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旧友と直接対決。鹿島内定の昌平MF須藤直輝はキャプテンとして、注目エースとしてベストのプレー探る

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昌平高の鹿島内定MF須藤直輝主将がドリブルで切れ込む

[10.4 プリンスリーグ関東第5節 前橋育英高 2-3 昌平高 前橋育英高高崎G]
 
 9月30日に来季からの鹿島内定が発表されてから初の公式戦。昌平高の日本高校選抜MF須藤直輝主将(3年)は、2点差を追いつかれるなど課題が見えながらもチームが勝ち切ったことを素直に喜んでいた。「キャプテンとして、試合で勝たせるということは大事だと思うので、そこは良かったのかなと思います」。ただし、自身のプレーについては満足していなかった。

 1年時から強豪・昌平の10番を背負う須藤は今年、より厳しいマークを受けている。テクニックとアイディアを兼ね備えた世代屈指のドリブラーは、緩急自在の動きで局面を打開し、決定的なシュートやラストパスを繰り出すところが持ち味。この日は左サイドから中へドリブルで切れ込み、決定的なラストパスも配給していたが、厳しいマークの中で仕掛ける回数は減り、得点に絡むことができなかった。

 チームが勝つことが何よりも大事だが、“常勝軍団”鹿島へ加入する須藤は個人としての結果も求めているところ。また、彼は試合で強敵との駆け引きや力勝負を楽しみながらプレーすることによって、よりその良さを発揮する選手だ。

 キャプテン、エース、注目選手……と色々なモノを背負っている昌平の10番。自分が試合でどのようにプレーすることがベストなのか、まだ本人の中でしっかりと整理し、表現することができていないようだ。それだけに、「これから徐々に整理して、選手権に焦点を合わせてやっていければなと思っています」。現在は献身的な守備を含めて良い意味でバランスを取っているが、時には針を振り切ることも必要。考えながら、最善の形でチームに貢献することを求めていく。

 一方でこの日は刺激も受けた。同じく埼玉県出身でJ1の神戸へ進む旧友・前橋育英高MF櫻井辰徳(3年)と直接対決。それぞれキャプテンマークを巻いた2人は整列時に「イニエスタ上手いの?」など言葉をかわし、笑顔を見せ合っていた。中学時代に対戦した際や昨年度の選手権開会式で会話をしていたという“ライバル”。「来年から同じJ1でやるというのがあるので、ちょっと負けられないなという気持ちはありましたね」という須藤は結果で勝利した。

 須藤は櫻井について「辰徳らしさも出ていたし、(改めて)上手いプレーヤーだと思ったので負けずにやっていきたいなと思います」と語り、櫻井は須藤について「やっぱ違いますね。上手いですね。ドリブルが注目されがちですけれども味方を活かすのが上手いし、あと自分が行くところと離すところが上手いなと。1、2本取ったけれど負けたんで何も言えないです」と苦笑。次回選手権で対戦する際は、ともに自分がライバルを上回るようなプレーをして、勝つことを目指す。

 もちろん、選手権予選を簡単に突破できるとは考えていない。一昨年に埼玉県予選決勝での敗戦を経験している須藤は「自分は埼玉県予選の大変さや厳しさはよく知っている。埼玉県は勝ちにくいので、そこは一戦一戦集中していこうというのはチームに伝えていきたい」。チームとしても、個人としても、内容・結果を突き詰めて勝ち上がり、選手権でライバルと再会する。

(取材・文 吉田太郎)
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