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【引退会見全文】中村憲剛が今季限りで現役引退「この年齢で、求められる選手のまま引退したい」

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MF中村憲剛が会見で引退の思いを語る

 川崎フロンターレは1日、公式Youtubeチャンネルで会見を開き、MF中村憲剛(40)が今季限りで現役を引退することを発表。引退発表の胸中や、引退を決めた経緯を振り返った。全文は以下のとおり。

――引退発表する言葉を発した気持ちは。
「正直ほっとしているというか。いつかはこの言葉を言う日がくると思っていましたし、それを色んな人に事前に伝えて、チームメートには今日伝えて、今日みなさんにこのような形で話ができたので。自分の中ですごく溜めていたものがあったので、ほっとしているというか、スッキリしているというか、今はそういう気持ちです」

――引退はいつ決めたか。
「最終的に判断したのは35歳を過ぎたとき。もともと30歳を過ぎたとき、選手としての終わり方、引退をどうするかっていうのを漠然と考えていて。30歳を過ぎたときに、35まで頑張ろうと思っていて。35のときにはちょうど風間さんが2012年に来て、自分のサッカー観も変わりましたし、チームも右肩上がりというか、僕自身も伸びながらだったんで、35でやめるっていう発想は33、34のときはなくて。35の誕生日を迎えたときに、妻と40まで、一般的に言えば、40歳までサッカーをやっている選手はいませんし、僕自身がどうなるかわかりませんでしたし、40というところで区切りをつけて、残り5年をとにかく目の前の一年一年を勝負に頑張ろうと、ここまでやってきました」

「35で決めてから36でMVPを頂いて、37で初優勝して、その次は連覇して、去年はルヴァンカップ。本当に終わりが決まったからこそ、それまでの苦労が嘘のようにタイトルが、個人でもそうですけど、手に入って。自分の中で40で終わるっていう終着点みたいなのが見えてきたところで、ルヴァン優勝して、その次に誕生日が来て、その次の最初の試合で前十字を切ったので」

「リミットをもう決めていた段階で前十字を切ったので、なんとしても復帰して、その姿をみなさんに見せて引退するんだっていう。今シーズンで終わるって決めていたので一日でも早く戻りたいっていう気持ちが、みんなの前でプレーをするっていう目標がより強くなって、それで戻って来て、鬼さんとも話をしながら、徐々に試合の出場時間も増えてきて。昨日40歳の誕生日の試合で自分で点を取って勝つっていう、自分でも言葉にならないようなパワーが、それは自分が引退するんだっていう強い気持ちがあったからこそ。ここまでの5年っていうのは特に色んなことが引き寄せられたと思っていますし、自分だけではなくて、多くの人のサポートがあってこそなんですけど、そういう意味では、色んなものが今シーズンの終わりに向けて集約されているようなイメージではあります」

――自身の子どもにはいつ伝えましたか。
「子どもには今週の月曜(10月26日)に伝えました。一番伝えるのがつらいというか、彼らのリアクションがわかっていたので。手紙を書いて2人に渡して、直接話せる自信がなかったので、手紙を渡してから、一番下の子が寝ていたので、上の2人には話しました。上の長男は小6で長女は小4なので、理解はしていましたし、すごく残念というか、さみしいという話はしていましたけど、その上でしっかり話をして、それを受け入れようと日々してくれているので、そこには感謝しかないです」

――チームメートにはいつ話をしたか。
「火曜日(10月27日)。年長者の選手と長くやっている選手、ソンリョン、家長、小林、登里、谷口、大島、安藤には直接1対1で呼び出して話をしました。全員まったく同じリアクションだったんですけど、『えっ、今じゃないでしょう。なんで?』って。説明をして、彼らと話をしながら、自分の思いは伝えられましたし、彼らも受け入れてくれたので、本当にすごく伝えるのが重いというか、みんなのリアクションが温かく重かったので、少し体調を崩しかけましたけど。それくらい、僕自身も勇気がいりましたし、急に言われたと思うので、本当に申し訳ないなと思いつつ、みんないい言葉をかけてくれましたし、僕も伝えたいことを伝えられたので、面と向かって言えてよかったと思います」

「他の選手は今日ですね。鬼さんに集めてもらって、全選手と、全スタッフが集まって、そこで話させてもらいました。一番最初に引退するって伝えて、みんなの顔を観て、みんな本当にびっくりしていたので、それだけの話だと痛感していますし、いつか言わなければいけないことなので、逆にギリギリになって言うよりも、まだ試合も残っていますし、しっかりやっていきたいと伝えました。みんなと残り2か月なので」

――11月1日に発表した理由は。
「鬼木監督に話をしたのが先週で。そこから色んなことが動いたので、今回のこの会見も1日に設定してもらって。サポーターのみなさんに、ギリギリまで黙っていて、お別れの話をしてから試合がないっていうのはないなって思っていたし、鬼さんも強化部も日にちはいつでもって話はしてもらったので、今日にしてもらいました」

「ずっと連戦だったので、ずっと過密日程の中でチームも走っていたので。僕自身もリハビリが長かったですし、やっと戻ってこれて名古屋戦でスタメンで出れて、チームに貢献できたところで、やっと選手としてちゃんと話ができる状態になったかなと。そこで鬼さんにちゃんと話そうと思っていて。話し出したタイミングと、みなさんのアドバイスと含めて、あとは40歳を迎えた次の日っていうことも含めて、この日に決めました」

――ちょうど1年前に怪我。その瞬間に、この一年後の姿は想像できたか。
「正直、できていないというか、こういう形にしたかったですけど、難しいだろうなって最初は思いました。でも終わりが決まっていましたし、なんとしてでもリハビリをしっかりやって戻って、戻るだけじゃなくて、その後にチームの勝利に貢献できるところまで頑張るっていう話はしていたので。昨日もそうですけど、前十字を切るっていうのはすごく難しいことで、逆にモチベーションになりましたし、中村憲剛やるじゃんって、すげーって思ってもらえるような形まで戻したかったっていうのは自分の中であったので、切ったときはそんなことは思いませんでしたけど、試合に戻っていくうちに、そういう自分でありたいっていうか、それを期待している自分がいたので、昨日の試合で、それが見せれたっていうのはすごく嬉しく思っていますし、周りのみんなに改めて感謝しかないなって痛感する一年になりました」

――40歳の誕生日に、多摩川クラシコでゴール。
「考えられないというか、誰かが何か、操作してるんじゃないかっていうくらいの出来事が起き過ぎて、自分でもびっくりしていて、この年齢でこういうことが起きていいんだろうかって思うところで、僕は等々力に神様がいるんだって思っていて。改めてそういう存在っていうか、スピリチュアルな話ですけど、感じざるをえないくらい、すごい話だなって。自分の話なんですけど、信じられない思いで今もいます」

――サポーターの存在は。
「サポーターの存在なしでは、今の僕は100%いないと断言できます。それくらいフロンターレのサポーターには後押しをし続けてもらったというか。ずっと支えられっぱなしだったので。フロンターレのサポーターは日本一だと思ってるので、そのみなさんに優勝をプレゼントできたのは、今でも一生忘れない思い出ですし、感謝しかないです」

――鬼木監督からも引き留めの声が。引退に悔いはないか。
「正直、鬼さんのコメントが俺にとって一番の賛辞で、この年齢でそれだけ求められる選手のまま引退したいっていうのはあったので、前十字のリハビリをしている間に始まった今シーズンのフロンターレの成績、僕がいなくても後輩たちが成長して、立派な成績を残しましたし、上から観ていて頼もしさ、タフさは感じていましたし、自分がいなくてもって言い方おかしいですけど、十分戦えるって結果で示してくれました」

「逆に戻るという意味ではハードルが上がって、普通にリハビリをして普通に練習をしているだけじゃ戻れない集団になっていたので、リミットがある僕にとってプロサッカー人生で一番ハードルが高い期間だったと思うんですけど、それを乗り越えて試合に出れたときは、今までの自分でも一番の感覚でやり出せている感覚ではあるので、後輩たちには感謝しかないですし、自分を使ってくれた鬼さんにも感謝しかない、という気持ちでいっぱいです」

――残り時間は少ない。何をすべきか。
「今日選手たちの前では話したんですけど、あと最長でも2か月なので、一日も無駄にはしたくないし、楽しみたいし、ともにタイトルを獲りたいので。引退はしますけど、ここから2か月競争は始まりますし、最後まで試合に出続けたいので、みんなと切磋琢磨して、連勝を続けているのでそれに貢献できるようにやるだけですし、タイトルを獲りたいっていう気持ちは今まで一番強いかもしれない。それが強すぎてみんなの負担にならないように、自分の役割を考えながら、今までと同じようにしっかりやっていきたい」

――改めてサポーターにメッセージ。
「まずはこのタイミングでこのような形で自分の引退を発表させてもらうことに、びっくりさせた方には申し訳ない。ただ、逆に、僕自身はギリギリで話はしたくなかったですし、自分がプレーできる状態で、この形で引退を発表したかったので、この後リーグは続きますし、上位に入れば天皇杯もあるので、みなさんと等々力でもアウェーでも戦えることを楽しみにしています」

「2003年に入団してから、2003年よりも前からフロンターレのサポーターの方も、ここ1、2年でサポーターになった方もいると思います。すべての支えがあって走ってこれました。感謝してもし切れません。ありがとうございました。コロナの状況でなかなかサポーターも無観客だったりとか、人数が制限されたりとか、そういう中で引退してもいいのかっていうのは、正直決めていたとはいえ、ちょっとありました」

「けど、自分の思いっていうのはそういうことではなくて、今シーズンでみんなの前でしっかり辞めるっていうのは、気持ちは固まっていたので、そこに関しては申し訳なく思っています。こういう形のスタジアムの状況で、練習場、ファンサービスも出来ない中で、最後の挨拶もできない可能性がある中で、こういう形で引退の発表をさせてもらうことを申し訳なく思っています。これからもしっかりプレーで魅せていきたいと思っていますし、昨日のようにみんなで喜べる等々力で最後まで戦いたいと思っていますので、引き続き最後までよろしくお願いします」

――日本のサッカーファンへ。
「ほかのJクラブのサポーターのみなさんからも、僕が怪我をしたときに、たくさんコメントを頂いて、なんて自分は幸せものなんだろうと改めて感じることができました。改めて感謝しています。本当にありがとうございました。僕自身はフロンターレの人間で、対戦するときはにっくき中村憲剛だとは思うんですけど、僕自身はJリーグに育ててもらいましたし、これだけ素晴らしい温かいリーグっていうのは世界を見渡してもどこにもないと思うので、それは誇れることだと思うし、フロンターレの人間ですけど、Jリーグ大好きなので、感謝しかないです」

「フロンターレに育ててもらって、Jリーグに育ててもらって、日本サッカーのサポーターのみなさんに支えてもらって応援してもらってここまでこれたので、今後とも日本サッカーに貢献したいと思っていますし、引き続き温かい目で見守ってほしいなと思っています。ありがとうございました」

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