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エース多田2発、2年生も躍動の矢板中央が打ち合い制す! 國學院栃木破り4連覇王手:栃木

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矢板中央が4年連続の決勝進出を決めた

[11.7 高校選手権栃木県予選準決勝 矢板中央4-2國學院栃木 栃木グ]

 第99回全国高校サッカー選手権栃木県予選は7日、栃木グリーンスタジアムで準決勝を行い、第1試合は矢板中央高が國學院栃木高に4-2で勝利した。昨年度全国4強の矢板中央は4年連続11回目の県制覇に王手をかけ、14日の決勝で宇都宮短大附高と対戦する。

 昨年度の選手権で同校の歴代最高タイの3位と躍進を遂げた矢板中央は、キャプテンDF坂本龍汰(3年)、エースFW多田圭佑(3年)、DF新倉礼偉(3年)、GK藤井陽登(2年)ら全国を経験した主力が残る。ただ、10月末の練習試合で坂本が鎖骨を骨折し、県予選は主将を欠く事態に。この日は先発のうち7人が2年生だったが、坂本がチームを鼓舞しつつ、ピッチ内では副キャプテンの新倉が声で、多田がゴールでチームを牽引した。

 前半6分、左サイド高い位置からDF島崎勝也(2年)が矢のような鋭いロングスローを入れ、MF大畑凜生(2年)が潰れると、こぼれ球に反応したのは多田。「狙っていなかった」という鮮やかなオーバーヘッド弾を突き刺し、幸先良く先制に成功した。

 さらに前半25分、矢板中央はCKの流れから攻撃を畳み掛け、MF星景虎(2年)がPA手前から強烈なミドルシュート。これは相手DFにクリアされたが、こぼれ球を島崎、新倉とつなぐと、MF唐橋玖生(2年)が反転右足シュートでネットを揺らし、2-0。対する國學院栃木はFW福村聖那(3年)が前半34分にPKを沈め、1点差で前半を折り返した。

 矢板中央はこれが今大会初失点となったが、後半立ち上がりに次の一点を奪う。後半2分、相手のパスミスを突いた多田が高い位置でボールを奪うと、飛び出したGKをかわして持ち上がり、無人のゴールに蹴り込んだ。エースが前後半の立ち上がりにネットを揺らし、今大会6得点目をマーク。矢板中央は3-1とリードを広げたものの、なかなかペースを握り切れない。

 ギャップにうまく潜り込み、短くパスをつなぐ國學院栃木が攻勢を強める中、スーパーゴールが飛び出した。後半17分、右CKのチャンスにMF吉田和(3年)が蹴り込んだクロスをDF今井舜介(3年)がフリックすると、MF齋藤大空(2年)が豪快な左足ボレーでゴールを射抜き、試合を見守る関係者をどよめかせた。

 再び1点差に追い上げた國學院栃木はギアを上げ、多彩な攻撃で攻め立てる。後半25分にFW鯉沼宏輔(2年)がフィニッシュに持ち込めば、後半31分には吉田のアーリークロスに齋藤が決定的なボレーで合わせるなど、同点のチャンスを次々に創出した。それでも、ブロックを敷いて耐え凌いだ矢板中央は後半アディショナルタイムに島崎のロングスローからDF小出勇翔(2年)が頭で押し込み、勝負あり。苦しみながらも要所を締めた王者が4-2で勝利し、4連覇に王手をかけた。

 矢板中央の高橋健二監督は「今年はコロナの影響で大会自体が中止になったり、活動ができなかったりした時期もありましたが、難しい状況でも粘り強く頑張ってくれた」と選手を労うと、一週間後の決勝に向けて「修正点はやはりディフェンスラインの連動、組織的な守備」と引き締めた。一方、國學院栃木の中田勇樹監督は「矢板中央を相手に自分たちがやりたいサッカーを表現してくれた。今年はこういう状況の中で、サッカーができることに感謝したい」と力を込めた。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2020

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