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[MOM3249]聖光学院FW今野大樹(3年)_決勝点!コンバートされた位置で示す新たな貢献のカタチ

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聖光学院高のFW今野大樹は決勝点を叩き出した

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.31 選手権福島県予選準決勝 聖光学院高1-0帝京安積 西部]

 常に相手の脅威となっていた。聖光学院高のFW今野大樹(3年)は、値千金の先制点を決めただけでなく、ドリブルキープで攻撃の起点となり、最後まで存在感を示し続けた。

 第99回全国高校サッカー選手権、福島県大会の準決勝。前半4分、左サイドからパスを受けた今野は、右足で中央へコントロールして、そのまま右足でシュート。ファーサイドを狙って当たり損ねたが、ボールはニアサイドを抜けてゴールへ吸い込まれた。

 今野は「先制点でチームの一人一人の気持ちが高まったかなと思ったので、自分の1点でチームが大きく変わったのかなと思います」とチームに活力を与えられたという面での手ごたえを語った。その後も左サイドに流れては、縦突破と右足クロスの選択肢で相手を揺さぶり、サイドチェンジやクロスでチャンスを演出した。ストライカーでありながら、展開力にも長けている理由は、昨年度までのポジションと関係があるのだろう。

 今野がFWで起用されるようになったのは、新チームになってから。昨年度まではボランチだった。チームが、ポストプレータイプのFW佐藤慧真(2年)と2トップを組むタイプを探る中で起用されると、新たな形でチームへの貢献度を示した。

 山田喜行監督は「裏に抜けるタイミングが良く(2点を決めた)準々決勝のように、体勢を崩しながらでもゴールに向かえるとか、攻撃センスは、面白いものがある。簡単じゃないゲームで、チームを助けてくれるのは、エースストライカー」と2試合連続ゴールを決めたエースを称賛した。キャプテンマークを巻く8番にボールが渡れば、チャンスになる。味方にそんな気持ちを与えることが、苦しい場面でチームが粘る力となる。

 コンバートによって、新たな武器が見えてきたことは、個人としての成長の機会にもなった。FWに転向してからは、遠目からでも積極的にゴールを狙うようになったという。また、足下ではなく相手の背後へ抜け出してボールを要求する場面も増えた。中盤よりもマークが厳しくなるゴール前でシュートを打ち切るために、利き足ではない左足でのシュートも練習。ボールを持ったときに周囲が見えているという特徴を生かしたパスだけでなく、わずかな時間でゴールに迫るスキルも磨き、プレーの幅を広げている。

 進化するストライカーが目指すのは、もちろん全国の舞台だ。今野が聖光学院を進路に選んだのは、2学年上の兄・祐樹の影響だった。しかし、ここまではなかなか定位置を獲得できず、一緒に選手権に出る夢はかなわなかった。最終学年の今年にかける思いは強い。

 折しも今季はコロナ禍でインターハイ等の大会が次々に中止になり、選手権は文字通りすべてをぶつける舞台となった。11月7日に行われる決勝戦では、前回王者の尚志高を破った学法石川高と対戦する。「練習試合でも負けているし、今季のチームで一度も勝っていない。チャレンジャー精神を持って、リベンジを果たしたいです。昨年(尚志に)決勝で負けているので、相手は違いますけど、全力で臨みたいです」と意気込んだ。最終学年で変ぼうを遂げた今野は、兄が届かなかった舞台を目指す。

(取材・文 平野貴也)
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