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[MOM3288]宮崎日大MF和田俊星(2年)_初優勝導いた完璧ボレー弾「何も考えずに振り抜きました」

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宮崎日大高MF和田俊星(2年)

[11.8 選手権宮崎県予選決勝 鵬翔高2-3宮崎日大高 ひなた宮崎県総合運動公園サッカー場]

 後半途中に投入された2年生アタッカーの完璧なボレーシュートが、宮崎の高校サッカー勢力図を変えた。「お前が全部持っていったやないか!」——。21年間続いた“二強体制”を崩すゴールを決めた宮崎日大高MF和田俊星(2年)は試合後、過去の悔しさを経験してきた先輩たちに囲まれながら手荒い祝福を受けていた。

 2-2で迎えた後半37分、試合を決める決勝点は美しく決まった。相手のクリアボールを拾った攻撃からMF岩下天虎(3年)のトリッキーなアウトサイドパスで攻撃のスイッチが入ると、ボールを受けたMF日野昴(3年)は最終ライン裏への浮き球パスを選択。これにいち早く反応した和田が豪快なダイレクトボレーでネットに突き刺した。

「スバルくんから絶対に良いボールが来ると信じていたので何も考えずに振り抜きました」(和田)。トラップでボールを落ち着ける選択肢もあったかもしれないが、自らのシュート技術を信じて放った一撃。ジョーカー起用を的中させた南光太監督も「思い切りの良い選手で、チャンスがあったら振り抜ける。ミート率がすごくて、結構ああいうのも決めるんですよ」と嬉しそうに語っていた。

 この日は後半23分から、可変システムの勘所である左サイドハーフでの出場。普段は最前線や右サイドを主戦場としており、大一番でのぶっつけ本番起用だった。それでも投入前、朝倉大志コーチから「思い切ってやってこい。裏に抜け出して決めてこい」と熱い言葉を受けていた和田。見事に指令どおりの形でゴールを決め、快挙の立役者となった。

 そんな和田は都城市の五十市中出身。大半のメンバーが付属校の宮崎日大中や県内外のクラブチームで育ってきた中、珍しい公立中体連からの加入だ。中学3年時はキャプテンを務めて母校を県3位に導いた後、県選抜で出会った宮崎日大の仲間や先輩からの刺激を受けて「一緒にプレーしたい」と憧れを持って進学してきたという。

 それでも、いまやチームに必要とされるジョーカーになった。FWソン・フンミン(トッテナム)を意識しているとの言葉どおり、持ち前のスピードとシュートのパンチ力は自他ともに認める武器。「ゴリゴリ行けるし、テクニックもある」という理想像を掲げる2年生アタッカーは、全国でも自身の武器を見せつける構えだ。

 自らが決勝戦で活躍して全国に導く姿は「全然想像していなかった」というが、和田はすでに次の舞台を見据えている。12月31日開幕の全国選手権に向けて「初戦からしっかり気を抜かずにやってベスト4に入りたい。埼玉スタジアムのグラウンドに立ちたい。3年生と少しでも一緒に長くプレーできるように頑張りたい」と躍進を誓った。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2020

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