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[MOM3197]青森山田MF松木玖生(2年)_新エースが“狙って”ハット。上手い、強いではなく、“怖い選手”へ

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青森山田高のU-17日本代表MF松木玖生は“狙って”3得点

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.30 スーパープリンスリーグ東北第1節 青森山田高 13-1 秋田U-18 青森山田高G] 

 プレミア王者の新10番が、“狙って”ハットトリックを達成した。青森山田高のU-17日本代表MF松木玖生(2年)は前半10分、PAへ抜け出したFW名須川真光(2年)をサポートする形から1点目。さらに14分、名須川のヘディングシュートのこぼれを頭で押し込んで2点目を奪う。そして、後半10分には右中間で自ら獲得したFKを左足で鮮やかに決めて3得点。「3点は目標にしていたんで、達成できて良かったですね」と微笑んだ。

 直接FKの際、ベンチの黒田剛監督はMF小原由敬(2年)に伝言して松木へメッセージ。松木は前日のFK練習で黒田監督のアドバイスを受けながら、フカさないように踏み込む足の位置、振り上げる角度も確認していたのだという。「それをもう一回思い出して蹴れ」。ニアとファーの両方へ蹴り分けるFKを準備していた松木は、ファーへの速いシュートを選択。練習通りの一撃を見事に決めて見せた。

 前半に2ゴールを奪っても満足しなかった。3点目を獲ると決意して後半に入り、ゴールを目指し続けてハットトリック。「山田の10番は点数取ってナンボと思っているので、ゴールには貪欲に行きたい」。この日、松木は目標通りに3ゴールを奪ったほか、左足のプレースキックで3アシストも記録した。

 昨年、高校1年生の松木は春から精力的に筋力強化、増量。一時期動きが重くなっていたが、秋に身体のキレを向上させ続けて選手権での大活躍に繋げた。2年目の秋に取り組んでいることは、最も“怖い選手”になることだ。

「一番は“怖い選手”というか、上手い選手でも、強い選手でもなく、『一番アイツがゴールにいて厄介だな』というところはいつも狙っています」

 2シャドーの一角としてプレーする松木だが、守備時は1ボランチMF宇野禅斗(2年)の近くでプレーするため、ゴールまで遠い位置にいる。そこから運動量を持って敵陣ゴール前に繰り返し入っていくところは、指揮官からも求められている部分だ。黒田監督は「もっとやれるかな。ゴール前にも入っていってほしい」。本人もその動きを表現してより“怖い選手”になっていく考えだ。

 指揮官は先輩・後輩関係なく、ミスを厳しく指摘できる松木のメンタリティーを高く評価する。「今どきああいう性格の高校生は珍しいから。それでいて素直だし、人の話を聞ける」。実力、キャプテンシー、聞き耳も持つ2年生レフティー。ピッチでも一際存在感を放っているが、黒田監督は「まだまだ、もう一皮二皮剥けてきた時は面白いんじゃないかな」と要求した。

 思い切りの良さが良いところでもあるが、より確実性にこだわるようなプレーも必要。その判断、精度を上げられれば、もっと輝くことができそうだ。ゴールを連発、アシストするだけでなく、献身的な攻守でもチームを勝たせる新エース。昨年、秋から冬にかけて大きく飛躍を遂げたレフティーの今秋の進化からも目が離せない。

(取材・文 吉田太郎)
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