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スーパープリンスリーグ関西経て成長した三田学園と大阪産大附。選手権予選へ向けて前向きなドロー

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後半42分、三田学園高FW宮内泉太朗(右)の左足シュートを大阪産大附高SB山下颯央がブロック

[9.26 スーパープリンスリーグ関西 三田学園高 1-1 大阪産大附高 J-GREEN堺 天然芝]
 
 26日、高円宮杯JFA U-18サッカースーパープリンスリーグ2020 関西Bグループ第6節の三田学園高(兵庫)対大阪産大附高(大阪)戦が行われ、1-1で引き分けた。

 プリンスリーグ関西は今年、新型コロナウイルスの影響で2020年限定のスーパープリンスリーグとして行われている。三田学園と大阪産大附が所属するBグループはプレミアリーグ勢のG大阪ユース(大阪)と神戸U-18(兵庫)も同居。三田学園は神戸U-18を追い詰めてドロー、大阪産大附もG大阪ユースから2点をもぎ取るなど、真剣勝負の中で貴重な経験を積んでいる。

 三田学園の福原幸明監督は「プリンスで色々な相手とやらせてもらって、それぞれに特長があって、色々な戦い方をしてくることを経験させてもらって、そういう意味ではめちゃくちゃ成長していると思います」と語り、大阪産大附の中西幸司監督も「Jユースの止める・蹴るの部分の精度。実際見るだけじゃなくて、子供たちも感じて次の週のトレーニングからその意識が変わってきたり、ウチとしても大きいですね」と分析する。

 スーパープリンスリーグを経て成長を遂げてきた両校の戦いは序盤、大阪産大附がサイド攻撃からゴール前のシーンを作る。だが、10分、三田学園が先制した。MF米田和真(2年)がサイドを変え、この日好パスを続けていた1年生CB富江立修がロングフィード。スピードを活かしてハイサイドを取った右SB紀伊佑磨(2年)のクロスのこぼれをFW清水皇貴(3年)が押し込んだ。

 後方からボールを繋いで追加点を狙う三田学園に対し、大阪産大附は連動した守備からショートカウンターにチャレンジ。MF井上弘翔(3年)が右サイドからの縦突破でCK、FKを獲得し、MF森永承(3年)のドリブルも効いていた。そして、怪我明けで先発復帰したMF箱丸健悟(3年)がセカンドボールの回収や飛び出しで存在感。その大阪産大附は19分、同点に追いつく。

 最前線へ飛び出してプレッシャーをかけた森永が相手GKのミスを誘い、右足シュート。サポートした箱丸がこぼれ球を左足で決めて1-1とした。大阪産大附はショートカウンターがハマり、箱丸やMF服部候也(2年)の飛び出しなどから決定機も作り出す。

 三田学園はMF黒瀬太軌主将(3年)のカバーリングなどで相手の攻撃の芽を摘み、空いた相手の背後を狙う回数を増やすが、前半は攻撃が単調に。ここまでのスーパープリンスリーグ関西5試合で5得点の注目エースFW長野壮(2年)へ良い形でボールを通すことができない。大阪産大附はCB門口修也(3年)が長野に対応しながら空中戦の強さを発揮するなど、安定した守備を継続。1-1で前半を折り返した。

 後半は三田学園が対角のボールを増やしたことで、大阪産大附の背後を脅かす。その中で、抜群のスピードを持つ長野や清水が相手の一瞬の隙を突こうとしていた。21分には、ルーズボールに反応した長野が抜群のスプリント力を発揮。相手のタックルを鮮やかにかわして一気にゴールへ迫る。そして、PAへ侵入したところでカバーした左SB青野力丸(3年)と交錯。すぐさま立ち上がった長野はGKをかわしてゴール前にラストパスを入れるが惜しくも合わず、勝ち越し点とはならない。

 その後、中西監督が「攻撃も守備も人数掛けて、スピーディーにパスサッカーできるように日頃から言っています」という大阪産大附は、各選手が守備の距離感を保ちながら守り、相手のスピードに対応。交代出場MF藤井翼(3年)の左足シュートなどで勝ち越し点を狙う。

 三田学園も福原監督が「本当に柔らかい」と評する期待の1年生FW宮内泉太朗が巧みに左足シュートへ持ち込み、試合終盤には黒瀬のロングスローから最後はCB松尾峻吾(3年)が飛び込んだ。だが、大阪産大附も右SB山下颯央主将(3年)の身体を張った守備などで得点を許さず、1-1で引き分けた。

 選手権予選初戦が迫る中、ともに前向きな引き分けとなったようだ。ボールを保持する時間を伸ばしながら戦った三田学園の黒瀬は「プリンスずっとやってきて、自分たちのペースでボールを持ってやることがなかなかありませんでした。選手権へ向けて、そういうチームが増えてくると思うから、今日の試合は選手権へ向けて良い練習になったかなと思います」と頷いた。

 一方の大阪産大附の門口も「チームは(前節、東海大大阪)仰星に0-6で負けて、自分たちの現状の実力とか甘さとかも分かりました。でも、自分たちはそれがチャンスだと思っていて、そこからどこまで這い上がれるかということを今日は表現できたと思っています」とまとまって戦えたことを評価していた。ともにリーグ戦で高いレベルを経験している両校だが、選手権出場がない。今年だからこその貴重な経験を活かし、歴史の扉を開く。

(取材・文 吉田太郎)
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