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[MOM3238]八幡浜工FW清友脩龍(3年)_「守備力は8から10」のFWが”初戦”で走り続けて勝利貢献

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高い守備力でチームに勢いをもたらした八幡浜工高FW清友脩龍(左)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.24 選手権愛媛県予選準々決勝 松山商高 2-4八幡浜工高 GF新居浜A]

 目に見える数字は残せなかったが、八幡浜工高のFW清友脩龍(3年)が松山商高戦で見せた働きは見逃せない。身長は163cmで足元の技術や他を凌駕するスピードがあるタイプでもない。「自分は小さい頃から走りを頑張ってきた。守備でチームの皆を助けるようなプレーを意識している」と自己分析するように、売りは泥臭さ。兵頭由教監督も「攻撃力で言えば2くらいだけど、守備力は8から10くらいある。彼の球際の強さ、切り替えの速さは僕らの守備のスイッチになっている。ボールホルダーに対して常にアタックして、8割くらいの確率で奪ってくれているのは大きい」と特徴について口にする。

 初戦となった2回戦の野村高戦は次戦への“秘密兵器”として温存された。3回戦の松山聖陵高戦は本来ならスタメン出場のはずだったが、台風で試合延期が延期になったため、就職試験と日程が重なり、試合に出られなかった。そのため、準々決勝のこの日が彼にとっての初戦。「先輩たちから『勝て!』と言われてきた。みんなの気持ちに応えられるように今日は絶対に勝つという気持ちで挑んだ。緊張というか、昨日から『やってやる!』と武者震いしていた」。

 これまで最後の選手権にかける想いを吐き出す場がなかったため、試合が始まると前線から懸命に相手ボールを追い掛け続けた。彼の所でボールを取り切れなくても、連動した2人目、3人目がボールを奪い、チャンスとなる場面も多かった。相手の勢いに飲まれて2失点したが、高い位置でのボールハントにより自陣に持ち込まれる場面は少なく、GK木村海都(3年)は「前からハードワークしてくれたり、チームで一番走る選手。後ろはとても助かっている」と感謝を口にした。また、「今日はたまたま」と笑うが前線に入ったクサビをおさめて、チームメイトの攻撃を引き出すなどポストプレーでもチームに貢献した。

 高い守備力は、中学まではCBとしてプレーしていた経験が活きている。FWをやるようになったのは高校に入ってから。今大会の背番号が2番であるのは、他の選手が先に好きな番号を選んでいき、余った番号を託されたためではあるが、兵頭監督が「役割を考えれば、2番のFWも面白い」と口にする通り、彼のプレースタイルにピッタリだ。

 入学当初はピッチ外でヤンチャな一面が見え隠れしたが、「何回も繰り返す中で監督やお母さんを傷つけていることに気付いた。チームの皆にも迷惑をかけていると思ったので変わらないといけないと思った」と心境が変化。本人は「今は部活で発散する感じです」と笑うが、木村が「サッカーで勝つという目標のために一生懸命頑張ってくれている」と話す通り、ハツラツとした動きでチームを牽引し続ける。

 チームへの貢献度は高かったが、無得点に終わったのはこの試合での反省点。「(準決勝で対戦する)新田高はハードワークをしてくると思うので、相手の勢いに乗らせないよう早めに1点、2点獲ってチームを決勝に導き優勝したい」と次は自らの得点で勝利に貢献するつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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