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日本代表オランダ遠征メンバー発表 森保一監督・反町康治技術委員長オンライン会見要旨

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森保一監督(オンライン会議アプリ「Zoom」のスクリーンショット)

 日本サッカー協会(JFA)は1日、オンラインで記者会見を行い、10月のオランダ遠征に臨む日本代表メンバー25人を発表した。コロナ禍では初の代表活動。9日にカメルーン、13日にコートジボワールと対戦する。

 初めてオンラインで行われたメンバー発表会見では、森保一監督、反町康治技術委員長が1時間弱にわたって質疑に答えた。要旨は以下のとおり。

反町康治技術委員長
「オランダ王国、オランダサッカー協会、駐日オランダ王国大使館の皆さん、そしてJFAの事務局スタッフの皆さんのご尽力のおかげで、このようなオランダ遠征が開催できることをうれしく思っている。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございます。あと数日になったが、最後まで新型コロナウイルスにおける感染対策を万全にした上でこの活動をしていきたいと思っている。

 われわれはオランダのユトレヒトで活動する。試合会場は2試合とも同じで、トレーニング会場も同じ。ホテルも同じところを使う。つまりこの3か所のみ、三角形だけで動きながら、ぜひともいい活動をしていきたい。今回のオランダ遠征合宿は来年3月になったW杯予選に向けた準備段階と捉えている。メンバーを私も見たが、海外で活躍している選手を中心というか、海外組という言い方になるが、その選手で構成されている。これが最終的には来年3月のW杯予選につながるような良い成果を出して帰ってきたい」

関塚隆ナショナルチームダイレクター
「オランダで強化キャンプができることをうれしく思っている。私からは2点を話します。まず今回のメンバーには日本のJリーグの選手は含まれていない。これは日本の感染対策の状況のため。Jリーグの選手、クラブはPCR検査を2週間に一度受け、極力外部との接触を避けた状況での活動になっている。またJのスケジュールも過密になっているし、政府からも日本に帰国後自主待機の2週間するという制限がまだ解けていない。こういう点を加味しながら今回のキャンプではJの選手は見送ったということを監督から報告を受けている。

 もう1点、コーチングスタッフの件だが、U-23のスタッフも一緒に活動する。少しボリュームのあるスタッフになるが、再開に向けてサムライブルーとU-23のスタッフが一緒に活動することになったので報告したい。カメルーン戦、コートジボワール戦、そして3月に向けてしっかり準備していきたい」

森保一監督
「まずは10月の代表戦ができることを非常にうれしく思い、ありがたく思っている。多くの方々が尽力してくださり、努力してくださったおかげで我々の活動ができるということに感謝を申し上げたい。ありがとうございます。オランダの活動については、実現するのは本当に難しい状況だったと思うが、時間がない中、多くのハードルや困難がある中、多くの方が実現に向けて頑張ってくださったことを重ね重ねありがたく思っており、感謝申し上げます。オランダの活動について、われわれ選手・スタッフ、チーム一同、感謝の気持ちを持って臨むということ、そしてわれわれ自身がサッカーをさせていただく、練習ができる、試合ができる、代表の活動ができるという喜びを持って、練習に、そして試合に臨みたい。

 試合では多くの方々が応援してくださると思う。応援してくださる方々に笑顔になっていただけるように勝利を目指して戦いたい。戦いの中で応援してくださっている方々に夢や希望を感じていただくとともに、いまコロナウイルスの影響や、今年も日本でいろんな自然災害が起こった状況の中で傷ついた方々、困難な生活を強いられている方々に勇気や元気を届けられるように、困難な生活を強いられている方々の日常生活の励みになるような戦いをしたいと思っている。応援よろしくお願いします」

——(森保監督に)こういった状況で代表活動ができる評価、社会的な意義をどう考えているか。また選手に表現してもらいたいことは。
森保「まずはわれわれの活動にあたって、多くの方が環境作りに尽力してくださって、われわれが活動できるということを絶対に忘れてはならない。応援してくださる方々に恩返しとなる活動、試合をしないといけない。トレーニングや試合をするだけでも多くのハードルを乗り越えて、皆さんが環境づくりをしてくれた。活動ができるだけでありがたいことだが、現地からメディアの皆さんも力を貸していただき、テレビで放送をしていただき、日本に届けてくださる。いろんなレポートをメディアの皆さんが日本代表を応援してくださっている方々に届けてくださることがありがたいと思っている。われわれ日本代表の存在意義というものは日本代表だけではなく、サッカーだけではなく…というところで、われわれはサッカーというスポーツで活動させていただいているが、われわれ日本代表の活動が日本の国民の皆さんにとって必要なものでなくてはいけないというもので、われわれの活動が国民の皆さん、サポーターの皆さん、支援・応援してくださる全ての方々にとって必要でなければいけない、社会に恩返しをしていかなければならないという、いわゆる社会貢献をできる存在でなければいけないと思っている。われわれは今回の活動で、戦う集団なので勝利を目指して戦い、勝つことによって応援してくださる方々に笑顔になっていただくということを目標にしながら、子どもたちに夢を持ってもらえる、そして応援してくださっている方々に希望を持ってもらえることとともに日常生活の中でわれわれの活動を活かしてもらいたいと思っている。元気、勇気をわれわれの試合を通して感じてもらうことで、日常生活の励みにしていただきたい。いまコロナウイルスや日本で頻繁に起こっている自然災害等で本当に傷ついている方々が多いし、困難な生活を送られている方が多い中で、元気、勇気、そして根気をわれわれが試合のなかで、最後のホイッスルが鳴るまで一人一人が全力を出し切りながら根気強く戦うこと、どんな困難があっても最後まで戦い抜くという気持ちを持つこと、チーム一丸となって一人一人がチームのために献身的に支え合って、最後まで戦い抜くことを試合の中で表現できればと思っている」

——(反町委員長に)感染対策をもう少し教えていただきたい。対戦相手の対策、ホテル内の活動のあり方は。
反町「感染対策だが、日本を出る際にスタッフがSmartAmp法検査というPCR検査と同等の検査方法を使い、陰性確認証明書を持って空港に向かう。入国後はオランダ政府の方針に従って検査を行う。空港に着いたら宿泊ホテルに向かうが、フロアはもともと貸し切るような形になっており、外側とのつながりをブロックした形で生活環境を良い形で整えていくということ。JFAのプロトコルもあるので、ごく基本的なところからしっかり周知徹底して、この活動をしていきたい。試合の前にはわれわれだけでなく相手国の選手にも同様のPCR検査をして、陰性を確認したのちに親善試合を行う。試合はUEFAのプロトコルに従ってやることになるので従いながらやっていく。挙げていけばキリがないが、われわれの持っているプロトコルと、現地の政府、またはUEFAのルールに従いながら目を光らせてやっていきたい」

——(反町委員長へ)オランダ、UEFAのプロトコルで日本のわれわれがやっていないことはあるか。
反町「行ってみないと分からないが、いま聞いたところではない。オランダ政府がつい先日、発表したのを見ると、観客は無観客でやってほしいということだが、もともとそういう準備をしていた。なので特別なことは現段階ではない。ただ最後の最後まで何が起こるか分からない状況なので、あと数日で行けることをうれしく思っているが、それ以後は国の態勢に従ってやるしかない」

——(森保監督へ)メンバー選考に関して、当初は「いつもより多めに呼びたい」という意向を語っていたが、25人ということになった。呼べなかった理由は。
森保「当初はもう少し多い人数を考えていた。実際にオランダに入国するにあたり、いろんな制限や招集するにあたっての条件を考えたときにこの人数になった。国で言えばセルビアや、ロシアに制限があった。日本からの渡航に入国制限はないが、国内ではJリーグを戦っているシーズンの真っ只中であること、オランダに行って日本に帰国した後に自主待機の期間があると考えると招集は難しいと考えて配慮させていただき、メンバー選考で選ばなかった」

——(森保監督へ)合宿の狙いは。
「A代表の活動は約1年近くできていなかったので、基本的なコンセプトの確認、意思統一をやっていければ。経験の浅い選手も招集させてもらっている中、これまでやってきた経験が豊富な選手と経験が浅い、若い選手との融合も図りながら、個のレベルアップをしていくこと、チーム強化をしていくことを考えて活動していきたい」

——(反町委員長へ)技術委員長デビューの試合だが、何を期待しているか。結果なのか、内容なのか。
反町「私もコロナ禍の厳しい状況でこの職に就いたわけで、フル代表にしても、U-19、U-16も最終予選が延期になったことで、現場で真剣勝負の場をあまり見ていないので、まずは見られることを楽しみにしている。ただ当然ながら代表なので、次のW杯が始まるであろう長い予選につながるようなものを期待している。つまり、内容でもあるし、結果でもある。森保監督の前で言うのは厳しいかもしれないが、両方求められるのがこの仕事であると考えている。

——(反町委員長へ)団長というポジションで関塚NTDや反町委員長はオランダに行くのか。
反町「団長か否かにこだわりは持っていないが、肩書き上チームを率いる場合は責任者として見ていかないといけないという気持ちは強い」

——(反町委員長へ)代表スタッフも自宅待機になるのか。
反町「日本政府の考え方だと、海外から帰ってきた場合は自主待機という方針なので、それに従ってわれわれもそういう対応を取らないといけない。ただ、11月の活動もできればしたいというところで一生懸命プランを作っている。そこも踏まえながらスタッフの移動も考えていかないといけないと感じている」

——(森保監督へ)1年ぶりの活動で攻守のどちらを重視していくか。また新たな落とし込みを考えていることはあるか。
森保「まずはコンセプトを落とし込むこと。攻撃なのか守備なのかというのは、与えられた時間の中で攻守でバランスをとってより良い活動になるような時間にしていかないといけない。実際の活動が始まってどのような働きかけをしたほうがいいか、攻撃なのか、守備なのか、あるいは違うことなのかは状況を見ながら対応して、時間を作っていきたいと思っている。

 約1年間、われわれが活動できていなかった。チーム活動ができなかったという部分では代表監督として残念な部分もあるが、選手の日常での所属クラブにおいてのレベルアップや、存在価値を高めていくということが日本代表の戦力アップ、存在価値を高めていくことになる。活動ができなかったことは残念だが、われわれスタッフ総出で常に海外組、国内組を問わず、選手たちの活動を追いかけてスカウティングしているので、選手たちの所属チームでのプレーを見ながらその時の条件に合った招集をさせてもらい、チームを少しでも状態にし、ベストなチームをつくって活動したいと考えている。今回のメンバーについても、現在ヨーロッパのリーグが始まった中、スタメンで出られるポジションを確保している選手もいるし、そうではない選手もいる。全体のコンディションをチェックしながら活動につなげていきたい。試合においては勝利を目指して、まずはこだわりを持って戦うということ、内容でも見ている方にいろんなものを感じてもらえるようにしていきたい」

——(森保監督へ)ベテラン選手の選考についてだが、前線に岡崎慎司が入った。あらためて評価を。また年齢で選ばないこともないと思うが、同じスペインの乾貴士の選考外は個人的には不可解。選ばれない選手の理由は聞かないが、年齢で選手を外すようなことはしていないという認識でいいのか。
森保「おっしゃるとおり。年齢で日本代表に選ばれないということはないということで、皆さんにも選手にもお伝えできればと思っている。岡崎の選考に関してはリーグの状況、置かれている立場は変わったかもしれないが、チーム内で得点という結果を出していることと、攻守で存在感のあるプレーをしている。チームが変わっても彼の存在価値は示してくれているので選考した。選考できていない選手も、先ほど言われた乾だけではなく、できればもっと多くの選手を選考したい。その中でポジションのバランスなど総合的に考えた上で選考している」

——(森保監督へ)コンセプトの確認ということをおっしゃっていたが、今回の合宿は4バックで戦うつもりか。
森保「まずは4バックで現段階ではトレーニングを積んで試合に臨みたいと思っている。ただ選手が集合して来てくれて、実際にトレーニングを始めたときに、いろんな状況の変化があると思う。その状況の変化やチームの状態を見て、3バック(への変更)など、予定していたことを変更することはありうる」

——(森保監督へ)初招集の菅原由勢の評価は。
森保「U-23の活動、東京五輪チームの活動の中で、彼のプレーやオフザピッチのことを見て評価させもらい、今回の招集に至った。もちろん所属先のAZの出場試合に関してはチェックしている。今年に入ってからは出場機会という部分では足りないところもあるが、今回のオランダ遠征の招集条件の中で欧州組でチームを編成するということで、チームをつくった中で、将来A代表に十分絡んでくるであろうという期待を込めて彼を招集している。とにかく貪欲に活動の中で成長につながる吸収をしてもらい、その刺激を所属チームに持って帰ってもらい成長してほしい」

——(反町委員長へ)欧州遠征の実現は大変だったと思うが、一番難しかったことは。
反町「AFCの発表があって10月、11月の活動が延期になるというのを聞いてから、急ピッチでどういう形で準備していくのか、どこでどのような活動をできればしたいのかということを準備した。FIFAでは制約がないことを聞いてから、JFA事務局のスタッフも含めて、とにかく強い相手と試合をしないと強化試合の意味がないということからいろいろ考えてきた。日本に世界各国のチームを招いてというのは難しい状況なので、必然的にネーションズリーグも含めて活動を一番やっているヨーロッパということになった。ただネーションズリーグをやっていることから、なかなかヨーロッパのチームとは試合ができない。ヨーロッパに行ってヨーロッパのチームと試合をしないのは少し不思議な気分だが、それ以外でランク的に高いところと手を握って試合をしようという形で進めてきた。オランダの尽力とか、駐日オランダ大使館の皆さん、オランダサッカー協会であるとか、ノーと言ってもおかしくないところをイエスと言ってもらって本当に感謝している。また招集できる選手に関しても実際、厳しいこともあった。具体的なことは伏せるが。そういったものをクリアすることができた。残念ながら何か国かは制限があって来られないこともあったが、日本代表はそこにいるやつを全員呼べばいいというものでもないので、現段階で選りすぐりの選手を集められたこと、それを強化としてつなげられることをありがたく思っている。それをどう表すかというとわれわれはピッチのなかで表現しないといけない。この2試合でそれを感じてもらえればありがたいと思っている」

——(森保監督へ)五輪世代のスタッフが帯同する意義は。
森保「五輪スタッフも今回のA代表のオランダ遠征に帯同してもらうことになるが、いまわれわれスタッフはA代表と東京五輪チームの兼任スタッフとして活動しているので、現在は東京五輪チームの活動がない中、A代表の活動をより充実させるため、そしてA代表の活動をもって今後の東京五輪チームの活動につなげていけるように対応してもらうというところで構えている。招集を見てもらえればわかると思うが、東京五輪世代の選手が7人いるということ、東京五輪では3人のオーバーエイジを使えることを考えても、スタッフも一緒に帯同することで、まずはA代表でカメルーン戦、コートジボワール戦で結果を出して勝利することと、内容を少しでも充実させること、そしてその後のA代表、東京五輪の活動につなげていければと思っている」

——(森保監督へ)あらためて攻守それぞれの基本的なコンセプトは。
「アグレッシブに戦い、勝利を目指すこと。攻撃的とか守備的だとかではなく、攻撃も守備も積極的に戦いながら、バランスの取れた戦い方をするということと、われわれが思い描いたような形で試合は進まない形が多いので、その中で臨機応変に対応しながら勝利を掴み取るという戦いができればと思っている。今回は相手もいろいろとメンバーを変えてきたりとか、制約がある中でチームづくりをしてくると思っている。まずは自分たちがやるべきことをしっかりとやって、選手たちが持っている個々の力を思い切り発揮してもらいながら、日本の良さである組織力をもって戦い抜けるようにしたいと思っている」

——(森保監督へ)中島翔哉が選ばれていない理由は。
「長期間、チームでのプレーをしていなかったこと。チームに合流してトレーニングをしている情報はもらっているが、まずは所属チームで結果を出して、そして監督や選手の信頼を掴み取って、また代表に復帰できるよう、そして代表活動の選考に入ってくるように日常の活動を行ってほしいと思っている」

(取材・文 竹内達也)
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