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マルチな大型MF桑山侃士「もっとやらないとあそこには行けない」。東海大高輪台は「東京一」の力つけて全国へ

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東海大高輪台高注目の“スーパーユーティリティー”。大型MF桑山侃士

「まず東京ナンバー1の力をつけて、しっかりと勝ち切る。そうしたら、日本一にチャレンジしよう」

 東海大高輪台高の川島純一監督は選手たちにそう言葉がけしているのだという。昨年度の選手権東京都予選は決勝で幾度もチャンスを作りながら1点が奪えず、後半アディショナルタイムの失点によって東久留米総合高に0-1で惜敗。インターハイに出場した17年度のチームなど、近年は常に東京の頂点を狙えるほどの力を有しているものの、選手権には手が届いていない。

 目標は全国制覇だ。今年はJクラブも関心を寄せる快足FW横山歩夢(3年)をはじめ、こちらも注目の大型MF桑山侃士(3年)、昨年も1トップを務めた180cmFW小林亮翔(3年)、MF小島渉(3年)ら昨年以上、全国でも十分に戦えるだけの戦力がある。だが、まずは東京を勝ち抜くために、地に足をつけて「東京ナンバー1」と言える力を身につけるという考え。現在はそのための日々を過ごしている。

 例年の東海大高輪台は個々の技術力と判断力をベースに、細かくポジショニングを修正しながら流動的に相手の守りを崩してゴールを奪うスタイルが特長。今年はスケール感が大きな一方で「滑らかさがまだ無いです」と川島監督は指摘する。

 またチームのキーマン、桑山は「リーダーシップとか発揮する人が少ないので、それは去年に比べてないところかなと思います。練習試合で桐光とか成立にも勝っていますが、気持ちのところが足りていない」と首を振る。

 その桑山は昨年の経験者。決勝の後半アディショナルタイムに喫した1点は彼のエネルギーになっている。「自分もピッチに立っていて、自分のマークで負けたので。去年の人のためにも勝たないといけない」。自分や仲間たちのためだけではない。先輩たちのためにも今年、全国へ行かなければならないと闘志を燃やしている。

 桑山は“スーパーユーティリティー”とも評されるハイレベルな万能型プレーヤーだ。トップ下でも、ボランチでも、攻撃でも、守備でも中心選手になれる注目株。「去年10番つけていた(藤井)一志とかいるんですけれども、そういう存在になりたいですね。トップ下に入れば10番とか、ボランチならば6番の役割とか、自分がそのポジションに入ることでチームに良い影響を与えたい」と誓う。与えられたポジションでチームに流れをもたらし、白星へ導く考えだ。

 今年のチームについては、桑山自身も「実力はあると思います。レベルも東京のトップレベルにあると思う。今年は結果を出さないといけないと思います」と認める。だが、勝ち切れなかった昨年の悔しさを体感しているだけに「もっとやらないと、あそこ(全国)には行けないと感じています」。目指すステージに行くために、意識を変えて練習に取り組むこと。力のある選手たちがより強い気持ちと厳しさを持ってレベルアップし、「東京ナンバー1」のチームになって東京を突破する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2020

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