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大社が立正大淞南とのPK戦を制して5年ぶりの選手権へ!“自信と勇気”でリベンジ達成、冬の大舞台で初戦勝利を

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大社が5年ぶりの選手権へ

[11.7 高校選手権島根県予選決勝 大社高 2-2(PK5-3)立正大淞南高 浜山運動公園陸上競技場]

 第99回全国高校サッカー選手権島根県予選決勝が11月7日に行われ、大社高立正大淞南高を2-2からのPK戦の末で下し、5年ぶり10回目の出場を決めた。

 午前中からの雨がキックオフ後も断続的に降り続ける中、立ち上がりから立正大淞南が前線への早い展開とセカンドボールの回収で押し気味に進めるが、先にスコアを動かしたのは大社だった。前半20分、敵陣で相手のクリアを拾ったFW高月昂輝(2年)が右サイドにスルーパス。タイミング良くスペースを突いて走り込んだMF島貫心(2年)が、飛び出してきた立正大淞南GK長野大河(2年)よりも早く左足で合わせてゴールに流し込んだ。

 その後も立正大淞南がパワフルにゴールに迫る展開は変わらないものの、大社は粘り強く守り、1点のリードを守ってハーフタイムを迎えると、後半11分に追加点を奪う。右CKからデザインされたトリックプレーでゴールに迫り、いったんはクリアされたものの、拾ったDF小川翔大(3年)が混戦の中から右足で蹴り込んだ。

 リードを広げた大社に対し、立正大淞南はさらに攻撃の圧力を強めるが、大社もキャプテンの藤田隆寛(3年)と小川のCBコンビや、GK飯塚統麻(3年)を中心に懸命の守りを見せる。24分には右サイドを抜け出したFW古山兼悟(3年)のセンタリングにMF井川真飛(2年)が飛び込むが、素早く詰めた飯塚のセーブに阻まれ、こぼれ球をMF吉田竜樹(3年)が狙ったが、ゴールの枠を外れた。

 だが、残り10分を切ってから立正大淞南が立て続けにゴールをこじ開ける。30分に吉田の右からのセンタリングを、ニアサイドに飛び込んだ古山がヘッドで合わせて1点差。さらに5分と表示された後半アディショナルタイム1分過ぎには、ゴール前の混戦のこぼれ球が左サイドに流れ、MF矢野佑介(3年)がヘディングシュート。大社守備陣も懸命にクリアしようとしたが、ボールがゴールに吸い込まれてオウンゴールとなった。

 2-2で迎えた10分ハーフの延長は、一気に逆転を狙う立正大淞南の勢いがさらに増した。大社は1点を返されたあたりから足がつる選手が増えており、苦しい状況が続きながらも懸命に耐え、カウンターで勝ち越しの機会をうかがうが、決めることができない。

 延長後半終了間際、立正大淞南はPK戦に備えて控えGK外嶋幸太郎(3年)が交代出場の準備を整え、タッチライン際で待っていた。だがプレーが途切れないまま迎えた後半アディショナルタイム、GK長野のロングキックから相手のクリアミスを突き、FW金坂捺(3年)がフリーで抜け出す。だが左足シュートは右に外れ、直後に試合終了の笛。結局、立正大淞南はGKを交代せずにPK戦に臨むことになった。

 そのPK戦は、後攻1人目の立正大淞南MF吉田がクロスバーの上に外して失敗。先攻の大社は1人目から全員が決めていくと、最後も5人目の藤田が確実に決め、5年ぶりの出場権を勝ち取った。

 大社は立正大淞南と対戦した昨年度の選手権予選決勝で、前半19分、35分に失点して主導権を奪われ、後半にも2失点して0-4の大敗を喫している。試合前のミーティングで「自信と勇気」というキーワードを伝えて選手を送り出した後長直樹監督は、「選手たちからも『去年の借りを返す』という言葉が出ていた。今年だけで勝ったわけではなく、去年の3年生の思い、経験も含めて勝つことができた」と喜んだ。

 次は全国での勝利がターゲットになる。大社が最後に選手権の全国大会で勝ったのは、3回目の出場だった1988年度の第67回大会で、以降6回の出場時はすべて初戦敗退。全国高校総体(インターハイ)ベスト8という全国での最高成績を踏まえ、藤田は「ベスト8を超えるという目標に向けて一つひとつ、しっかり戦っていきたい」と冬の大舞台を見据えていた。

(取材・文 石倉利英)
●【特設】高校選手権2020

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