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[九州・山口BL U-18]復権へ。 “鹿実らしさ”と質を磨く鹿児島実が東海大福岡に4-1快勝!

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鹿児島実高CB中島凜大が相手の攻撃を跳ね返す

[9.20 九州・山口BL U-18 鹿児島実高 4-1 東海大福岡高 宮崎日大高第2G Aコート] 

「九州圏内および山口県に属する2種年代の選手およびチームの強化、また指導者の資質向上を目指す」「拮抗したリーグ戦の環境づくりを行い、プリンスリーグ等上位リーグに匹敵するリーグを目指す」「プリンスリーグ九州と各県リーグとの橋渡しとなるリーグにする」という目的を掲げて2017年から行われている「2020九州・山口ブロックリーグ(BL)U-18」は20日、鹿児島実高(鹿児島)と東海大福岡高(福岡)が激突。全国高校選手権出場23回、優勝2回の鹿児島実と同出場14回の東海大福岡との伝統校対決は4-1で鹿児島実が快勝した。

 鹿児島実はFW小濱駿(3年)が「(東海大福岡とは)練習試合も何度かさせて頂いたんですけれども、競り合いとか強くて、今日は自分たちもセカンドやゴールへの意識はより強かったと思います」と振り返ったように、局面の攻防での強さやゴールへの意識の強さを発揮する。

 前半13分、鹿児島実はMF宇宿響世(3年)が思い切りよく放った右足シュートが相手GKのミスを誘って先制。対する東海大福岡はサイド攻撃から10番MF山根優汰(3年)の放った右足シュートや注目の大型レフティーFW小川真尋(3年)のパワーショットなどで攻め返す。

 だが、鹿児島実はセカンドボールを支配して攻撃へ移ると、U-18鹿児島県選抜のMF川路友斗(3年)やMF仲野義隆(3年)が1タッチも交えてビルドアップ。また、期待の180cmレフティー・MF守岡晃希(2年)や身体能力高い小濱のボールキープ、仕掛けなどを交えて相手ゴールへ迫る。そして30分、左クロスのこぼれ球を小濱が胸トラップからの左足ボレーで決めて2-0。さらに後半9分には小濱がゴール前で粘り、最後はFW平樹龍(2年)が3点目を決めた。

 一方の東海大福岡は小川とFW瀬川瑠樹(3年)の強力2トップになかなかボールが収まらない。彼らが強引に持ち込んでシュートを放つシーンやボランチの位置から飛び出した山根がシュートへ持ち込むシーンがあったが、ボールを保持する時間を十分に増やせなかった。

 それでも、後半は鋭い抜け出しとテクニックが武器のMF親泊大斗(2年)やMF上冨陸歩(3年)の交代出場組が攻撃に厚みを持たせ、仕掛ける回数を増やしていく。そして、CBから前線へ上がった上本銀太(2年)が決定的なシュートを放つなど、鹿児島実ゴールをこじ開けようとする。

 だが、鹿児島実はGK松本侑紀(3年)が好守を続けたほか、声と身体能力を活かした守備でチームを支えるCB中島凜大(3年)、CB石田朱舞(3年)らDF陣がゴールを許さない。

 逆に36分、右サイドからカットインした交代出場MF坂井慈英(2年)が豪快な左足シュートをゴールに突き刺して4-0。東海大福岡も試合終了直前に交代出場FW村上愛和(2年)が意地の1点を返したが、鹿児島実が“らしさ”と質を発揮して快勝を収めた。

 鹿児島実の森下和哉監督は「本当、今年1年間くらいでやっていく方向性やサッカーが新たに見えて、(新型コロナウイルスの影響で公式戦の行えなかった時期に)もっと洗練しようかというところで取り組んできました」と語る。「パワーなくなったら鹿実じゃなくなるので」(森下監督)というように、ハードワーク、ボールを奪う部分、対人の強さなど大事なものの強化を継続しながら、より質の部分も求めるようになった。

 鹿児島実はジュニアユースチーム、FC KAJITSU U-15を立ち上げ、一貫指導4年目。鹿児島県内、九州でも強さを発揮するFC KAJITSU U-15でベースを高めた選手たちが、鹿児島実に進学し始めている。「そういう意味でもサッカーを洗練することが必要だった」(森下監督)。苦しい時期を経た名門は今後への期待値も高いが、もちろん現3年生たちは今年、07年度以来となる選手権出場を果たして鹿実を復活させるつもりでいる。

 小濱は「最近になって前に蹴るだけでなく、ポゼッションで落ち着かせるところを落ち着かせたりできるようになってきている。色々な方々が応援してくださっているので期待に応えて恩返ししたい」。近年、選手権鹿児島県代表校の座を分け合っている神村学園高と鹿児島城西高というライバル校も強力。鹿児島を勝ち抜くのは簡単ではない。まだ攻守のスピード、精度など改善点はあるが、鹿実の強み含めて選手権予選までの残り1か月強で貪欲に高めて復権を果たす。
 
(取材・文 吉田太郎)
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