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[MOM3259]共愛学園MF山中悠聖(3年)_80+4分から逆転2発! 学校の歴史を変えた「最高のゴール」

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共愛学園高MF山中悠聖(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.1 選手権群馬県予選準決勝 新島学園高1-4(延長)共愛学園高 敷島公園サッカー・ラグビー場]

 0-1で迎えた後半アディショナルタイム4分、初の決勝進出を目指す共愛学園高の望みを繋いだのはMF山中悠聖(3年)の落ち着いた右足シュートだった。「何が何でも同点に追いついて延長に持っていく」。強い気持ちを見事に結実させた背番号11は、延長戦前半に完璧なミドルシュートで勝ち越し弾も記録。一人で逆転に導く値千金の2ゴールで、創部19年目を迎えた同校の歴史を切り開く立役者となった。

 規定の前後半80分間で放ったシュート数は新島学園高の3本に対し、共愛学園はその4倍超
。1点ビハインドの状況から圧倒的に攻め続けていた臙脂のユニフォームだったが、ゴール前で必死に身体を張ってくる相手の守備をなかなか崩せないまま時間を過ごしていた。「相手GKがうまかったので、正直ダメかなとも思った」(山中)。それでも後半ラストプレー、チームを通じて14本目のシュートがようやくゴールネットを揺らした。

「みんながどんどん打っているけど、ちょっと違うのを打ってみようとずっと思っていた。それが最後の最後に来た」。わずか5分前に投入されたばかりのFW大谷秀虎(2年)の落としを受けた山中は、強いシュートではなくゴール右隅を狙った右足インフロントキックを選択。それまでの時間帯は強烈なシュートを次々に止めていた新島学園守備陣も、この落ち着いたキックには反応できず、ピッチに崩れ落ちる形となった。

 これでスコアは1-1。勝負の行方は延長戦に委ねられたが、背番号11は開始3分でまたも相手の希望を打ち砕くゴールを決めた。両チームの蹴り合いから出されたFW須藤倫汰(3年)の縦パスを大谷がバイタルエリアで受けると、再び落とされたボールに山中が反応。ミドルレンジから今度は力強く右足を振り抜き、ドライブ気味のシュートをゴール右上隅に突き刺した。「人生で一番。最高のゴールでした」(大谷)。高校サッカー生活の大一番で決まった美しい一撃だった。

 なお山中はゴールを決めた直後、歓喜のあまりハイジャンプで足をつらせて負傷交代。「みんなとベンチに走りたかった」と照れ笑いを浮かべつつゆっくりとピッチを退いたが、チームはそこからさらに2点を追加し、悲願の決勝進出を決めた。「全員で鼓舞しあえる力はどこにも負けない」。山中はそう信頼するチームメートを信じ、ベンチで歓喜のホイッスルを迎えた。

 1週間後はいよいよ県の決勝戦。県内の強豪クラブであるFCおおたで中学時代を過ごし、フットサルとサッカーの両立を目指して共愛学園を選んだ山中にとって、自身の選択が正しかったと証明するための一戦ともなる。

「自分はシュートのタイプじゃなく、パスで味方を使ったり、ドリブルで人を抜いたりするアシストタイプだった。でも準決勝で2点を決めて勝てたので持ってるんじゃないかって思えた」。自らの新たな才能開花を自覚しているFWは前橋商高との決戦に向けて「また自分が点を決められるように1週間練習していきたい」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)
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