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[MOM3297]履正社FW廣野大河(2年)_ 決定機逸するも「まだ終わっていない」。泥臭く決勝ゴール

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後半32分、履正社高FW廣野大河が決勝ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.7 選手権大阪府予選準決勝 阪南大高 2-3 履正社高 ヤンマー]

 挫けそうになった。それでも、諦めずにゴールを目指した。そして、泥臭くゴール。履正社高は後半30分に同点に追いつくと、さらに32分、FW廣野大河(2年)が勝ち越しゴールを奪った。

 MF池田喜晴(3年)が右後方から入れたロングボールをPAでジャンプして胸トラップ。DFの寄せも速く、背番号20はボールをキープしつつもピッチに尻をつくような形となった。明らかに体勢は崩れ、ボールロストしそうな状況。だが、「崩れながらやったけれど決めるだけでした」という廣野はここから強引に右足を振って見せる。

 ゴールへの執念を感じさせる一撃は阪南大高ゴールへ。廣野はFW神田拓海(3年)と抱擁した後、そのままタッチラインまで走り切り、飛び出してきたサブ組の輪の中へ飛び込んだ。「ただただ嬉しかったです。去年負けているところを見ていたので。嬉しかったです」。そのストライカーはわずか数分前に失望を味わっていた。

 1-1の後半24分、廣野は池田のスルーパスで右中間を抜け出す。だが、シュートはゴール右外へ。チームは直後に勝ち越しゴールを献上し、窮地に立たされた。「一本目来て外してしまって、その後すぐ失点して自分の中でも焦ってしまって。でも舩田君がしっかり決めてくれたので、先輩の背中を見たので、自分もまだ終わっていない、やらないと、と思ってやっていたらボールが来ました」。失点の4分後にCB舩田陸人(3年)が同点ヘッド。これで奮い立たされた廣野は、難易度の高い一撃でチームに歓喜をもたらした。

 平野直樹監督は後半12分に投入した廣野について、「彼は頭から出しても、後から出してもサッカー大好きでピッチに立ったら大暴れしてくれる。そういう選手がいるとこちらは使いやすいし、助かる。怖いもの知らずでやってくれる」と評する。今大会は初戦で先発し、2ゴール。先発する力も十分にあるが、指揮官は多彩なアタッカー陣の中で流れを変える存在として起用し、それに廣野は応えた。

「自分はあまり上手い方じゃないので、一生懸命やるのが平野先生に買われているのが分かっている。自分が決めるという試合は空回りしてしまうので、とりあえずチームのために自分がしっかりと貢献しようと思ってやっただけ」という廣野はがむしゃらな姿勢でボールを追い、相手の背後を狙った。そして、決勝ゴール。全国出場を懸けた決勝でも、出番を得た際には一生懸命、チームのために戦う。

後半32分、履正社高FW廣野大河が決勝ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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