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「あの負け」を糧に再び輝く。“赤い彗星”東福岡は課題残すも、4-0で福岡準決勝へ

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前半30分、東福岡高MF遠藤貴成がこの日2点目のゴール

[11.1 選手権福岡県予選準々決勝 東福岡高 4-0 誠修高 本城]

「あの負け」を糧に再び輝く――。第99回全国高校サッカー選手権福岡県予選は1日、準々決勝2日目の2試合を行った。2年ぶりの優勝を狙う東福岡高が4-0で誠修高に勝利。東福岡は11月7日の準決勝で飯塚高と戦う。

 前回大会決勝で筑陽学園高に0-1で敗れ、連覇が6でストップ。今年の新人戦も準決勝で九州国際大付高にPK戦で敗れて連覇が7で止まった。近年、福岡の絶対王者として君臨し、全国2冠やインターハイ連覇を成し遂げてきた“赤い彗星”東福岡は、まず福岡のタイトル奪還への戦い。「あの負けがあったから」と言えるような結果をこの選手権で求めている。

 今大会初戦から2試合連続7-0の勝利を収めてきた東福岡は、試合開始直後に早くも先制点を奪う。1分、右SB森川英智(3年)のサイドチェンジを起点とした攻撃から、左SH青木俊輔(3年)がクロス。これをファーサイドのMF遠藤貴成(3年)が右足ダイレクトボレーで決めた。

 鮮やかな形で先制した東福岡は、その後もボールを支配して攻め続ける。得意のオープン攻撃やセットプレーから185cmの大型FW長野星輝(3年)がヘディングシュートを連発。セットプレーの流れからCB野口明(3年)が決定機を迎えるシーンもあった。

 誠修はベンチからの声を背に前からの守備を継続。東福岡のパスの出しどころや仕掛けてくる選手にギリギリまで身体を寄せて、何とかその攻撃を乱そうとする。それでも、東福岡の長野や青木の上手さに上回られていたが、精力的な守備を継続したことで失点を最小限に留めていた。

 だが、東福岡はボールを失っても主将のMF上田瑞季(3年)やMF松永響(3年)が出足速くボールを奪い返し、波状攻撃。30分にはFW日高駿佑(3年)が相手のミスを誘発し、右サイドからラストパスを通す。GK不在のゴールに遠藤が右足で決めて、2-0とした。

 東福岡は相手に攻撃機会をほとんど与えず、ゲームをコントロール。左サイドでの連動した崩しから青木が決定機を迎えるなど追加点のチャンスも作った。だが、ゴール前での精度を欠いたほか、誠修GK倉員唯人(3年)のファインセーブにあうなど前半はシュート13本で2得点。また、後半は“良い攻撃をしてやろう”という欲も出てしまったか、シンプルさを欠いて良いリズムとは言えない40分間となった。

 誠修は回数こそ少なかったものの、MF島遥人(3年)がパワフルなドリブルで会場を沸かせて見せる。また、CB今村柊真(3年)やCB石原純太(3年)を中心に我慢強い守りで強豪に食い下がっていた。なかなか追加点を奪えなかった東福岡だが、23分に敵陣で奪い返し、日高が青木へ繋ぐ。そして、青木が強烈な左足シュートで3点目を奪った。

 東福岡は幾度かカウンターを受けていたものの、野口やCB左座佑眞(3年)が相手をゴールに近づけず、被シュートゼロ。38分にも交代出場のMF岩井琢朗(3年)が左足でゴールを破った。結果は4-0で快勝。だが、森重潤也監督は「課題はいっぱいあります」と引き締めていた。

 この日は“やってやろう”という気持ちがやや空回りした感もあった東福岡だが、昨年決勝の敗戦が大きなエネルギーになっていることは間違いない。勝利を欲するチームは、この準々決勝へ向けて週3度のミーティング。自分たちで意見をぶつけ合う場を設けて少しでもコミュニケーションを高めようとしている。

 昨年の敗戦を知る上田は「あの負けは何て言ったら良いのか……とにかく悔しかったですし、県予選で勝つ難しさを自分は実感しているので、それをみんなに伝えることを1年間やってきた。あの悔しさは忘れていないですし、県では絶対に負けてはいけないというのが東福岡だと思う」とコメント。選手権日本一に輝いた15年度や翌16年度は福岡決勝でも大差をつけて勝利しているが、先輩たちは決して簡単に連覇してきた訳ではない。今年のチームは福岡で勝つことの難しさを学び、選手権でのリベンジを目指してきた。

 準決勝、決勝は1点差でも必ず勝つこと。そして必ず今年、福岡のタイトルを奪還する。1年時に優勝、2年時に準優勝をピッチで経験した青木は「勝つのは難しいし、それを実感した。それでも、勝たないといけないので、勝ちたいです」と力を込め、上田は「(ライバルたちに)『ヒガシにも勝てる』と思わせてしまったので、まだまだ『やっぱりヒガシは強いぞ』と準決勝、決勝で見せたいと思います。『あの負けがあったから』と言えたら。(今年のチームについて)自分は全国でも優勝を狙えるチームだと思っているので、目の前の試合に集中するだけです」と誓った。

 森重監督は「こういう状況でありながらもサッカーをできる喜びと、準備してくれた方々への感謝もある。“最後まで”しっかりと戦っていきたい」。全国大会でも最後(決勝)まで勝ち上がり、奪還することがチームの掲げている目標だ。個性的な選手が多くポテンシャルは十分あるものの、ここからさらなる成長を遂げなければ掴み取ることができないことも確か。だからこそ、一日一日貪欲に成長を求め、全員で強いチームを作り上げて再び“赤い彗星”は輝く。
 
(取材・文 吉田太郎)
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