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JFAアカデミー福島と1-1ドロー。浜松開誠館は自覚し、“弱いなりのサッカー”極めて選手権へ

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スピードを活かしてゴールへ迫る浜松開誠館高FW藤田愛斗(右)にJFAアカデミー福島U-18右SB竹内洲人が対応

[9.12 スーパープリンスリーグ東海第2節 浜松開誠館高 1-1 JFAアカデミー福島U-18 浜松開誠館総合G] 

 高円宮杯JFA U-18サッカースーパープリンスリーグ2020 東海は12日、第2節を行い、グループAの浜松開誠館高(静岡)対JFAアカデミー福島U-18(静岡)戦は1-1で引き分けた。

 昨年のプリンスリーグ東海覇者・JFAアカデミー福島は前日にU-19日本代表候補FW三戸舜介(3年)の新潟内定が発表されたばかり。前年の3人に続いて今年もプロ内定者を育てたJFAアカデミーに対し、浜松開誠館も今年、OBの明治大DF須貝英大が甲府入りを決めたほか、DF松原后(現シントトロイデン)らプロ選手を輩出しているチームだ。今季初戦をともに勝利した両チームの戦いはドロー決着となった。

 前半、浜松開誠館はハイラインを設定。ボールを奪うと、リスクを負ってMF岡部直弥主将(3年)や長身レフティーのCB加藤大晟(3年)らがビルドアップにチャレンジし、前進しようとする。だが、JFAアカデミーは連係してパスコースを限定し、相手のミスを誘発。最前線で巧みにボールを奪い取る三戸や中盤でダイナミックな動きを見せるMF本保奏希(2年)、左のドリブラー、MF石山莞太郎(2年)を中心にショートカウンターからチャンスを作り出した。

 4分、13分と速攻から石山が鋭くPAへ潜り込む。15分には右SB竹内洲人(3年)のクロスのこぼれを三戸がヒールショット。さらに41分には、相手DFからインターセプトした三戸が“裏街道”でDFとの1対1を制してゴールへ迫ったが、左足シュートは枠右へと外してしまう。浜松開誠館が最後の局面で譲らなかったことも確かだが、決め切るべきチャンスを逸してしまい、リードを奪うことができない。

 一方の浜松開誠館も給水明けから一つ遠い位置の選手への配球を増やし、攻撃にリズム。17分に熊取谷が左サイドから仕掛けて右足シュートを枠へ飛ばせば、20分にもMF夏目滉太郎(3年)からのパスを左サイドで受けたFW藤田愛斗(3年)がカットインシュートを枠へ飛ばす。いずれも相手GK大畑神唯(2年)の守備範囲だったが、熊取谷と藤田にボールが入ると攻撃の迫力が増した。

 試合は後半立ち上がりにスコアが動く。6分、浜松開誠館は左前方へのロングボールで熊取谷が抜け出す。DFが対応したが、エースは緩急をつけたドリブルで突破。ゴールエリアへ出したラストパスが相手オウンゴールを誘い、先制した。

 JFAアカデミー福島の船越優蔵監督は「試合前にも言っていたんですけれども、どんなに押していても、ピンチは3回あって、チャンスも3回来るよと。それをしっかり防ごうなと言っていたんですけれども、その1本でやられるというのが今のチームの甘さかなと」と指摘する。

 それでも、「90分通してしっかりプレーしようということで浮足立つことなくやってくれた」と指揮官が振り返ったように、JFAアカデミー福島は落胆することなく攻撃を続ける。そして22分、右サイドへポジションを移していた石山が竹内からのパスを受けてPAへの侵入にチャレンジ。PKを獲得する。自らキッカーを担当した石山は右足シュートを左隅へ。これは蹴り直しとなったものの、2本目を中央へ沈めて同点に追いついた。

 この後はJFAアカデミー福島が完全にボールを支配して押し込む展開。浜松開誠館も33分にカウンターから藤田が抜け出すも、シュートはCB川田啓介(3年)がブロックし、また熊取谷に良い形でボールが入ったシーンも得点には結びつかない。JFAアカデミー福島も試合終了間際に本保のドリブルシュートをゴール前の191cmFWオビ・ジェイズ・オゲンナ(3年)が合わせようとするが、ボールは浜松開誠館GK小窪太斗(3年)がキャッチ。ともに勝ち点3を挙げるチャンスを掴み取ることができず、引き分けに終わった。

 浜松開誠館の青嶋文明監督は「『青嶋、激怒』と書いておいて下さい」と苦笑。クールダウン後、ベンチでじっくりと自分たちが表現すべきことについて確認をしていた。12年のプリンスリーグ東海昇格以降、毎年上位争いを演じ、2年前に選手権初出場を果たしている浜松開誠館だが、今年は青嶋監督が「ここ5年くらいで一番弱いです」と分析するチーム。「試合によって色々な戦い方を経験させていて、今はある程度ラインを高く保ちながら試合の中で設定できるように。ただ、如何せん難しいですね」。新型コロナウイルスの影響で公式戦が少なく、サッカーを知っていく過程を踏むことができていないことも悩み。フィジカルに頼ってしまうなどサッカー感に欠ける選手が多い状況で、「グループで演奏を揃えようとか、2人のハーモニーでより良いものを出そうという発想がない」(青嶋監督)。そして、まだまだ“弱者のサッカー”ができていないことを嘆く。

 指揮官からの信頼厚い岡部は「(この日のミーティングで響いたのは、)いつも言われていることなんですけれども、『今年は弱い』と言われていて、弱いなりのサッカーをしないと。弱いなりに良いポジション取って、1対1じゃ勝てないから2対1をするとか、弱いなりのサッカーをオマエらはしていないと言われたのが一番」と説明。そして、「まず自覚する段階からはじめないといけない。自覚して自分にあったサッカーをやるべきだと思います。11人がやっていけばそういうサッカーになると思うので、突き詰めてやるだけだと思います」。静岡屈指のエース・熊取谷や岡部中心に前評判は決して低くない。だが、抜きん出た力が無いことも確か。グループ、チームで強敵を上回れるように、自分たちの力を自覚して勝つための術を磨く。

(取材・文 吉田太郎)
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