どれだけやれるかで差がつくと思っていた。試合がなくてできることは限られていたけど、質や強度は一番やることを意識していた」(MF桒原陸人/G大阪ユース)、「攻撃のクオリティーや、ゴール前のラストパスをチームに戻って意識していた」(MF梶浦勇輝/FC東京U-18)といったギラギラ感のこもった言葉が聞かれた。

 また前日20日にはボローニャ所属の日本代表DF冨安健洋が練習場を訪れ、これ以上ない刺激を再び注入された。昨年9月のAFC U-16選手権予選(アジア予選の予選にあたる大会)以来、約1年ぶりの招集となったDF鈴木吏玖(JFAアカデミー福島U18)は「目標である日本代表の人からお言葉をいただけたのでかけがえない時間だった」と感激した様子。継続して代表に選ばれている周囲からも影響を受けているようで「自分がいない間に周りもどんどん成長していっているので、自分も成長角度を上げていかないといけない」と力強く語った。

 22日のトレーニングマッチ(対戦相手非公表)はそうした意識をプレーに結びつけ、予選メンバー入りに向けてアピールする絶好の機会だ。「格上のチームとやってどれだけできるかが最終予選メンバーに生き残れるかにつながる。運動量、1対1という長所を出していきたい」(桒原)、「自分の存在感をしっかりアピールしたい」(鈴木)、「難しい試合になると思うけどゴールに関わるプレーをしたい」(梶浦)とそれぞれ意気込みを語った。

(取材・文 竹内達也)

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