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19歳久保建英、コロナ禍で芽生えた使命「もし、いま自分が10歳の子どもだったら…」

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オンライン取材に応じるMF久保建英(ビジャレアル)

 コロナ禍で迎えた日本代表のオランダ合宿初日、1年ぶりの代表活動となるMF久保建英が語ったのは「子どもたちの夢」への思いだった。スペインで着実に評価を高めている19歳は「サッカー選手が非常に素晴らしい職業で、素晴らしいスポーツだということを見せていくことが一番大事だと思う」と熱を込め、日本のサッカー少年少女たちに寄り添った。

 新型コロナウイルスの世界的流行を受けて続いた国際試合の中断期間を経て、オランダの地で活動再開を迎えた森保ジャパン。昨年11月のカタールW杯アジア2次予選、同12月のE-1選手権に参加していなかった久保にとっては1年ぶりのA代表活動となった。

 現地時間5日午後、久保はトレーニング前にオンラインで行われた囲み取材に対応し、コロナ禍における日本代表の意義に言及。サッカー競技が絶対的なトップスポーツの座に君臨し、勝敗だけでなくクラブが地元コミュニティと密接に関わっているスペインでプレーする者の視点から、理路整然とした言葉を紡いだ。

「サッカーはその国で暮らしている人にとって数少ない娯楽というかエンターテイメントの一つ。いろんなものが制限される中で、いろんな人の協力を得てなんとか開催できている状況。監督も言っていたけど、自分たちへの期待を結果、内容で恩返ししていくことが一つの義務になるのかなと思う」。

 そのようにオランダ合宿への意気込みを語った久保は「世界的なパンデミックがあった後でも、サッカーだけに限らず、みんなで力を合わせて復旧させた。サッカーの練習を再開するのも自分が思っているより早かった。周りにはシーズンは終わりだという選手がたくさんいたが、様々な協力を得てリーグを終えることもできた。一人ではできないこともいろんな人の力を借りて実現することができるという具体例の一つになった」とコロナ禍を振り返り、「今度は自分たちが助けてもらった人たちに対し、サッカー選手はプレーで返すのが一番だと思う」と自身の使命を述べた。

 また「自分たちのプレーを見て、いま外に出られなったり、いろんな状況にある子供たちが。こんな状況でも『やっぱりサッカー選手になりたい』って思ってもらえることが自分にとっては一番」と述べ、子どもたちの夢に目を向けた。

「もし、いま自分が10歳の子供だったら、サッカー選手という夢が一歩遠のいてしまうと言う感覚があったと思う。そういったものを自分たちがプレーで払拭するじゃないけど、『いやいや、サッカー選手になれる』って。これにはいろんな人の協力が必要だと思うけど、サッカー選手が非常に素晴らしい職業で、非常に素晴らしいスポーツだということを見せていくことが一番大事かなと思っている」。スペインで活躍する姿によって、すでに日本のサッカー少年少女に大きく刺激を与えているであろう19歳だが、日本代表でもさらなるパフォーマンスを発揮していくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)

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