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苦しい時間帯に笑顔も。“古巣”“ライバル”と対戦した市立船橋MF佐久間「とにかく楽しかった」

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市立船橋高MF佐久間賢飛(左)とFC東京U-18MF常盤亨太がボールを奪い合う

[9.27 プレミアリーグ関東第3節 市立船橋高 0-0 FC東京U-18 グラスポ]

 後半半ば、押し込まれる市立船橋高の10番の表情から笑みがこぼれていた。「『この相手に負けたくない』という思いで高校入ってからずっとやってきたんで、勝てなかったですけれども、とにかく楽しかったんです」。MF佐久間賢飛(3年)は試合後も充実の笑顔を見せていた。

 昨年から名門のボランチを務める佐久間は、FC東京U-15深川出身。この日は「昇格した」かつての仲間たちが多数プレーするFC東京U-18との対戦だった。特に同じポジションで、相手のキャプテンを務めていたのはFC東京U-15深川出身のMF常盤亨太(3年)。常盤は「(試合前に)『お互い頑張ろう』と言葉は少なく。賢飛もアツくなって意識するタイプなので」というやり取りがあったことを明かしていたが、同じポジションの“旧友”対決は実際に激しいものとなった。

「相手が佐久間賢飛というところでそこも意識しつつ、自分の特長は出せたのかなと思います」という常盤に対し、佐久間も「中学時代から切磋琢磨してやってきた相手なのでマッチアップできて嬉しかったし、お互いに成長した姿で戦えたので良かったです。とにかく燃えていました」と振り返る。

 ともに個でボールハントできる注目ボランチ。特に圧倒的な強さ、推進力を発揮する常盤は、佐久間を弾き飛ばすようにボールを奪い取るようなシーンがあった。そこからグイグイと前に出てくる常盤に対し、佐久間も身体を強くぶつけて譲らない。幾度かFC東京U-18の選手からボールを奪い取り、自分も市立船橋で成長したところを示していた。

「守備は高校入ってからレベルアップした部分だと思っているんで、自信を持ってやれていたんですけれども、攻撃でもっとアクセントを加えたかったですね。(ただ強度を持って球際で戦うところは)そこは自分の強みなので出せましたね」

 佐久間は前節・横浜FCユース戦で打撲し、その後の一週間は別メニュー。それでも、古巣対決へ向けて急ピッチでコンディションを上げてきた。強くて、上手いFC東京U-18の強さを体感し、自分の課題を再確認する試合に。勝負どころの後半37分に足を攣らせて交代したことも悔しがっていた。

 試合は引き分けに終わったものの、かつてのチームメートたちに負けず、佐久間自身もレベルアップできていることを証明した。だが、今後彼らを逆転するためにはまだまだ成長しなければならない。もちろん、今年も市立船橋の10番を背負う選手として、試合を決める活躍をしなければならないと考えている。

「(10番に指名された際に)最初はビックリして。まさかと思いました。決まった時に(前任の清水MF鈴木)唯人さんに連絡して『重いと思うけれど、自分らしくプレーしろ』とアドバイスをもらったので、まずは自分らしくやることを意識して、その上で市船の10番は試合を決める選手、歴代の選手を見てもそうなので、やっていかないといけない」

 プレミアリーグ関東で少しでも成長して選手権へ。「まずは千葉県で優勝できるように。簡単な試合は一つもないと思う。チーム全員で乗り切って全国大会に行くことがまずは大切」。今度は宿敵・流通経済大柏高などが待ち構える激戦区・千葉突破がノルマ。市船にとって最大のライバルを乗り越えて、全国の舞台に立つ。

(取材・文 吉田太郎)
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