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旧友の活躍も刺激に。札幌内定FW中島大嘉は成長続け、「最後に選手権に出て国見町の人たちに恩返ししたい」

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北海道コンサドーレ札幌加入内定のFW中島大嘉は今冬、国見高を全国で輝かせる

 プロ入りを決めた大型ストライカーが今年、国見高(長崎)を復活させる。FW中島大嘉(3年)は1日、北海道コンサドーレ札幌新加入会見に出席。今冬、高校生活最後の選手権を控える中島は、「国見町は国見高校サッカー部が活躍すれば元気になると思う。札幌で試合に出て活躍するのも一つだと思うんですけれども、最後に選手権に出て国見町の人たちに恩返ししたい」と力を込めた。

 国見出身の両親を持つ中島は、大阪の強豪・街クラブRIP ACE SCに所属していた中学3年時に誘いを受け、国見での挑戦を決意した。「もう一回、青と黄色のユニフォームを。最近(全国に)出れていないというのは知っていたので、自分が入って自分が連れて行ったら『格好良いな』と思ってそこが大きかった」。両親の元を離れ、長崎の祖父母の家から国見へ通学。両親を知る国見町の人々から気にかけてもらいながら、選手権出場・プロ入りへのスタートを切った。

 188cmの長身と50m走5秒台の快足。素材感十分のFWの闘志に火をつけたのは、中学時代の仲間たちの活躍だ。18年度全国高校選手権で流通経済大柏高(千葉)のGK松原颯汰が1年生守護神としてブレイク。ビッグセーブを見せるなど準決勝までの4試合を1失点で凌ぎ、決勝進出した。国見に入学した際、「3年連続で選手権出て、3年連続得点王になると思っていたんですけれども」という中島は、「1年の時に颯汰が決勝に出ているのを見て、『ちょっとヤバいな』と感じて」と振り返る。

 また、同じくRIP ACEから興國高(大阪)へ進学したFW樺山諒乃介(3年)が今年2月に横浜FM加入内定。「カバが色々話題になっていて、色々な人に聞いても、『カバ、ヤバいな』となっていて、意識しているところがあって、マリノス決まったりした時も自分は刺激をもらっていました。あと、自分は(G大阪でブレイク中のFW)唐山翔自も小学校の時から知っているので、評価されているのは悔しかったですし、自分のモチベーションになりました」。旧知の選手たちの活躍が彼の進化を後押しした。

 中島は木藤健太監督ら国見コーチ陣の熱心な指導を受ける中でプレーヤーとしても、人間としても成長。木藤監督は「3年生になってから、彼の意識が非常に変わってきました」と頷く。中島は今年3月にJ1クラブへ練習参加。そこでプロという目標がより現実的なものになった。そして、新型コロナウイルスの影響による活動自粛期間に自分について考え、不足していたことを改善。7月の練習試合では高さとスピードを存分に発揮して活躍し、札幌入りに繋げた。

 その中島は札幌でスケールアップし、チームに戻ってくることを考えている。この日、札幌の竹林京介強化部長は中島を特別強化指定選手として申請中であることを明言。学校と相談した上で可能であれば、札幌に帯同する模様だ。

 国見の木藤監督も「早い段階で札幌に行って、プロのスピードに慣れることが彼の成長のために一番良いのではないか」とコメント。そして、「学校との話し合いになってくるんですけれども、可能な限り札幌でプレーをさせたいと考えています」と加えた。
 
 札幌への合流が認められれば、中島にとっては現在意識しているオフ・ザ・ボールの動きをより向上させるなど、J1クラブでより自分のストロングポイントを活かす術を身につけるチャンス。一方で、国見から一時離れることになる。今年、国見はプリンスリーグ九州へ復帰。今月5日には20年限定のスーパープリンスリーグ九州開幕を控えている。そして、10年度以来遠ざかっている選手権出場が何よりも重要。史上最多(首都圏開催移行後)となる7度目の全国制覇を本気で目指している。

 一時離脱となれば、コミュニケーション面の不安が出てくるが、中島はそれを補って余りあるほどに成長して帰ってくることを誓う。「帰ってきた時に『オマエ、誰や』と言われるくらいのレベルになって帰ってきたいなと思っています。国見が上に行くために、自分が大きく成長して全国に行けたら、行ったことが良かったと思えると思うので、今はしっかりと責任感を持ってやろうと思います」と力を込めた。

 もちろん、国見でも成長できる面がある。木藤監督は「高校生で未熟なところがまだあると思いますので、(残り半年間、国見にいる期間は)プロでやっていくためのメンタル面というところではサポートができるのではないかと考えております」。プロになること、国見を復活させることを目指して大阪から長崎の名門へ進学。プロ入りの目標を叶えた大型ストライカーは、国見の青と黄色のユニフォームを選手権で輝かせるため、日々貪欲に成長を続ける。

(取材・文 吉田太郎)
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