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[MOM3244]堀越DF井上太聖(3年)_注目のエアバトラー、無失点に加え“有言実行”のゴールも

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堀越高CB井上太聖は背後のボールに対して身体を投げ出してクリア

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.25 選手権東京都Bブロック準々決勝 実践学園高 0-5 堀越高 清瀬内山A]

 東京を代表するエアバトラーが、“有言実行”のゴールを決めた。堀越高は1-0の後半20分、セットプレーの流れからPAでゴールを背にボールを受けたCB井上太聖(3年)がターンしながらの左足シュートでGKの股間を破る。

 飛び込んできたDFをかわしながら、まるでストライカーのようなゴール。「良い折り返しから相手が飛び込んで来るのが見えたので、ターンして最後はあんま覚えていないんですけれども気持ちで押し込みました」と微笑んだ。

 下級生時から注目されたCBだが、新チームスタート時はFWでプレー。新型コロナウイルスによる活動再開後は将来のことを考えてCBに戻っているが、FWの経験を発揮した。チームを2年連続の準決勝へ導く一撃は“有言実行”のゴールでもあったという。

「お父さんからも『オマエが決めなければダメだ』と言われていた。自信は多少あったんですけれども、絶対に決められるという自信まではなくて。だけど、意地張って『オレが決めるから』とずっと言っていたんで決められて良かったです」と井上。この日は圧倒的な高さから打ち込むヘッドによるゴールはなかったものの、見事に1点を奪い取った。

 守備面でも相手のロングボール、迫力のある攻撃にも対応した。身体を張り、背後へのボールに対して身体を投げ出してクリアするなど好守も見せて無失点勝利。「DFラインとGKでも『絶対にゼロで抑えよう』と言っていた。ゼロで抑えられて良かったです」と笑顔を見せた。

 身長182cmのCB井上は、29年ぶりの東京制覇を目指す堀越にとって欠かせない存在だ。特にヘディングの高さが印象的な選手だが、これは1年時の公式戦で課題と感じ、磨いてきたもの。その原動力は「目の前の敵に負けたくない、という気持ちが足の力になっている」と説明する。

 井上は「自分のやりたいことは絶対に誰にも負けたくない」というメンタリティーの持ち主。ヘディングで負けたくない、スピード勝負で負けたくないという思いの強さが自分の力を最大限に引き出し、相手の攻撃を封じる、またゴールを奪う力になっているようだ。

 コロナ禍の影響で実戦が少なかったため、まだまだ空中戦の感覚など完璧なモノではない。それでも、自分のやるべきことをやって東京制覇に貢献する意気込みだ。佐藤実監督は「彼が一番強い思いを持って臨んでいる」と期待。最終学年の今年、「自分が引っ張っていかないというのがあるので、後ろから支えていくという意識は(これまでと)変わっていると思っています」と語る注目CBが、万全の準備をして準決勝へ臨み、決勝への切符を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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