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遠藤航をJリーグ時代から追っていたシュツットガルトSD、当時の評価や獲得の経緯を明かす

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シュツットガルトで存在感を示すMF遠藤航

 シュツットガルトのスベン・ミスリンタートSD(スポーツディレクター)は『GOAL』のインタビューに応じ、選手の能力やポテンシャルの分析に関する考えを語った上で、シュツットガルトで現在中心的な存在となっているMF遠藤航についても話してくれた。

 現在47歳のミスリンタートSDはドルトムントのチーフスカウトとして香川真司やロベルト・レバンドフスキ、ピエール・エメリク・オーバメヤンやウスマン・デンベレといった選手らを発掘。パートナーとともにスタートアップ企業Matchmetricsを立ち上げ、独自のスカウティングシステムを開発した異名”ダイヤモンド・アイ”を持つ同氏は、ドルトムント退団後、アーセナルのチーフスカウトを経て、現在はシュツットガルトの強化部長を務めている。

 同SDは昨夏、遠藤のベルギーのシントトロイデンからの期限付きでの獲得を主動して、2019-20シーズンの後半には買い取りオプションの行使を担当。日本代表について「ワタルのことは彼が日本にいたころから知っていたよ」とJリーグ時代から注目していたという。次のように明かした。

「旅費が高いため、日本はもちろん何度も現地で視察するために赴けるような国ではない。そういった場合は通常、(選手)市場を分析するにあたってデータを使うことになる。その中で、ワタルはスカウトパネルの総合レーティングの高さにおいて、際立ってコンスタントに目立っていた。続いて行ったビデオ視察より、これら印象がより完成したものに仕上がるとともに固まり、彼の獲得を何度か検討するようになっていた」

 2011年に湘南ベルマーレのトップチームに昇格した遠藤は2016年には浦和レッズに移籍。ミスリンタートSDは当時の遠藤について「日本では主にセンターバックでプレーしていたが、欧州では身長がそのポジションでのプレーに限界を示すように見えた」と認めると、「彼のプロフィールからすると、ボールを奪取する能力や総合的なゲームアプローチを見ても、6番(守備的MF)で起用するアイデアが早くから明確にあった」と当時の考えを振り返った。

 同SDは、「彼がここに来て、空中戦の強さに関してはすぐにも我々の予想が間違っていることを見せつけられた」とも指摘。「彼はここでも日本でやっていたようにそれをピッチ上で発揮できることを示し、うちでも既にCBでプレーしたことがある」と身長は欧州では小柄と見られる178センチながら、そのヘディング能力は通用すると強調した。

 一方で、「獲得においては、他にも決定的な要素があったんだ」とも明かしている。

「それは日本からのシントトロイデンへの移籍が完全な成功ではなかったことだ。あそこではどちらかと言えばボックス・トゥ・ボックス・プレーヤーとして8番の位置で起用されていた。確かに彼はそこでもできるが、彼のクオリティーが活かされるのは守備ラインの前の中央のエリアだ。なので、守備ラインの前での役割を担ったときに比べて、目立てなくなってしまっていた。今のようなパフォーマンスを見せていたら2部にいたうちへの移籍は絶対に実現しなかったのだから、我々にとってそれは幸運でしかなかった」

「後から言うのも知ったかぶりのように聞こえるかもしれないけど、私は本当に当時から彼はとても優れた補強になることを確信していた。自分はすべてを一括りにして語るタイプではないが、私自身もクラブとしてのシュツットガルトも、日本人選手に関しては悪い経験をしたことがないのもポジティブ要素として(確信に)つながっただろう。しかも、ワタルは新たに証明してくれているんだ。チーム内での接し方、振る舞い、いかにプロ精神をもって生活を送っているか…センセーショナルだよ」

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