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MF稲福卓主将「一回り上げていかないと」。松本U-18は日常を変えて、積み重ねて全国レベルの基準へ

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松本山雅FC U-18のMF稲福卓主将

[9.13 プリンスリーグ北信越第2節 北越高 1-0 松本U-18 北越高G] 

 日常を変えて「育成の松本」の土台を築く――。松本山雅FC U-18はプリンスリーグ北信越昇格1年目。MF稲福卓主将(3年)は「松本レベルじゃなくて、全国レベルを基準として練習からやっています」と説明する。難関となっていた参入戦を4年連続の挑戦でついに突破。プリンスリーグの舞台に昇格した松本U-18だが、ここで満足するつもりは微塵もない。

 この日は前半15分にセットプレーのこぼれ球から失点。その後、FW近藤広琉(1年)の仕掛けなどからゴール前のシーンを作り出し、後半は「守備の球際のところや、攻撃に常にかかわり続ける、顔を出し続けるのが特長かなと思っています」という稲福がよりボールに関わる回数を増やして相手を押し込んだ。また、GK神田渉馬(3年)の好守もあって1点差のまま試合を進めたが、ゴール前で粘り強い北越高の守りをこじ開けられないまま試合終了。2試合連続0-1で開幕2連敗となった。

 稲福は「前回と一緒で前半の立ち上がりの部分で高体連特有のパワーに押し負ける場面が多かったと感じています。(個人的には)基本マンツーで来る相手でももっと自分が(ボールを)触って広げられたら味方に自由な時間を与えられたかなと」と反省。そして、「プリンスでもっと結果出さないと、(冬の)クラブユースで上に行けないと思うので、ここで圧倒できるようなチームを作っていきたいです」と引き締めた。

 昨年から指揮を執る西ヶ谷隆之監督は「(プリンスリーグ北信越へ昇格したが、)最終的にはJである以上、プレミア(リーグ)に行かないといけない。トレーニングもそうだし、色々な日常を変えていかないと、その景色は見られない訳だから」と語る。水戸や相模原のトップチーム監督を務めたほか、大学やJユースチームの指導経験も持つ西ヶ谷監督は静岡の名門・清水市立商高出身。同期の元日本代表MF望月重良氏をはじめ、在学中の先輩・後輩にも多数の日本代表、Jリーガーとなった選手たちがいた中でチーム内競争を経験している。

 松本の育成の歴史はまだ浅く、U-18チームも当時の“清商”のような日常には至っていない。それでも、一つ一つ積み上げているチームは、根気強く育成を続けてトップチームの枝葉のような存在になれる選手、そして、大黒柱となれる選手の育成に繋げていく。現在は西ヶ谷監督らコーチ陣、関係者のサポートの下で高い目標の実現を目指す思考・姿勢と、より技術や強さ、賢さを求める日常を作ろうとしている。

 Jクラブユースの良さと高体連の良さを知る西ヶ谷監督はその両輪で選手を育てていく考え。「上手いだけじゃ勝てないし、技とか賢さとか強さを身につけて、一人の選手として戦えるように。それを相手と対峙した時にどういうふうに勝っていくというのが一選手の評価だとボクは思っている」。選手たちは上のステージで戦える、勝つ術を育成の段階で身につけ、将来に繋げる。

 稲福は「(トップチームで活躍するためには)チームを鼓舞する声だったり、止める・蹴るの技術を一回り上げていかないといけない。プロになるだけじゃなくて活躍してJ1へ行きたい。山口蛍選手たちのように、守備できて、攻撃もできてという両方完成度の高い選手になりたいです。今からもっとやっていって、1年目から試合にどんどんかかわれるようにやっていきたいと思っています」。目標を実現するために必要なことに意識高く取り組み、松本U-18から次のステージへ羽ばたく。

 今年はレギュレーションによってプレミアリーグへの昇格はないが、来年以降に再チャレンジ。そして、向上させた日常を受け継いだ後輩たちがまた積み重ね、U-18チームやトップチームでの活躍を続けて「育成の松本」への土台を強固にしていく。

(取材・文 吉田太郎)
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