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久保建英が見つめた課題「よかったらゴールだったね、よかったらアシストだったねと…」

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日本代表MF久保建英(ビジャレアル)

 前回のオランダ遠征から1か月余り、MF久保建英は所属先のビジャレアルで一定の結果を残し、再び日本代表の活動に戻ってきた。「勝ちにこだわって、もっと試合を優位に進められればベスト。しっかりギアを上げていければ」。代表でもこれまでと姿勢は変えず、新たな積み上げを続けていく構えだ。

 今季からビジャレアルで新たな挑戦を続けている久保は、ここまで公式戦全12試合に出場。新型コロナウイルスの影響で開幕が後ろ倒しとなったことに加え、UEFAヨーロッパリーグ(EL)も戦っているため未経験の過密日程を強いられている中、十分とは言えなくとも一定の出場時間を重ねている。

 そうした今季のスケジュールについて、久保は「始まりが押されたぶん、連戦になるのが早くなったりして、例年に比べてもタイトなスケジュールになっている。怪我人も出ているし、週2で試合があるチームにいる身としては、怪我にいっそう気をつけながらやっていくという去年までの自分になかった新しい課題もある」と新たな経験として受け止めているという。

 また試合数を重ねているだけでなく、出場時間も徐々に伸びている。10月のオランダ遠征までの期間は5試合で計55分(平均11分)というプレータイムだったが、オランダ遠征からここまでの間は7試合372分(平均53分)に増加。ELでは1ゴール3アシストという結果も残しており、「月単位で物事を考えたことはない」という久保だが、チーム内での存在感は着実に大きくなっていると言える。

 さらに、そうした戦いの中でも自身の課題を見つめ、乗り越えようとする姿勢を変えようとはしない。「いま一番気を付けているのは最後の質」。そう明かした久保は「試合で今日よくなかったなという試合はここまでないけど、自分のプレーを見ていると、ここよかったけど最後のここがよくなかったなということが1試合に何回かある状況」と自己分析している。

 具体的な場面は列挙しなかったものの、今月2日の第8節バジャドリー戦の後半39分にGKとの1対1を止められた場面などは象徴的だ。こうした課題を受けて久保は「よかったらゴールだったね、よかったらアシストだったねと言われることが多々あるので、それを『いまのよかったね』に変えられるようにラストパスだったり、シュートだったり、プレーの終わりを意識している」と自らの取り組みを仔細に述べた。

 コンディションに配慮しながら安定的に試合に出続け、試合で見えてきた課題と真摯に向き合い、一つひとつ乗り越えていく——。久保はこうしたルーティーンを真摯にこなすことによって、自身のキャリアを切り拓いていこうとしているようだ。

「今季ビジャレアルというリーグ内で格上のチームに行けたことがまず一つの結果だと思うし、それは昨季の実績が評価されたもの。ここからさらに今季も結果を残していくことでそれが実績となって、また来季というふうになる。サッカーは評価が単年で分かれているので、気を抜かず毎試合を大切にしていけばいい」。

 自身の現状をそのように見つめる久保だが、日本代表での活動もそうしたルーティーンの流れの中にある。この日、報道陣から代表とクラブの違いを問われて「代表とクラブは自分の中で全く別物だと思っている」と見解を示した久保は、次のように続けていた。

「代表はクラブでの毎日の積み重ねを出す場所だと思っていて、クラブは毎日取り組んでチームとして発揮していく場所。クラブでの自分の調子などいろんなものを持ち込んで、一発勝負で出していくのが代表。機会も代表の方が少ないし、そのぶんチャンスも少ないので、クラブでの日々の活動が代表につながる」。

 つまり、所属クラブで取り組んでいる「最後の質」の向上を代表チームで発揮できるのが理想的だ。「毎回選ばれたからには爪痕を残すことがまた選ばれるために必要だと思う。2試合ともチャンスがあればチームに貢献できれば」。次が久保にとって節目の10試合目、待望の初ゴールに期待がかかる。

(取材・文 竹内達也)

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