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前・流経大柏監督の本田TA迎えた国士舘、初戦はCKからの3発で逆転勝ち!:東京A

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後半36分、国士舘高DF大森彗斗が決勝ヘッド

[10.11 選手権東京都Aブロック1回戦 大東文化大一高 2-3 国士舘高 国士舘楓の杜キャンパスG]

 第99回全国高校サッカー選手権東京都Aブロック予選は11日、1回戦2日目を行い、2年前の優勝校・国士舘高が3-2で大東文化大一高に逆転勝ちした。国士舘は18日の2回戦で東京成徳高と戦う。

 前・流通経済大柏高監督の本田裕一郎氏をテクニカルアドバイザー(TA)に迎えた国士舘は、2度のビハインドを負いながらも逆転勝ち。習志野高にインターハイ優勝をもたらし、流経大柏を全国高校選手権、全日本ユース(U-18)選手権、インターハイ、そしてプレミアリーグでそれぞれ日本一へ導いている名将の「(得点の)可能性があるとしたら、CKだけだよ」という言葉通りに、CKからの3ゴールによって試合を引っくり返した。

 先制したのは大東大一だった。前半7分、右SB斉藤和喜(3年)が右サイドからロングスローを放り込むと、MF浅島伶遼(2年)が角度の無い位置から右足シュートをファーサイドのネットに沈めて先制点を奪う。

 本田TAがテクニカルエリアに出て指示する国士舘は、ロングボール中心の組み立て。11分には、ゲーム主将・MF竹内謙太(3年)の左CKをファーサイドの188cmCB山梨滉太(2年)が対角のヘディングシュートで決めて同点に追いつく。国士舘は空中戦、競り合いの強さを活かして高い位置で起点を作り、ミドルレンジから左WB林奏杜(3年)やFW横尾葵海(3年)らがパワーショットを打ち込んでいく。

 大東大一は、CB塩出剛基主将(3年)とCB開田航太(3年)中心に集中した守備を続ける。31分に左CKから塩出が決定的なヘッドを放つも、これはGK正面。前半は中盤の選手の献身的なプレスバックもあり、セカンドボールを拾った際にはMF村田健太(2年)や浅島が相手をいなして前進し、PAへ潜り込もうとしていた。

 大東大一は我慢の時間が長かったものの、少ないチャンスをモノにする。後半3分、再び斉藤が右サイドからロングスロー。中央へ流れたところをMF吉野志文(3年)が右足ダイレクトで決めて再び勝ち越した。

 後半開始から選手交代によってDF堀江翔(2年)を前線へ上げていた国士舘は、次々と交代カードを切って相手にプレッシャーを掛けていく。国士舘の上野晃慈監督は「本田先生のゲームの流れを読む力は凄い。迷ってしまうようなところでもスッと行く。コーチング、言葉の力も勉強になります」と明かす。決断早くカードを切る一方、慌てず、選手たちにやるべきことを徹底させる。そして誰よりも貪欲に勝利を求める名将の経験値、勝利のメンタリティーはチームの力に。先手を打つ形で運動量も高めて行った国士舘はロングボールのセカンドボールを拾って、仕掛け、セットプレーの本数を増やした。

 大東大一はDF陣中心に良く耐え、1トップのFW遠山愛土(3年)が前線で身体を張るなど幾度か攻め返していたが、国士舘DFのタイトなディフェンスの前にシュート数を増やすことができない。そして、後半半ば頃から運動量が明らかに低下した大東大一を国士舘が飲み込んだ。

 後半23分のゴール前の混戦は大東大一GK佐藤蓮音(3年)にかき出されたものの、国士舘は直後の右CKを林が左足で蹴り込む。すると、ニアでDF加藤光稀(2年)がそらし、山梨がこの日2点目のゴール。さらに本田TAが「メンタリティーも、負けたくないという悔しさも持っている」という竹内やFW木原涼太(1年)とMF川野漣斗(1年)の1年生コンビ中心に仕掛け続ける。

 そして後半36分、国士舘は再び林の右CKからファーサイドのDF大森彗斗(3年)が豪快なヘッドで決勝点。自力と勝利への姿勢を示しての逆転勝ちだった。本田TAが加入してからの数か月について、竹内は「本田先生は色々なメンバーを使うので、競争が一番激しくなりましたね。(自分は)本田先生の前では負けたくない。負けたら恥ずかしいので絶対に負けたくないという気持ちがあります」と競争の激化とメンタリティーが変化したことを説明する。

 そして、「流経であれだけ成績を残して来て、国士舘でやれなかったら国士舘の株も落ちるし、本田先生の株も落ちるので、自分たちが1年目で絶対に結果を残さないといけないと思っています」と力を込めた。変革1年目でいきなり結果を出すことは簡単なことではない。それでも、どんな形でも白星をもぎ取って勝ち上がることを目指す。

 学園全体のサポートも大きい。この日は8月に完成したばかりの国士舘楓の杜キャンパスグラウンド(東京都町田市)での公式戦。観客スタンドも併設された素晴らしいグラウンドで戦う機会を得た。上野監督は「『大学、高校みんなで強くなるぞ』と協力して頂いています」と感謝する。強豪校から「常勝軍団」への第一歩となる選手権予選。本田TAも認める通り、まだまだ特別な強さは無いが、勝つ術とメンタリティーを持って2回戦も白星を掴む。

(取材・文 吉田太郎)
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