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日本代表オーストリア遠征メンバー発表 森保一監督・反町康治技術委員長オンライン会見要旨

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森保一監督(オンライン会議アプリ『Zoom』のスクリーンショット)

 日本サッカー協会(JFA)は5日、オンラインで記者会見を行い、オーストリア遠征に臨む日本代表メンバー24人を発表した。日本は13日にパナマ、17日にメキシコと対戦する。

 メンバー発表会見では森保一監督、反町康治技術委員長が1時間弱にわたって質疑に答えた。要旨は以下のとおり。

反町康治技術委員長
「ご存知のようにオーストリアがロックダウンという状況にあります。そうした状況下でありながら開催に尽力してくださったオーストリア政府、オーストリアサッカー協会、本当に感謝しております。また開催に向けて準備していただいた多くの方々、関係部署にも御礼申し上げたい。サッカーの試合は相手がいなければ成り立たないものであり、われわれの入国だけでなく、メキシコとパナマの入国にもご理解していただき感謝しております。今回の2試合を含めたオーストリア・グラーツでの合宿は当然代表強化はもちろんだが、先月の代表活動と同じように日本のスポーツ界への貢献も含めて、しっかり活動したい。先日、オーストリアのウィーンフィル交響管弦楽団が来日して活動することになったが、それと交差する形になり、われわれもスポーツを通じて皆さんに勇気を伝えたいと思っています。こうした状況下で開催するということは以前にも増して感染予防に十分注意を払いながらやっていくつもり。前回と同じくSmartAmp法で陰性を確認したのちにグラーツへ向かい、向こうでも試合前に必ずPCR検査をして、陰性を確認して活動していく。活動は当然JFAのガイドラインに従い、試合開催はUEFAのガイドラインに従ってやっていく」

関塚隆ナショナルチームダイレクター
「われわれサムライブルーは10月に続いて、今回は開催が危ぶまれた中で活動できること、関係者のご尽力に感謝したい。10月は1年ぶりの活動で、監督、現場スタッフ、選手、関係者の皆さん、本当にコロナの感染に注意しながら活動ができて本当に良かったと思っている。ヨーロッパの活動ができ、アフリカの2カ国と対戦でき、チームとしても個人としても成果と課題が出た10月だった。11月にオーストリアでパナマ、メキシコと戦えることは非常にチーム力を高められる。相手としても申し分ないと思っている。10月も入国に制限があった選手が何人かいたが、今回も感染予防対策から呼べない選手が出た。それはブレーメンの大迫(勇也)選手。彼はチームとしての制限が帰国後あるということで、今回は断念ということになった。また国内の選手も政府の制限が14日間あるため、今回も連れていくことはしないということを現場と調整しながら決定した。10月の帰国後、われわれスタッフも14日間の制限がかかった生活を10月30日まで送っていた。自宅、ホテル、仕事先と政府に提出した場所だけの移動先で不自由もあった。リストとしては国内の戦える選手、連れていきたい選手も現場から上がってきていたが、今回は見送りとなった。このメンバーで13日のパナマ戦、17日のメキシコ戦で成果を挙げた戦いをしていきたい。ご協力よろしくお願いします」

森保一監督
「今回もコロナ情勢で難しい中、オーストリアでわれわれ日本代表の活動に尽力していただいた全ての関係者に感謝申し上げたい。まだコロナ禍の中、活動も制限されると思うが、チームスタッフ・選手が安全に過ごせるように感染予防対策をしっかりしながら試合に向けてチーム力を上げていけるよう、コンディションを上げていけるよう最善の準備をしたい。今回もパナマ、メキシコという強豪と対戦することができ、われわれのレベルアップにつながる試合をさせていただけることに感謝申し上げたい。難しい試合になると思うが、2試合とも勝利を目指し、準備をすること、試合の中で最善の戦いをすることをチームとしてやっていければと思う。支援、応援してくださる方々に2試合とも勝利で笑顔になっていただき、喜んでいただけるようにしたい。戦う姿勢をチームとして団結力を持って皆さんに見ていただき、応援してくださる方々に励ましのエールとなるような戦いができれば。2試合とも日本での観戦が難しい時間帯になるが、少しでも多くの方々に日本代表の試合を、選手たちが頑張る姿を応援していだだければと思っている」

——(森保監督へ)今年最後の試合で、来年は予選が控えているが、いろんなことを確認する必要のある遠征になる。テーマは何か。
「日本代表は10月にオランダで活動し、2試合戦った中で、1試合目より2試合目ということで改善・修正をしながら戦った。オーストリアの2試合も、われわれが戦うベースとなることをより出していけるように確認をしていきたい。いつもベースから入るが、日本代表の活動は活動後に選手たちがいったん所属チームに戻ってプレーすることで、チームと代表との戦術の違いがある。選手たちが代表活動の中で、戦いの中で迷うことなく思い切ってプレーしていただけるようにベースを確認したい。試合では攻撃の部分で速攻と遅攻をよりクオリティー高く使い分け流ことをやっていきたいし、守備では個々の局面で一人ひとりがしっかりと勝っていくことを選手たちに意識してもらいながら、コレクティブに連係連動をできるように確認して試合に臨めればと思っている」

——(反町技術委員長へ)今回の感染対策について教えていただければ。
「スタンスとしてはJFAのガイドラインに従うので前回同様にしっかりやっていきたい。ホテルはまだ当然私は行っていないが、丘の上にあって外部との接触はほとんどないような状態になっていること。練習グラウンドまでは1.5kmくらいで、私みたいに体重が増えてきた人間にとってはちょうど走れというメッセージのような距離にある。2人のドクターがいるので、前回同様に体温を測ったり、感染予防のチェックシートを使ったりなど、こういう状況なので怠りなくやっていきたい。グラーツ市のほうからも観戦予防をやってほしいという話を聞いている。私はその点を十分に気をつけさせる立場なので、細心の注意を払ってやっていきたいと思っている」

——(反町技術委員長へ)グラーツから注意喚起があったのか。それとも感染対策があればいいと許可をもらったのか。
「後者のほう。許可するにあたって十分に注意してほしいと伺った」

——(森保監督へ)新たに加わった長友佑都、橋本拳人、浅野拓磨の招集理由は。また期待していることは。
「長友からいうと、試合の出場時間という部分ではまだまだ足りないところはあるが、チームの練習もしっかりやれている部分、コンディション的にも良い状態を保てているということで招集させてもらった。彼の実力はこれまでの経験の中で、コンディションさえよければ十分発揮してくれると思うので、そこは代表チームの練習をしっかりしたうえで試合に向けたコンディションを見ていければと思う。浅野はパルチザンでレギュラーとしてFW、2列目のサイドハーフ、いろんなポジションでプレーしているのを映像等々で確認している。本人もチームの中心として周りからの信頼を得ていると自覚してプレーしていると思う。そういったところを確認しながら代表の戦力になると思って招集した。橋本も今年移籍して初めてのシーズンということだが、違った環境の中でも適応してロシアリーグでロストフの一員としてレギュラーをほぼ掴んでいるというプレーをしてくれている。日常の活動を評価して今回の代表に招集した。3人ともすでに代表としての活動は一緒にしているので個々の実力、特長を代表活動で活かせるように準備していければ」

——(森保監督へ)長友の経験をどう捉えているか。
「長友の経験という部分では日本代表に活かせるところが非常に大きいと思うし、経験の浅い選手たちにとっては長友がプレーを持って背中で見せてくれるということ、言葉でいろいろな経験を伝えてくれるところが、他の選手の個々の成長につながっていく存在だと思っている。もちろん経験だけで代表招集、ポジションを与えるということはないので、本人には競争意識を持って、試合出場の権利を勝ち取ってもらえるようにしたい。ただこういったことは言わなくても、本人はいつもチャレンジする精神でいるし、誰にも負けないようにと練習から100%出してくれている。チームに活力を与えるようなコミュニケーションを取ってくれるので、今回の活動でも期待したい」

——(反町委員長へ)前回合宿のオランダから国が変わることの難しさは。
「なぜ場所を変えたかというと、単純にメキシコとのマッチメークが決まっていたので、メキシコがオランダに入れる状況ではないというのが大きな理由。われわれとしては勝手の知れたところでやりたいというのがあったが不可能になった。感染状況で受け入れてくれるところがあるか模索した中、オーストリアのグラーツが受け入れてくれた。オーストリアではロックダウンがあるくらいなので感染状況は他国と同様だと思っているが、この時期にパナマ対アメリカ、メキシコ対韓国、コスタリカ対カタールがあるので、北中米対アジアの試合もやっていて、スポーツに対する理解や受け入れてくれる体制があった。その中でさきほども言ったように万全の形で対応していきたい。そして強化の部分では代表活動が今年終わりになるので、3月の2次予選に向けて良い準備をしていきたい」

——(反町委員長へ)ウィーンでテロ事件があったが、代表チームでテロ対策は講じているか。
「皆さんご存知のようにテロというのは、準備しないところに起こるものだというのがまずある。国内でそういうことがあったというのは十分に認識しているが、移動手段として選手やスタッフは基本的にウィーンには行かないので、そこに一つリスク対策はあると感じている。またホテルでも外部との接触をしないので、あまり可能性は高くないと思っている。これに加えてできる範囲で気をつけてやっていかないといけないと感じている」

——(森保監督へ)前回の試合で出られなかった選手たちからポジティブな声が聞かれたが、選手に「横一線で競争だ」という声かけをしたのか。
「出場機会を得られない選手や、出場時間の短い選手たちがそういったコメントをしてくれるのは監督としてうれしいし、ありがたいこと。まずは選手たちには常に競争があると思っている。もちろんこれまでの実績や、われわれの活動の中でチームづくりをしてきた経緯はあるが、絶対的にポジションを約束されている選手は一人もいない。序列はあっても、その序列はこれまでの序列であって、これからの序列ではないというのを選手たちもわかってくれている。トレーニングの部分で単純に試合に出る人だけとか、招集している選手の中で一部の選手がしっかりトレーニングしてあとはサブ要員だとは考えていない。トレーニングでは全体が良いトレーニングをできるように、量的にもしっかりできるように活動しているところが選手たちにわかってもらえていればうれしい」

——(森保監督へ)ゲーム形式で入れ替えているのか。
「ゲーム形式で短い時間で入れ替えることはしていないが、メンバーを少し入れ替えながらやったり、システムを変えながらやったりすることで、選手たちにとって刺激になっているのかなとコメントを聞いていた思った」

——(森保監督へ)オランダ遠征ではクロスとアタッキングサードの精度を課題としていたが、新たに長友や浅野が加わった今回に向けての期待は。
「次のオーストリアの遠征2試合に向けての課題ということで、クロスの改善というところはやっていかなければいけないし、アタッキングサードでチャンスメークした中で最後に得点を挙げるという意味では、流れの中での得点がなかったので、より流れの中からチャンスを作って、得点につなげられればと思う。ただ、そこだけではなく、前回もカメルーン戦からコートジボワール戦へと戦う中で、マイボールを大切にしながらチャンスメークすることを大切にしようというのは今回のオーストリアでの戦いでも継続できるよう、勇気を持ってボールに関われるようにトレーニングしていきたい。さきほど言われたクロスの課題も改善し、ゲームで発揮できるようにトレーニングしたい。長友と浅野にはもちろん期待しているが、二人だけ攻撃に関わるわけではないので、GKのところや良い守備をして良い攻撃ということでチーム全員で共有しながら、よりレベルアップできればと思う」

——(森保監督へ)菅原由勢を連続招集した意図は。
「菅原に関しては厳しい言い方かもしれないが、前回の招集に関してはチームのレギュラーでない中で招集した。活動の中で刺激を持ってもらい、成長してもらい、自チームに帰ってから成長してもらえるようにということで、ヨーロッパで代表の活動するメリットとして経験の浅い彼を招集した。その中で彼は練習の中からどのポジションでもやれる、ちょっとでも上手くなりたいと練習に励んでくれたし、短い活動期間の中でも成長があったかなと思う。試合の出場に関しては経験で言うならば他に選択肢を持つことも考えられたが、彼は練習の時から左サイドでもプレーしているということで、あの状況の中で交代のカードとして使わせてもらった。自チームに帰ってからELや国内リーグでも試合に出ているし、ただレギュラーというところまではいっていない。今回の活動でも経験ある選手たちからたくさんの刺激を受けて、成長してもらい、彼の存在価値や商品価値を上げてもらいたいと思っている」

——(森保監督へ)五輪チームのコーチが帯同していないが、コーチ編成の意図は。
「前回はA代表や五輪年代の選手も多いチーム編成の中、いいコミュニケーションを図っていけるように、今後の活動につなげていけるように、10月の活動をトレーニングから効率高くやっていけるようにコーチ陣を編成していた。今回、川口能活GKコーチ、栗原克志コーチが帯同していないが、国内で視察等の活動をしていく。今回はヨーロッパでの活動になっているが、日本代表は国内、Jリーグがあっての日本代表だと思っているので、今後の活動に向けて選手の視察等、国内で情報収集をしてもらいたいということで二人に残ってもらった。また川口GKコーチはアカデミーのコーチも兼任しているので、その仕事もあるため今回の編成になった」

——(森保監督へ)ヨーロッパで活躍している選手の中に招集されていない選手もいるが、どのようなビジョンがあるか。
「招集できなかった選手がいるという部分は私自身も、スタッフのミーティングでも考えた上で今回の招集となった。招集できなかった選手に一人一人言及するのはここでは控えさせていただきたいが、われわれコーチングスタッフはリストアップしている選手は今回の招集以外でもまだまだいる。映像確認やチームとのコンタクトを取って情報収集している。来年になるが、W杯予選等々に臨むことをまずは考えながら準備しなければいけないし、今回また10月と11月でヨーロッパにいて招集できなかった力のある選手はいっぱいいる。これからまだ力をつけて代表に絡んでくるだろうという選手がたくさんいることは認識している中で、活動を見て来年以降に招集も考えていきたいと思っている。できればより多くの選手を招集させてもらって、選手同士のコミュニケーションを取ってもらって、チームに慣れてもらいたいが、いろんな選択肢がある中で何でもかんでもというより、選択肢を持っていい活動にしていきたい。またチームで結果を出し続けてくれている選手であれば、急に招集されても日本代表として絶対的に機能できると思うので、活動をしっかり通っていきたい」

——(森保監督へ)左サイドハーフのスペシャリストは原口元気しかいないが、あえて揃えずに2列目の選手として揃えてチャレンジしている理由は。
「あえてというほどでもないが、チーム活動を見ている中で選手がどういう状況にあるのか、どういうコンディションであるかは見ながら招集させてもらっている。いろんなシステム変更や組み合わせ、誰かが怪我をしたらどうするんだというのも含め、ポジションは左だけでなく他のポジションも考えている。いまの話で一人挙げると室屋(成)が直近の試合でハノーファーの左サイドもやっているし、これからのことを考えると、国内の選手も含めてそのポジションに入っていくことは考えられる。選手の状態を考えて招集したい」

——(森保監督へ)鈴木武蔵がベルギーで結果を出しているが、どのような成長が見られるか。
「彼に前回の活動では話したこと、やってほしいという部分ではまずは得点という結果を出すこと、得点に絡むという結果を出すということ。それと前線でボールに向かっていく仕事や、時には前線で潰れて味方につなげるプレーをしてほしいということで話をさせてもらった。実際にベルギーでは個のマッチアップが非常に多く、かなり激しいマークに遭いながらプレーしている中でも、彼が局面を突破していっていること、得点を挙げていることはわれわれも映像で確認している。本人がJリーグで、札幌でやっていたときのプレーをベースにしつつ、さらに個で局面を突破していくという幅を広げているなと思って見ている」

——(森保監督へ)浅野もストライカーで、よく知った選手だと思うが、最近の成長ぶりは。
「よりボールに向かって、得点にこだわりを持って貪欲にプレーしているのかなと思っているし、パルチザンでも周りの信頼を得てボールも集まっている。自らシュートに持って行く貪欲さと、状況判断をして周りを見てアシスト役にも回るということで、状況を見ながら貪欲にゴールに向かっていくプレーをしているのかなと思う。直近の試合でもトップとトップ下、そしてサイドに行ったりと、2トップならFW、1トップならトップ下、両サイドでもやっているなかで、プレーの幅を広げている」

——(反町委員長へ)メキシコと組んだ狙いは。
「メキシコとのマッチはかなり早い段階で決まったのが事実。メキシコ側から情報が漏れたので、日本の方々はたぶんお分かりいただいていたかもしれないが、FIFAランク11位でわれわれよりも強いチーム。オランダにいるときもメキシコとオランダの試合をテレビでも拝見したが、非常にスピーディーで個人の技術もあるという最高の相手だと思っている。もう一つのチームはいろいろ当たっていく中で選択した形になったが、パナマは10月にW杯常連のコスタリカと試合をして両方1-0で勝っている。監督もスペイン代表にもなった人が監督をしているくらいで、ここ最近頭角を表している。われわれにとって好敵手だと感じている。ヨーロッパで他の大陸との相手になるので前回と同じく拮抗した試合になると思うが、チームの課題と個人の課題を踏まえて、来年に向けた活動にプラスとなるようやっていきたい。こうしたロックダウンの中で大丈夫かと言われる方が多いと思うので繰り返すが、この時期にヨーロッパではネーションズリーグもあるけど中止とは聞いていない。ネーションズリーグの前に29試合の親善試合があるが、中止になっている例はない。オーストリアも含めヨーロッパはサッカーをビジネスと捉え、そういったことを許可してもらっている。しっかりと準備をして、健康と安全を最優先にした中で活動していきたい」

——(森保監督へ)メキシコとやれるチャンスをどう捉えているか。
「最高の相手だと思う。技術委員長が話してくれたので、私から喋ることはあまりないが、代表チームとして試合を組んでもらうにあたり、少しでも強いチームと試合をさせてほしいということをお願いしている。その中で世界のトップ、W杯の常連国で決勝トーナメントと常に上がれるようなチームと対戦できるのは、われわれの力を試すためにも、われわれがよりレベルアップするためにも最高だと思っている。メキシコは個々の技術レベルが非常に高く、チームとしての戦術においても非常にクオリティーが高い。なおかつクレバーに試合を戦っていきながら勝利を目指すチームだという印象を持っている。われわれもメキシコのように、常にワールドカップで決勝トーナメントに残り、チームとしての目標であるベスト8以上に行こうということでいま活動を続けている中、自分たちのいまの実力を測る面で、成果と課題をその試合で振り返って次に向かっていければ。ワールドカップでの経験値は相手が上かもしれないが、勝つために戦っていきたいし、勝って自信を深められるようにしたいと考えている」

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