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東海大高輪台“初”のJリーガー。FW横山歩夢は選手権の悔しさも胸に努力続け、「活躍して先生たちに恩返ししたい」

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東海大高輪台高サッカー部から初のJリーガー誕生。快足FW横山歩夢松本山雅FC加入内定

 東京の強豪、東海大高輪台高サッカー部から初のJリーガー誕生だ。13日、松本山雅FCがFW横山歩夢(3年)の来季からの加入内定を発表。横浜FMユースでプレーしていたDF田代真一(現横浜FC)のように同校出身のJリーガーはいるものの、サッカー部からはJリーガー第1号となる。

 横山は「歴史あるチームで初となるんですけれども、自分の力だけでプロになれた訳ではないですし、(監督の)川島先生をはじめとする先生、コーチ、スタッフの方だったり、チームメート、親がいたからこそ、今の自分がいると思う。そういう周りの人に感謝して、感謝の気持ちを忘れずにJリーグでプレーしていきたい」と力を込めた。

 東海大高輪台はインターハイに2度出場した実績を持つ東京の強豪校。昨年は横山の活躍もあり、選手権予選決勝へ進出(準優勝)した。チームはインテリジェンスとテクニックを重視するスタイル。また、「サッカー以外の場所でも挨拶だったり、当たり前のことを当たり前にできるというのがとても大事だとやってきた」というチームで、横山は心技体全てを成長させてきた。

 FCトッカーノU-15時代は、先発で活躍していた選手ではない。東海大高輪台進学後も1年生チームでサブだったのだという。川島純一監督は「凄くこねるドリブラーで。最初はずっとBチーム。1年生の試合も出ていなかった。でも(自主練などで)そのこねるドリブルをひたすら練習していたんですよ。『この子はブレないんだな』と思いました」。努力を認められ、チャンスを得た横山はスピードの部分も急成長。ロングスプリントなども評価を高める要因となり、夏頃からトップチームに昇格した。

 すると「ここからぐぐっと来ました」(川島監督)。抜群のスピードを持つ一方、2年時もボールを収める部分などで苦戦していたが、MF藤井一志(現東海大)ら先輩に上手く使われる形で良さを発揮していく。そして、早生まれの横山は国体東京都選抜に選ばれたことでまた成長を加速させる。国体では、他のフィールドプレーヤー8人がFC東京U-18で残り1人も三菱養和SCユースの選手という構成の中で特長を表現。ミスも一際多かったが、それでもチャンスを作り続けていた。
 
 選手権予選でも主軸として活躍し、準優勝に貢献。今年は強豪との練習試合でもドリブルは止まらず、パンチのあるシュート、クロスでより存在感を放っていた。だが、有力な優勝候補として臨んだ選手権東京都予選は初戦で敗れてしまう。明中八王子高の激しい当たり、戦う姿勢を受ける形となってしまい、主力2人が負傷退場するアクシデントも。その中で横山はチャンスを作ったというが、終盤の失点によってまさかの初戦敗退を喫してしまった。

「去年決勝の舞台に行って、それでチーム全体としても行けるんじゃないかと心のどこかであったと思うし、1回戦で負けるとはみんな思っていなかったし。自分たちは全国だったり、先を見据えて練習してきていた。相手は自分たちを倒すためにやってきたと思うので。自分たちがもっと目の前の一戦一戦に集中すれば冷静になってやっていれば良かった。タラレバですけど」と唇を噛む。この悔しさはプロで活躍するためのエネルギーの一つにする。

「この悔しさを無駄にしないように日々練習していきたいですし、プロになってもこの悔しさを忘れることはないので、プロで活躍して先生たちに恩返ししたいと思います」と誓った。東海大高輪台“初”のJリーガーは学んだことを、今後も継続していく。そして、日々努力を続けて活躍し、必ず恩師たちに恩返しをする。

(取材・文 吉田太郎)
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