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海星が四日市中央工から悲願の勝利!「皆の勝ちたい気持ち」が結実、PK接戦を制して三重4強へ

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勝利に喜びを爆発させる海星

[10.31 選手権三重県予選準々決勝 海星高 1-1(PK5-3)四日市中央工高 伊勢フットボールヴィレッジD]

 第99回全国高校サッカー選手権三重県予選は31日、準々決勝を行い、海星高四日市中央工高が対戦した。両者譲らずPK戦までもつれた一戦は、1-1のまま80分間が終了。海星がPK戦を5-3で制し、3日に行われる準決勝へと駒を進めた。

 34度の選手権出場を誇る四日市中央工に対し、海星は2016年度の一度のみ。出場回数の差以上に苦手意識は強く、これまで選手権予選で一度も四日市中央工に勝てていない。今年の3年生は昨年、一昨年と決勝での敗戦を経験しているため、気後しそうな物だが、試合前の様子を見るとそんな素振りは一切感じない。「2年連続悔しい想いをしているので今年はどうしても負けられなかった。決勝で当たると勝ちなれている四中工が有利になるかなと思っていたので、ベスト8で当たるのは良かった」(DF服部舜、3年)。

「攻撃はある程度できると思うので、自信を持って送り出した。相手がプレッシャーをかけてくると思うけど、怖がらずに繋いでいけと伝えた」。青柳隆監督に背中を押された海星の選手たちは序盤から四日市中央工のプレスを物ともせず、相手エリアへと前進。MF朴誠樹(3年)やFW中村藤也(3年)が力強い突破を繰り返し、四日市中央工はファウルで止めるしかない程だった。

 前半16分には左CKを獲得。MF長嶋叶翔(3年)が上げたクロスをDF小林春輝(3年)がタイミングよく頭で合わせたが、シュートはクロスバーに阻まれた。以降も見せ場を作りながら、無得点。「前半で点が欲しかった」(青柳監督)一方で、GK栗村真尋(2年)は「前半は結構攻めることができていたので、一点獲れるのが理想だったけど、始まる前から0-0でも良いと考えていた。とにかく失点しないことを最優先に考えていた」と振り返る。

 後半からはセカンドボールへの反応が良くなった四日市中央工が良い守備から攻撃に転じる回数が増え始めた。後半9分には中盤でのカットから右のMF小山悠乃(3年)がゴール前にパス。MF川北琉雅(1年)がシュートを放ったが枠の上。16分には右CKをDF伊藤大空(3年)が頭で合わせたが、栗村の好セーブに阻まれた。ピンチを耐え続けた海星だが、17分には左CKをMF宮木優一(3年)に決められ、先制点を許した。

 追い掛ける展開を強いられたものの、海星の気持ちは落ちない。「先制点を獲られたので落ちていくかと思ったけど、しっかり耐えて自分たちのペースに持って行けた。一点獲られてから落ちていった新人戦の悔しい想いがあったので、そこから意識して練習してきた」と振り返るのはFW和田涼雅(3年)だ。29分は低い位置で受けた朴が右前方に展開すると、服部が素早く攻撃参加。ゴール前に入れたパスを和田が合わせて同点に追いついた。以降は疲労の色が隠せなかったが、「苦しくて何人もの選手が足を攣っていたけど、皆の勝ちたい気持ちが出せていた」(栗村)。粘り強い戦いで後半と延長戦を凌ぐと、1-1のまま勝負の行方はPK戦に委ねられた。

 しかし、今年の海星はPKとの相性が悪い。今年に行った練習試合の全てでPK戦を行いながら全敗していたが、この日は延長後半終了間際に投入されたGK臼井玖流(3年)が大活躍。一人目のキックを防ぐと、海星は5人全てのキッカーが成功し、5-3で白星を掴んだ。試合後は喜びに沸く選手たちを青柳監督が「まだ何も成し遂げてないぞ」と窘める場面も見られたが、選手たちはここがゴールでないことはよく分かっている。「ここからどれだけ上げられるか大事」と話すのは和田だ。服部は「気を抜かずにしっかり2勝して、全国に行きたい」と力強く宣言した。

(取材・文 森田将義)
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