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失点2分後に起死回生の同点弾…大阪出身の宮崎日大DF中川「全国に出るのが夢だった」

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宮崎日大高DF中川司(3年)

[11.8 選手権宮崎県予選決勝 鵬翔高2-3宮崎日大高 ひなた宮崎県総合運動公園サッカー場]

 2年生アタッカーの芸術的なボレーで初の全国切符を掴んだ宮崎日大高だったが、同点ゴールも決勝点と並び立つほどの価値があった。相手に勝ち越し点を献上したわずか2分後、チームの2点目はDF中川司(3年)が高い打点からのヘディングシュートで沈めた。

 宮崎日大は1-1で迎えた後半14分、左サイドからのクロスを右大外に通され、FW佐藤颯之介(2年)のゴールで失点。過去13度の優勝を誇る鵬翔高に逆転を許し、過去6回いずれも敗れてきた決勝の舞台で嫌なムードが漂い始めた。

 それでも2分後、1年生DFのキックから起死回生の一発が決まった。後半16分、右コーナーキックのキッカーを務めるDF石川大翔(1年)がインスイングのボールをファーサイドに送り込むと、大外から飛び込んだ中川がジャンピングヘッド。豪快に叩いたボールはふわりと浮いてファーのサイドネットギリギリに吸い込まれた。

「1-2で負けていて、ちょっと雰囲気も悪くなったところでコーナーキックになったので、蹴る前から『自分に上げろ』って言っていた」。ボールを呼び込んだ責任を背負ってのヘディングシュート。アシストした後輩にも「キッカーが良かったのであとは合わせるだけだった。キックの精度がすごい」と感謝した。

 中川は中学時代までを大阪府で過ごし、高校から出生地の宮崎に越境入学。「県外に行くなら宮崎にしようと思っていた」と振り返るDFが宮崎日大を選んだのきっかけは、2017年の全国中学校サッカー大会だった。付属校の宮崎日大中は1回戦で敗れたが、4連覇を果たした青森山田中に1-2の善戦。「サッカーをしていてずっと全国に出るのが夢だった」。そうした野望を抱いてやってきた九州の地で夢を実現させ、「ここで叶えられて良かった」と感慨を語った。

 高校卒業後は大学進学を予定しているが、第一線でのサッカー競技を続ける予定はないという。「経営者になりたい。自分の力で行けるところまで行って達成感がある仕事をしたいと思った」。商学部経営学科で学業に励みながら社会経験を積み、飲食店経営という夢に向かって進んでいくつもりだ。

 だからこそ、最後の大会に自身のサッカー人生のすべてをかける。中川は12月31日開幕の全国選手権に向けて「一日でもこのメンバーと長く試合をしたいし、長く続けられるように一戦一戦を大事にしていきたい」と意気込みを語った。

(取材・文 竹内達也)
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