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石川連覇狙う鵬学園は「この一年の成長が出せた」準決勝に。我慢強く戦い,1-0で金沢桜丘突破

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後半31分、FW判治海斗の決勝点を喜ぶ鵬学園高イレブン

[11.1 選手権石川県予選準決勝 鵬学園高 1-0 金沢桜丘高 金沢市民]

 第99回全国高校サッカー選手権石川県予選は1日に準決勝を行い、前年王者の鵬学園高金沢桜丘高が対戦。FW判治海斗(3年)の決勝ゴールによって、鵬学園が1-0で勝利した。

 打倒・鵬学園を目指す金沢桜丘に苦しみながらの勝利。試合内容には満足できない。それでも、試合後の赤地信彦監督が「どんな内容であっても、勝って次の舞台に行けるのは大きい」と前を向いた通り、価値のある一勝だったことは間違いない。

 前年王者ではあるが、昨年の主力が少ない鵬学園に対し、金沢桜丘は昨年から試合に絡む選手が多かった。経験値の差は大きく、序盤の鵬学園は大舞台での緊張からミスが目立った。

 また、金沢桜丘は準々決勝から大幅にメンバーを変更。鵬学園をかく乱させながら、MF角村諒太(3年)と小山内洋平(3年)のダブルボランチが中央でのボールハントから素早くサイド攻撃を繰り出した。

 最初に見せ場を作ったのは、勢いよく試合に入った金沢桜丘の方。前半4分、左でボールを持ったMF蟹貴文(1年)がカットインからゴールを狙ったが、鵬学園GK藤原洸生(3年)が触って、CKに逃れた。

 思い通りの攻撃ができない鵬学園ではあったが、前半半ばからは「自分の所が空くのは分かっていたので、点を獲る勢いで狙いに行った」と振り返る右SB長島琉也(3年)が積極的にアップダウンを繰り返し、攻撃を活性化。22分には右サイドのスローインからMF今崎達也(3年)がクロスを上げると、FW佐藤瑠哉(3年)がフリーでヘディングシュートを放った。だが、枠外。38分に判治がMF鈴木嶺騎(3年)とのワンツーでPA内に抜けて打ったシュートも、GKに防がれた。

 エンドが代わった後半も、鵬学園は思い通りに試合が運べない。「風の影響もあったので、前半はゼロで耐えて、後半に仕掛けようと考えていた」(内山)が、フレッシュな選手を次々に投入する金沢桜丘に手を焼き、後半4分にはDF新甫唯人(2年)のクロスからFW宮村彪雅(3年)にシュートを打たれた。残り時間が刻一刻と減っていく中でも先制点が奪えず焦りの色も見え始めたが、選手たちが「自分たちで雰囲気を悪くするな」などと声をかけ、前を向き続けた。

 そうした我慢強い戦いが、実る。31分、右サイドの高い位置でスローインを獲得すると、途中出場のFW坂本陽斗(1年)が素早く今崎へと展開。ゴール前に上げたクロスを判治が頭で叩き込むと、このゴールが決勝点となった。

 この一年、鵬学園は監督、選手全員が連覇の重圧を背負いながらボールを追い掛け続けた。新型コロナウイルスの影響によって経験値を高める場すらもなかったが、夏休みに行った3日間の合宿でチーム力を高めるなどしてきた。内山は「厳しい練習だけでなく、赤地先生から言われる日常の部分も妥協せずにやってきた。そういう我慢強さが自分たちの強みだと思う」と口にする。

 赤地監督もこう口にする。「今日のゲームでこの一年の成長が出せた。自分たちのやりたいことができない中でも勝たなくちゃいけないという強さを感じたし、『絶対に追われる立場になるから、隙を見せたらいけない』とやってきた成果が出せた。今日の試合で負けていたら、『鵬はまだまだ』と言われていたと思うので、苦しみながらも勝てたのは大きい」。強豪への階段を登るために、鵬学園はまだ負けられない。昨年の再戦となる星稜高との決勝でも結果にこだわり、再び歓喜に沸く。

(取材・文 森田将義)
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