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[MOM3251]三重MF前田大空(3年)_チームを支える“大黒柱”、大量得点の口火切る先制点

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三重高を支える“大黒柱”MF前田大空(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.31 選手権三重県予選準々決勝 三重高 5-1 伊賀白鳳高 伊勢フットボールヴィレッジC]

 結果で見れば三重高の快勝だが、序盤は動きの固さが目立ち、理想とする攻撃ができない時間が続いた。重たい空気を打破したのは、ボランチのMF前田大空(3年)の働きだった。

「自分が攻撃の起点になろうと考えていた」前田はチームが上手く行かない中でも、3列目の散らしで攻撃のリズムを作ろうと奮闘。同時に「相手が強いチームになるほどうまく行かない時間が増えると思うけど、個人でやるのではなくチーム全体でパススピードに拘ったり、ポジション修正を意識した」とチーム全体での意識付けもピッチ内で行った。もう一つ効果的だったのは3列目からの飛び出しだ。パートナーを組むMF吉村優志(2年)とバランスを見ながら高い位置に顔を出した彼の動きは相手にとって厄介で、前半16分にはDF橋爪凌哉(3年)のロングフィードを左前方で受け、DF世古七海人(3年)のクロスを呼んだ。

 最大の見せ場が訪れたのは、前半21分に世古のオーバーラップから奪った左CKだ。橋爪がゴール前に上げたクロスを頭で合わせた一撃がゴールネットに突き刺さった。「あまり身長も高くないので、ヘディングでのゴールは思い出せないくらい久しぶり。今日は獲れて良かった」と振り返る一撃によって、チームの固さがとれ2点目以降に繋がったのは間違いない。

 後半は吉村が積極的に中央突破を仕掛けたため、守備のバランスをとりながらも「僕がどんどんパスを配球していこうと思った」。後半25分に1点を返されたが、「失点がしても崩れなかったのが大きかった。守備がしっかりハマって前向きで獲れたのが大きかった」と振り返る通り、以降は良い位置での守備から攻撃に転じ、残り20分を切ってから3ゴール。前田は「立ち上がりに上手く行かない時間が続いたり、今日は我慢の時間が続いたと思うけど、試合の中で一人ひとりが喋って改善できた結果が最後のゴールに繋がった」と振り返った。攻撃の口火を切ることになった先制点はもちろん、試合状況に応じたプレーを適切に選択した前田の存在は大きかったのは間違いない。「相手の反応を見てサッカーをしていこうと意識している」三重を支える大黒柱だ。

 準決勝以降は更に難敵が待ち受けるが、我慢から大勝に繋げたこの日の戦いを再現できれば、自ずと結果もついてくる。そうした展開になると、「僕らは新人戦も獲れたので、選手権も獲れる自信がある」と話す前田の存在も再び輝くはずだ。

(取材・文 森田将義)
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