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難しい判定続くオフサイド…JFA審判委・扇谷氏は「インパクト」4基準を解説

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オフサイドポジションにいた選手の得点が認められるケースがたびたび起きている

 日本サッカー協会(JFA)は3日、報道陣向けのレフェリーブリーフィングを開き、今季に入って難しいジャッジを迫られる場面が相次いでいるオフサイドについて解説した。JFA審判委員会トップレフェリーグループマネジャーの扇谷健司氏は「インパクト」にまつわる規定にも着目し、4つの基準を示した。

 オフサイドに関してはVAR導入が取りやめとなった今季、J1第2節の川崎F対鹿島戦におけるDF谷口彰悟の得点、J1第11節の神戸対柏戦におけるFWドウグラスの得点、J1第13節の神戸対横浜FM戦におけるFW古橋亨梧の得点、同節のG大阪対FC東京戦におけるDF藤春廣輝のゴール取り消し、同節の柏対鹿島戦におけるFWオルンガの1点目など、誤りとみられる判定が相次いでいる。

 扇谷氏はこの日、レフェリーブリーフィングの場で「オフサイドだったのに得点が認められたシーンは何シーンか、特にJ1で見受けられる」と認めた上で「もしかしたらVARがあれば簡単じゃないかと言われるかもしれないが、ないものですから、現場の審判員がどう正しくジャッジしていくかというところでレベルを高めていかないと考えている」とクオリティー向上に意欲を示した。

 さらに続けて扇谷氏は「インパクト」に関する議論について、入念な説明を行った。

 オフサイドのルールにおいては、オフサイドポジションにいた選手がボールに触ったり、相手の行動や視線を妨げたりした場合のほか、オフサイドポジションにいた選手がボールに向かってプレーすることで他の競技者に「影響」(インパクト)を与えた場合も反則に該当する。競技規則の文言は次のとおりだ。

・自分の近くにあるボールを明らかにプレーしようと試みており、この行動が相手競技者に影響を与える。
・相手競技者がボールをプレーする可能性に影響を与えるような明らかな行動をとる。

 この「インパクト」にまつわるルールに関しては、Jリーグでも混乱が多発。この日の説明ではJ1第4節の横浜FC対仙台戦の後半アディショナルタイム4分に横浜FCのオフサイドが認められた場面、J1第6節の鳥栖対清水戦の後半28分にDFヴァウドのゴールが取り消された場面が正しい例として紹介されていたが、J1第9節の名古屋対浦和戦のFW前田直輝のゴールなど微妙な判定も起きている。

 扇谷氏はこうした事例について「今季はこうした場面が顕著に多く見られる。これまではそう多くなかった」と述べた上で「実は難しい判定」と説明。その背景にはオフサイドポジションの判断は副審が行う一方で、インパクトを与えたかの判断は主に主審が行うことになるため、「主審の考えと副審の考えが一致して初めてジャッジにつながる」という特質があることを明かした。

 またインパクトを与えたかどうかも、究極的には影響を与えられた競技者にしか分からない。そこで扇谷氏は客観的な基準でオフサイドの有無を判定するため、4つの基準を提示している。これらをすべて満たした場合にのみ「インパクト」に基づくオフサイドの判定が行われるという。それが以下の項目だ。

①攻撃側の選手がオフサイドポジションにいる
②ボールがオフサイドポジションにいる選手の近くを通過する
③オフサイドポジションの選手が影響を与えた相手競技者の近くにいる
④オフサイドポジションの選手がボールにプレーしようとしている(あるいは避ける動きをする)

 これらの基準は「世界的にもそういったルールでやっている」と扇谷氏。「できるだけゴールの範囲を大きくしたいが、できるだけ異議あるゴールは減らしていきたい」という狙いのもと、審判委員会でもレフェリーと頻繁に意見交換を行っているといい、「勉強会をやる中で、こういうことを整理しておいたほうがいい」と展望を示した。

(取材・文 竹内達也)
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