beacon

岩崎、大嶋の2トップがハット競演!1年生も台頭の前回王者・筑陽学園が福翔との打ち合い制す:福岡

このエントリーをはてなブックマークに追加

後半33分、筑陽学園高はFW大嶋遥人主将が頭でこの日3点目となるゴール

[10.31 選手権福岡県予選準々決勝 福翔高 2-6筑陽学園高 小郡]

 筑陽学園の強力2トップが爆発! 第99回全国高校サッカー選手権福岡県予選は31日、準々決勝1日目の2試合を行い、昨年度優勝の筑陽学園高はFW岩崎巧(3年)とFW大嶋遥人主将(3年)の2トップがともにハットトリックを達成し、福翔高に6-2で勝利。筑陽学園は11月7日の準決勝で九州国際大付高と戦う。

 昨年度の選手権予選決勝で東福岡高をシュート2本に封じる堅守で11年ぶりの全国出場。今年の守備面についてはまだまだ満足の行くものではないようだが、筑陽学園が迫力のあるサイド攻撃や2トップの活躍によってベスト4進出を決めた。

 この日の対戦相手は、1次予選から勝ち上がってきた福翔。立ち上がりはその福翔が相手DFラインの背後を鋭く狙った攻撃とセットプレーでチャンスを作る。だが、筑陽学園は前半9分、大嶋が左ハイサイドでキープ。ここからMF田口遥大(2年)がクロスを上げると、中央の岩崎がヘディングシュートでゴールネットを揺らした。

 筑陽学園は畳み掛ける。10分にもMF瀬戸千太郎(1年)の右クロスから岩崎がヘディングシュート。こぼれ球を最後は大嶋が左足で右隅に決めた。さらに13分には、左クロスで相手のハンドを誘ってPK獲得。これを岩崎が右足で右隅に沈め、あっという間に3-0とした。

 福翔は意欲的な立ち上がりだっただけに、痛い3連続失点。筑陽学園はその後も自信を持って攻めて決定機を作り続ける。そして25分、左サイドから仕掛けた岩崎の折り返しを大嶋がゴールへ流し込み、リードを4点とした。

 福翔は立て直しがきかないまま連続失点。だが、キープ力光る司令塔・MF三上達也主将(3年)やバネのある動きが印象的なMF渡邊泰生(2年)ら中盤、アタッカー陣中心に面白い選手が並ぶ好チームだ。その福翔は40分、FW平野楓大(2年)の落としから渡邊が強烈な右足ミドル。これは筑陽学園GK石橋一真(2年)の好守に阻まれたものの、直後に渡邊がドリブルからのミドルシュートを叩き込んで1点を返して見せる。

 だが、筑陽学園は、鳥栖U-15の主力として全国制覇を経験しているMF北野真平(1年)が身体能力の高さを活かした奪い返しからポスト直撃のシュートを放ったほか、瀬戸がセカンドボールを回収し、187cmCB緒方孝起(2年)が福翔の攻撃を跳ね返すなど2点目を許さない。

 逆に交代出場のMF杉森隼人(1年)が右サイドで推進力ある動きを続けると28分、
その杉森がDF1人を突破してクロス。これを岩崎がダイビングヘッドで決めてハットトリックを達成した。さらに34分にも交代出場MF喜連川友哉(2年)の左クロスを大嶋が頭でゴール右隅へ流し込む。

 これで大嶋も3点目。「(中学時代に)市選抜から一緒にやってきて相性もあった。新チームになってからも巧と話していて、『2人で点決める』というのが今年のポイントだなと感じていた」という大嶋と岩崎のハット競演によって6-1となった。福翔も三上やMF小山真之介(2年)らが諦めずに攻め続ける。そして後半アディショナルタイム、MF藤井玲於奈(3年)が個人技で左サイドをこじ開けて意地の1点。だが、鋭いサイド攻撃からゴールを連発した筑陽学園が撃ち勝った。

 筑陽学園はこの日、ともに1年生の北野と瀬戸が先発出場。加えて杉森やCB平田大和(1年)ら1年生の台頭が目立つ。大嶋が「チーム内の競争が一番大事。チーム内の練習で競争できたのが良かったと思います」というように、彼らがチームの競争力を高めている。

 一方で青柳良久監督が「3年生が支えてますよ」と頷くように、大嶋や岩崎、左SB大塚剣士(3年)、CB木京孝太(3年)、右SB長濱昇太朗(3年)ら3年生が下級生の力をうまく引き出しているようだ。この日のように、下級生から刺激を受けた3年生が活躍していることも大きい。

 連覇まであと2勝。スーパープリンスリーグ九州では怪我人の影響や試行錯誤していたこともあって5連敗を喫したが、苦戦も経験しながらチームは状態を上げてきている。

 吉浦茂和総監督は試合後、選手たちへ向けて「あと2つやね。この一週間が一番大事。頑張ろう」と声がけしていた。選手たちは王者としてではなく、挑戦者として福岡県予選に臨んでいる。大嶋は「王者というのは意識していなくてチャレンジャーとして臨むのが大事だと思っている。チャレンジャー精神を持って、あと2試合戦って優勝したいと思っています」と宣言した。激化した競争を経て力を高めている筑陽学園が準決勝、そして決勝での勝利に挑戦する。
 
(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2020

TOP