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元なでしこFW永里優季が入団会見「昔からいつか男子のチームで…」夢叶え史上初の挑戦へ

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会見に出席したFW永里優季(中央)、FW永里源気(右)、永里亜紗乃(左)

 神奈川県2部リーグのはやぶさイレブンに期限付き移籍で加入した元日本女子代表(なでしこジャパン)のFW永里優季が10日、入団会見を行った。女子選手が男子1種チームに加わるという日本サッカー界史上初の「歴史的なチャレンジ」(宇野陽代表)に向け、永里は「男性の中でどれだけできるかというのは正直未知数なところが大きいと感じているが、海外での経験や積み重ねたトレーニングを生かして、チームのためにベストを尽くしていきたい」と意気込みを語った。

 なでしこジャパンの一員として2011年女子W杯優勝に貢献した永里は01年から09年まで日テレ・ベレーザ(現日テレ・東京ヴェルディベレーザ)に在籍し、その後はドイツのポツダム、ボルフスブルク、フランクフルト、イングランドのチェルシーなどでプレー。17年からはアメリカのシカゴ・レッドスターズに所属している。今回の加入は期限付き移籍で、契約上は来春のリーグ戦開幕時にレッドスターズに復帰する形となっている。

 永里は加入に際して「試合や練習をしてみないとわからない部分もあると思うけど、昔からいつか男子のチームやリーグでプレーしてみたいという気持ちがあって、いかにそこに近づけるかを目標にしてきた。このリーグで自分がどれだけできるかという意味では、まったくできないイメージはなく、やってみてわかること、やってみてできることをシャープにイメージできている。自分自身のパフォーマンス、コンディションが年を重ねるごとに上がっているので、その段階でこのチャレンジができることを楽しみにしている」と自信を示した。

 なでしこジャパンの合宿などで男子チームとの対戦は経験しているが、男子チームに入るのは初めてのこと。「男性のチームメートに助けられて良さを出せるので、男性相手にも戦えるというイメージを持っている」とメリットも語った永里は「フィジカルでは劣ると思うので、ポジショニングや細かい駆け引きをして、激しいコンタクトを受けずにプレーする部分は海外で磨いたので通用すると思っている。やりながら(通用する部分を)見つけていけたら」と先を見据えた。

 永里にとってクラブが拠点を置く厚木市は地元だ。兄のFW永里源気も今季から同じチームに所属しており、妹の永里亜紗乃もフットゴルフの選手として在籍している。永里は故郷への復帰について「世界を渡り歩いていて、所属するチームごとに地元出身選手がいて、地元のためにプレーしているのを羨ましいと思っていた。地元にプレーする場があることは子供たちにとっても夢の舞台になると思うし、目指しやすい環境になると思う。厚木で20年間育って、厚木市に育てられたと思うし、30歳を過ぎてから地元に還元したい気持ちが強くなったので、タイミングよく皆さんのおかげで厚木市に貢献できる機会をいただけたことを感謝している」と熱く思いを語った。

 またトップアスリートとして「スポーツ選手の価値」を高める必要性にも気づいたという。きっかけの一つは昨年の女子W杯で最優秀選手と得点王をダブル受賞したアメリカ女子代表のMFミーガン・ラピノーの存在。ピッチ内でトップレベルでありつつ男女格差など社会的な発信も続ける彼女の姿を見ていて「サッカー選手としてサッカーを極めていきたいと言う思いでプレーしてきたが、自分も社会に目を向けていかないといけない、社会に価値を与えるアスリートにならないといけないと感じた」と刺激を受けたようだ。

 会見には兄の源気、妹の亜紗乃も登場。優季の申し出を受けて加入に協力したという源気は「ただ思いつきで言ってるだけなら協力しなかったと思うけど、10年以上前から究極の夢は男子のチームでプレーしたいと聞いていたので、兄として妹の夢を後押ししたいと思った。技術は通用すると思うけど、フィジカルの問題は起きてくるとは思う。ただいろんな人から、その中でも永里優季ならできちゃうんじゃないかという声を聞いた。僕もそっちのほう」と太鼓判を押した。

 亜紗乃も「小さい頃に将来の夢はJリーガーと書いていた。あなた女だよね?って思いつつも、Jリーガーになりたいのかって思っていたので、一歩踏み出せたんだねと思った。びっくりもしないし、良かったねというのが大きい」と心境を吐露。兄との2トップ実現には「2人で2トップはバランスよくない。ちょっと離れていたほうがいい。距離のあるポジションがいいと思う」と現役解説者の立場から辛口コメントも飛び出したが、これには優季も「あながち間違っていない」と笑顔で同調していた。

 加入のニュースはFIFA、UEFA、AFCのSNSでも広く取り上げられ、「こんなに注目されるとは思っていなかったのでびっくりしている」というほどの話題性に。それでも新型コロナウイルスの影響で延期されたリーグ戦が今月20日に控える中、「1部昇格がノルマ」(源気)というチーにおいては元なでしこFWといえども出場機会は保証されていない。

 源気は「チームの競争がある。これからチームメートに認められ、監督に認められてからの出場になる。それはそれで僕自身も楽しみですし、一緒にプレーできたらと楽しみ」とチーム内競争を歓迎し、優季も「通用しなかったらしなかったで道もできると思うし、チャレンジする環境が整ったことが喜ばしい」と謙虚に挑んでいく姿勢を示した。

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