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大手前高松が坂出商を1-0で破り連覇達成!! 積み上げてきた財産を活かし2度目の全国に挑む

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大手前高松高が2年連続2回目の選手権出場

[11.7 選手権香川県予選決勝 坂出商高 0-1 大手前高松高 Pikaraスタジアム]

 第99回全国高校サッカー選手権香川県予選は7日に決勝を行い、坂出商高大手前高松高が対戦。後半16分に奪ったMF正木浩輔(3年)の得点によって、大手前高松が勝利し、2年連続2回目の選手権出場を手にした。

 連覇を狙う大手前高松が最初に重点を置いたのは、守備の対応だ。「相手はボランチからの展開が、ポイントだと思っていた」川上暢之監督は、MF三谷歩夢(3年)、MF高畠隼人(3年)が組むダブルボランチ封じを指示。中盤で冷静に対応しながら、サイドに展開されても確実にボールを奪い取った結果、「自分たちのコートまで入られても、危ないシュートはなかったと思う」(川上監督)。

 攻撃では、中盤でのボールの奪い合いを回避し、ボールを持ったらシンプルに前方へボールを展開。「相手のSBが嫌がるプレーをしようと狙っていた」(GK三谷幸記、3年)通り、FW足立大和(3年)や、MF松田築(3年)と正木の両翼がサイドから見せ場を作った。前半5分には、自陣でのボール奪取から、正木が前方のスペースへとパス。飛び出した足立が倒され、FKを獲得とすると、DF馬場崎翔大(3年)が直接狙ったが、CKとなった。13分には左サイドのスローインから、足立がゴール前に進出したが、GK黒川裕介(3年)に阻まれ、CKに。馬場崎のキックは、直接ゴールネットに吸い込まれたが、ファウル判定となり、得点には至らなかった。以降も、大手前高松は相手エリアで試合を進めながら、正木のロングスローとセットプレーから1点を狙ったが、DF川瀧玲(3年)を中心に大会わずか1失点に留める坂出商の堅守を崩せず、前半を終えた。

 後半の入りは、坂出商に押し込まれる場面もあったが、「正直、前半のうちに1点が欲しかった。同時に、相手が場慣れてして勝負をしかけてくる後半の苦しい時間にどれだけ耐えられるかが大事だと練習から伝えていた」(三谷)。相手エースのFW久保槙一郎(3年)を落ち着いて抑えつつ、システムを4-2-2-2から、4-1-4-1に変更。高い位置での守備を狙いながら、足立のスプリントに頼っていたゴール前の作業に、シャドーの位置からサイドに飛び出す正木の動きを加えた。狙いは見事にハマり、後半15分には、正木が放ったロングスローのこぼれ球を松田がシュートも、右ポスト。馬場崎が詰めたが、GKに阻まれCKとなった。続く、16分には右サイドを抜け出した足立から中央の正木へとパス。ドリブルで右サイドに流れた正木がDFをかわして、上げたクロスが直接ゴールに吸い込まれた。このリードを守り切った大手前高松が勝利し、2年連続2回目の選手権出場を決めた。

 決して派手さはないが、手堅く勝利をもぎ取る姿からはチームとしての積み上げを感じる。初めて予選決勝への進出を果たした2018年度は、何もできずに0-2で敗戦。慌ててロングボール一辺倒になった反省を活かし、意図のあるサッカーを目指した昨年は、四国学院大香川西高にリベンジを果たし、初の選手権出場を果たした。今年の3年生にとって、決勝は晴れ舞台ではなく、慣れ親しんだ舞台。足立は「昨年と一昨年に決勝に経験している選手がいるから、変に昂らず良い緊張感と良い緩さが持てていた」と口にする。

 川上監督はこう続ける。「相手どここうより、自分たちの精神状況が昔の大手前高松とは変わった気がする。そわそわしているのが端から見ても分かる年代もあったけど、今年は場慣れさせてもらっているので、ピッチに立つ姿と気持ちが違った。外から指示してフォーメーションを変えようとしても、できない物はできない。先輩たちが負けながら気付いたこと、考えたことが、今に活きている」。

 経験値の積み重ねは、試合内容にもプラス効果を及ぼしている。「伸びているのは勝負強さとか押さえるポイント。守備の所も経験値が上がっているなと感じる。ボールの握り合いではなく、持たせても”抑えれば良いや”という我慢の仕方が上手になっている」(川上監督)。押し込みながら、リードを奪えなかった今日の展開でも、焦れずに勝利を引き寄せられたのはチームが積み上げてきた財産があったからだ。2度目の挑戦となる全国の舞台でも、財産は活きるはずで、昨年敗れた2回戦を超え、ベスト8を狙いに行く。

(取材・文 森田将義)
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