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[MOM3245]九州国際大付GK立石爽馬(3年)_“絶対的守護神”に成長。渾身のPKセーブ

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後半24分にPKをストップ。九州国際大付高GK立石爽馬はビッグプレーからすぐに切り替えて攻撃へ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.31 選手権福岡県予選準々決勝 九州国際大付高 2-1 東海大福岡高 小郡]

“絶対的守護神”のビッグセーブが九州国際大付高を救った。1-0の後半24分、九国大付はPAでのハンドによってPKを献上。相手のロングボールへの対応がズレるシーンが幾度かある中で大ピンチを迎えてしまう。

 だが、「守備がハマっていなかったので1本あるかなと思っていた。試合の流れが悪かったので自分が止めて変えようと思って跳びました。相手のキッカーの試合中のクセとか見ていて、相手が助走取った時に身体の向きと蹴るまでのタイミングを合わせることを意識して右に跳びました」というGK立石爽馬(3年)が右へ跳んでストップ。江藤謙一監督もこの試合を決定づけたプレーとして絶賛した立石のPKセーブが、試合の流れを再び九国大付へと傾けた。

 身長175cmでGKとしては決して大柄ではない。対して、東海大福岡高はこの試合、ロングスローやロングボールを強みに戦ってきていたが、「身長ないので狙われることは試合前から分かっていた」と立石。CB三宮陸矢(3年)やCB磯崎碧(3年)のサポートも受けながらゴール前へのボールは勇気を持って飛び出し、守り続けた。

 後半アディショナルタイムには、立石が至近距離からのシュートを止めたこぼれ球を押し込まれて1点差。完封することができなかったことを悔しがったが、それでもチームを勝たせる活躍だった。

 江藤監督は立石について「成長しました」と認める。昨夏のインターハイ予選決勝では6本のPKを1本も止めることができず、チームは東福岡高に惜敗。夏以降、出番を減らし、最終学年となった今年も当初は他のGKと交互での出場だった。

「(新人戦は)九州2位と福岡優勝という結果だったけれど、チームの絶対的な守護神になれていないことが悔しくて、みんなからとか、監督コーチの信頼をまず勝ち取れていなかったと思う」という立石は、身体作りやパントキック、切り替えの速さ、ステップ、ポジショニングなどこだわって“絶対的な守護神”になることを目指してきた。

 他にも自分を奮い立たせる理由があった。ポジション争いをしていた3年生GKが学業優先のために引退。そこで「覚悟ができた」(江藤監督)という立石は、練習からシュート、PKへのセービングを向上。チームから認められる存在、“絶対的守護神”として大一番のピッチに立ち、そのプレーでチームを救った。

 昨年、先輩たちとともに全国に出られなかった悔しさは忘れていない。その分の思いも込めて、戦っている。目標は優勝だけだ。立石は「(今大会)無失点の試合がまだ一個もない。こだわってきょうの試合に満足することなく、準決勝・決勝は無失点で優勝したいと思います」と宣言。悔しさを糧に成長してきたGKが無失点にこだわって、次も必ず勝つ。

(取材・文 吉田太郎)
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