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観客入場「一律5000人がどこまで妥当か」Jリーグ・NPBが政府に要望書提出へ!

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オンライン会見に出席した村井満チェアマン(会議アプリ『Zoom』のスクリーンショット)

 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)と日本野球機構(NPB)は7日、大規模イベント開催制限を定める政府に対し、観客入場制限の緩和を求める要望書を提出する方針を決めた。現状では5000人を上限とした入場が許容されているが、スタジアム収容人員などに応じて比率(パーセンテージ)による基準を求めていくとみられる。

 両団体は同日、第15回NPB・Jリーグ連絡会議を開催。NPBの斉藤惇会長が終了後のオンライン記者会見で、早ければ8日にも要望書を提出する方針を明かした。斉藤会長は「来年の五輪、パラリンピックに向けたテストや準備も必要でしょうし、(NPBとJリーグが)スポーツイベントの開催モデルになってきているんじゃないかと思う。状況の変化に対応して、来年に向けた取り組みとして入場者数の見直しを政府関係者にお願いしたい」と理由を述べた。

 またJリーグの村井満チェアマンも「現状では5000人という入場制限が一律基準となっているが、感染状況は地域で異なる。スタジアムで言えば形状や収容数も異なる。一律基準から丁寧な対応に移行できるのではないかと思っている」と現状認識を説明。「ステップバイステップで緩和をお願いしたい。感染防止と経済活動を両睨みでやっていくことが社会におけるわれわれの一つの役割」と語った。

 Jリーグやプロ野球における観客入場制限は、政府が定める大規模イベント開催制限に伴う措置。政府は現状、9月末まで「収容率50%の範囲内で上限5000人」という基準を設定している。その後は一律基準をなくした「収容率50%」という緩和案も設定されているが、両団体側はより柔軟に要望していく構えだ。

 要望していく基準は、政府の緩和方針と同じく比率(パーセンテージ)がベースになる見込み。NPBの斉藤会長は「絶対数5000というのは理屈に欠ける。パーセンテージで考えていただければというのを入れたい」と述べた。

 もっとも上限5000人規制の背景には移動時の混雑防止もある。このことについて村井チェアマンは「感染が拡大し始めた初期の対応では大規模イベントで万単位の人が集まるマスギャザリングが懸念されていた。そこから感染ガイドラインの対応もやってきて、社会的な行動が国民レベルで取られるようになった中、一律5000人がどこまで妥当かを内部で議論していた」と経緯を説明した。

 その上で村井チェアマンは6〜7万人規模を収容できる日産スタジアムや埼玉スタジアム2002では、一律5000人基準においては着席率が10%を下回ることに触れつつ、「感染防止のため一席空けると50%。間隔を1mにしようとなると30%くらいになる。こういう状況だと濃厚接触にならないというのを検討しながら、30%になるのであればそういう数値を提案することも可能」と展望を示した。

 感染症の専門家も緩和方針に賛同した。

 東北医科薬科大の賀来満夫教授は「状況を見ながら自治体との話し合いの中で段階的に増やしていくこと、トライしていくことは非常に重要。五輪、パラリンピックに向けて大規模イベントの開催は非常に重要なテーマ」とし、「感染状況を見据えながらではあるが、入場を増やしていきながら、同時に感染対策を同時並行で行いながらというところで、その方向について支持させていただいた」と見解を示した。

 愛知医科大の三鴨廣繁教授は「プロ野球もJリーグもガイドラインをつくって、遵守することで、(観客の中に)クラスターと称されることは起きていないということが現実としてある」とし、「政府から言われた5000人という数字はあまり根拠はない。70000人が入るようなスタジアムで感染対策を取る中では、(規制すべき)人数は自ずと変わってくるので、パーセンテージでやっていくのが科学的な根拠のあり方」と述べた。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会にも参加している日本感染症学会理事長の舘田一博教授(東邦大)は「多数の委員の先生から感染状況を見ながら考え方を変えてもいいんじゃないかという意見が共有されている。科学的に検証しながら検討していくという方向性が提案された」と明かし、「ガイドラインに従って、少しずつ確かめながら観客を増やすことを提案していくということが大事な時期に来ている」と先を見据えた。

 Jリーグは8日、各クラブ代表者が集まるオンライン実行委員会を開き、要望書に盛り込む内容を詰めていく方針。村井チェアマンは「次のステップに進むにあたっては最終的にどこまで擦り合うかはあるが、おおむね目線は合っている」とした上で、「最終的には分科会の意見を踏まえる形になるし、われわれはそれをリスペクトする」と最終的には政府方針に委ねる姿勢を示した。

(取材・文 竹内達也)
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