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[MOM3224]鳥栖U-18MF楢原慶輝(1年)_「絶対にスタメンを獲り返したい」。鳥栖一筋のハードワーカーがゴールも

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前半15分、2点目を奪ったMF楢原慶輝(26番)をサガン鳥栖U-18のチームメイトが祝福

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.11 スーパープリンスリーグ九州第1節 東福岡高 0-2 鳥栖U-18 東福岡高G] 

「いつも以上にチーム全体の声が出ていた」。DF中野伸哉(2年)が振り返る通り、本来なら初参戦のプレミアリーグで当たるはずだった東福岡高(福岡)との一戦に、サガン鳥栖U-18の選手は燃えていた。発足当初からプレミアリーグに在籍する“先輩格”の相手に対し、序盤から圧倒。2-0で勝てた要因は、前線からのハードワークで中でも目を惹いたのは、中野が「いてくれると凄く有難い選手。前からガンガン追ってくれるので助かっています」と評するMF楢原慶輝(1年)だ。

 スタメンでの出場は鳥栖にとっての初戦となった大分U-18戦以来。今週も週初めは別の選手をスタメンで起用する予定だったが、「前線から相手ボールを奪いに行く時に彼の2度追い、3度追いできるスタミナは武器になるし、スイッチになる」(田中智宗監督)と急きょ抜擢された。

 9月末のU-16日本代表活動で、森山佳郎監督から「自チームでのスタメン獲得」を各選手が指令として出されたことも刺激になっていた。「チームに戻ってきてからスタメンを外れていたので、11月までに絶対に獲り返さないといけないと強く思っていた」。

 試合序盤は、「リーグが始まってから大差で勝てていなかった。昨日の夜に選手でミーティングをして勝つために何をすべきか話し合った」ため、勢いに乗って試合に入れた。それぞれが特徴を発揮する中、楢原は「自分の持ち味のハードワークを絶対に見せてやろうと思っていた」と振り返る。自陣からのビルドアップを狙う東福岡の守備陣に対し、楢原はチャンスと見ればスプリントを繰り返し、パスコースを制限。ボールを奪うと味方に繋ぎ、攻撃のスイッチを入れる。

 アグレッシブな動きでチームに勢いにもたらしていたが、献身的な働きだけでは満足できない。「これまでの試合で守備はできていたけど、ゴール前での質は見せられていなかった。今日の試合は絶対に違いを見せてやろうと思っていた」。見せ場が訪れたのは、前半15分だ。相手エリアの中央でFW兒玉澪王斗(3年)からのパスを受けた楢原は、遠目からミドルシュート。「強いシュートを打とうと思ったら良いコースに飛んだ。狙い通り」と振り返る一撃がゴールネットに突き刺さり、チームの2点目となった。

 チーム全体の運動量が落ち苦しい時間が続いた後半も、「気持ちでカバーした」楢原の運動量は落ちない。終盤でも守備のスイッチを入れ続けた楢原の存在は大きく、田中監督は「連続して何回でも相手を追い掛けてくれる。彼の所で何度もボールを奪えたのは大きかったし、2点目も奪ってくれた。今日の試合は彼を代えられなかった」とマン・オブ・ザ・マッチに挙げた。

 この試合で、前線からのプレスを続ける運動量と共に光ったのは、1年生ながらも緊張感のある舞台に動じた姿を感じさせない部分だ。理由について、楢原はこう明かす。「多少緊張はするけど、3年生の声掛けに助けてもらっている。出られていない3年生が一生懸命チームのために声をかけてくれている姿も見ると、自分がやらなければいけないという気持ちになる」。

 U-12時代から鳥栖一筋でクラブへの愛は強い。「1日でも早くトップチームでプレーしたい。コンセプトであるハードワークを見せるのはもちろんだし、攻撃の面でも周りとの違いを見せていきたい」。そう意気込む通り、目標は高校在籍中のプロデビュー。憧れの舞台を目指して走り続ける楢原の活躍は始まったばかりだ。

(取材・文 森田将義)
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