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“全国”体感し、こだわってきた堅守。被シュート2本で完封の旭川実が北海道王座奪冠まであと1勝

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CB長代和主将が相手の抜け出しを阻止。旭川実高の守備はほぼ隙を見せなかった

[10.24 選手権北海道予選準決勝 旭川実高 1-0 北海道大谷室蘭高 厚別]

 奪冠狙う旭川実が隙の無い守備で決勝へ。第99回全国高校サッカー選手権北海道予選は24日に準決勝を行い、旭川実高が1-0で北海道大谷室蘭高に勝利。旭川実は25日の決勝で札幌大谷高と戦う。

 旭川実が1年で決勝の舞台に戻ってきた。16年から18年まで3連覇するなど、過去11年の選手権予選で6回優勝し、北海道の高校サッカーをリードしてきた旭川実だが、昨年はまさかの2回戦敗退。準決勝・決勝の行われる厚別公園競技場にたどり着くことができなかった。

 だが、“慣れ親しんだ”舞台へ再び勝ち上がってきた旭川実は、準決勝でも被シュート2と隙の無い試合を見せる。相手のパスコースを消しながら、連続した守備。そして、“蹴らせて”ボールを奪い取ることに成功していた。

 CB長代和主将(3年)「今年はずっと『守備』と言われていたので、重きを置いて練習もやっていたので、夏とか去年に比べても一個レベルアップできているんじゃないかと思います」。夏の和倉ユース大会(石川)で日大藤沢高や桐蔭学園高(ともに神奈川)などの強豪校と対戦。そこで失点もしたことでより高い意識を持って取り組んできたチームは、その成果を開幕5連勝、失点わずか1のプリンスリーグ北海道やこの選手権予選で表現している。

 その旭川実は前半14分、今大会無失点の大谷室蘭から先制点を奪う。右SB中里天哉(3年)のロングクロスをファーサイドのMF大泉椋耶(2年)が頭で折り返す。これを中央で動き直したMF会津快斗(3年)が頭で左隅に沈めてリードを奪った。

 さらに15分にはエースFW安藤望(3年)が抜け出してGKと1対1に。シュートがわずかに枠を外れたものの、大型FW渡邊啓吾(3年)や安藤が前線でよくボールを収め、ボランチのMF村口幹汰(3年)がエネルギッシュな動きで繰り返しPAへ走り込むなど旭川実は優勢な時間を続ける。

 それでも、北海道勢最多となる30回の選手権出場、78年度大会(当時は室蘭大谷高)で唯一全国決勝の舞台に立っている大谷室蘭は崩れない。高さと守備範囲の広さが印象的なCB谷藤恒陽(3年)を中心に相手の攻撃を弾き返し、鹿島ジュニアユース出身のGK 金子光琉(2年)も落ち着いた守り。ボールを奪うと左SH堀川冬若(3年)やMF横山瑠泉(3年)が相手選手を剥がしてゴールへ迫ろうとする。

 また、レフティーボランチのMF西野翔真(3年)のロングスローもアクセントに攻めたが、旭川実の堅いディフェンスの前になかなかシュートまで持ち込むことができない。後半立ち上がりも旭川実が主導権を握るが、渡邊のヘディングシュートが相手の好守に阻まれるなど突き放すことができなかった。

 一方の大谷室蘭は及川真行監督からの指示を受けながら幅を使った攻撃を増やしていく。西野や横山が素早くサイドへボールをつけ、MF高橋雄大(2年)や右SB勝木鵬允主将(3年)らのクロスに繋げていた。

 だが、旭川実はここで長代が身体を投げ出してのクリアを見せるなど、集中力を切らさない。終盤は相手に攻められる回数も増えていたものの、そのまま1-0で勝利。だが、長代は「勝てたという部分とゼロで抑えたという部分は良かったと思うんですけれども、あの(後半終盤の)20分の間で、ものの数分で修正して相手に主導権を与えてはいけないと思うので、そこは改善しなければいけないと思います」と引き締めていた。

 富居徹雄監督も「良いゲームではないなという。守備ももう少し行かなければいけないし、攻撃ももう少し崩さないといけないと感じたところではあります」。昨年、そして今夏と北海道、全国で勝つことの難しさを再確認してきた旭川実は守備や、グループでの崩しの一つ一つにこだわって決勝を戦う。
 
 まずは北海道のタイトルを奪還すること。長代は「ずっとこれを目標に練習もやってきました。まず明日勝たないことには今までのことも意味がなくなってしまうので、絶対に勝って全国を決めたいと思います」と誓った。強敵・札幌大谷を攻守で上回り、必ず全国切符を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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