[11.3 選手権長崎県予選準決勝 長崎南山高 1-2 長崎総合科学大附高 百花台公園サッカー場]

　再就任した主将は、背中で、声で長崎総合科学大附高を引っ張っている。FW一宮優斗主将(3年)はこの日、最前線で一際運動量を発揮。前半に抜け出しからシュートを撃ち込むと、後半にもスルーパスからシュートを放ったほか、サイドを鋭く切れ込んで決定機を演出した。

「自分は口だけじゃ絶対に付いて来てくれないので、まず行動で示してから、というふうにしていますね。前から後ろのために、みんなのために走ることを自分は求められると思うので、自分はそういうところを出していきたい」と一宮。特に後半は攻撃面だけでなく、ハイプレスの最先鋒となって背中でチームにエネルギーを与えていた。

　小嶺忠敏監督はチームリーダーについて、「良いリーダーシップがありますよ」と評価する。その一宮は夏遠征明け頃に再就任した主将だ。新チーム発足当初は主将を務めていたものの、「最初はみんなに嫌な顔をされて何も言えなかったりしていた」という一宮は新人戦後に下級生時からレギュラーのMF藤田和也(3年)と主将交代。カリスマ性があり、チームメートに意見することもできる藤田が牽引役となっていたが、一宮が再び主将に指名された。

　2度目の主将就任。ここで意識したことがある。「今はチームのため、みんなのためと思って、嫌な顔をされても言い続けるようにしている」。まず自分が率先してやるべきことをやる。その上でチームメートに意見する一宮をチームメートも認めている。

　GK梶原駿哉(3年)は「(一宮は)結構人にモノを言えるタイプなので自分もやるし、足りないことは率先してミーティングで言っている」と評す。また、後輩はその3年生たちの引っ張る力を心強く感じているようだ。

　DF児玉勇翔(2年)は「自分たちを引っ張ってくれるというか、試合中に声をかけてくれたり。厳しく言うこともあるんですけれども試合中ですから」。これまでから変わった一宮が、より厳しさを加えた長崎総科大附。上手く行かない時期から復調したチームを牽引する主将が、決勝でも変わらずに誰よりも声を出し、背中で示す。

(取材・文　吉田太郎)

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