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静学倒して自信の藤枝明誠が決勝も3-0勝利!静岡制し、4年ぶりの全国へ!

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藤枝明誠高が4年ぶりの静岡制覇

[11.14 選手権静岡県予選決勝 東海大静岡翔洋高 0-3 藤枝明誠高 エコパ]

 準決勝で静学破った藤枝明誠が決勝も制す――。第99回全国高校サッカー選手権静岡県予選決勝が14日にエコパスタジアムで開催され、東海大静岡翔洋高藤枝明誠高が対戦。藤枝明誠が3-0で勝った。藤枝明誠は4年ぶり3回目の全国大会出場。先制点を挙げたMF賀茂大紀(3年)が大会最優秀選手に選出された。全国大会の組み合わせは11月16日に決まる。

 準決勝で昨年度の全国王者・静岡学園高を3-0で沈めた藤枝明誠と、静岡県Bリーグ所属ながら藤枝東高、常葉大橘高、浜松開誠館高とスーパープリンスリーグ東海勢を3連破した東海大翔洋との静岡ファイナル。前半は互いに慎重な戦いとなった。

 藤枝明誠は3バックを組んだ相手のサイドに狙いを定めた攻撃。左MF小林洸(3年)や左SB増田七翔(2年)が推進力ある動きを見せたほか、右サイドからのクロスで先制点を狙う。一方の東海大翔洋は「相手は前から来るチーム。相手の土俵でやりたくないのもあった。相手を後ろ向きにしようとやっていた」(太田恒治監督)と背後を狙った攻撃。相手の前からのディフェンスをかわそうとする。

 その東海大翔洋はGK安達丈瑠(3年)が好フィードを見せたほか、俊足FW市川舜基(2年)が背後を狙い続けていた。24分には右サイドからの崩しで決定機。MF大槻一馬(3年)のスルーパスで市川が抜け出すが、シュートは飛び出した藤枝明誠GK市川泰壱(3年)がストップする。

 ボールを繋ぎたい両校だが、勝負に徹した前半。その中でCB寺田昂弥(3年)が高さを発揮し、セカンドボールを賀茂らが回収する藤枝明誠が押し気味に試合を進めた。そしてショートカウンターからPAへ迫ったが、東海大翔洋はDF小林瑚(3年)がスライディングタックルを決めるなど決定打を打たせない。逆に前半アディショナルタイム、東海大翔洋はそれまでなかなか拾えていなかった敵陣でセカンドボールを回収。大槻が右足シュートへ持ち込む。

 前半は0-0で終了。ともに準決勝で3得点を挙げている後半、藤枝明誠が得意のセットプレーでスコアを動かす。13分、藤枝明誠は敵陣右サイドやや後方でFKを獲得。それまで相手GKが思い切り良く前に出て来ていたことから、キッカーのMF横山良唯(3年)はストレート系のボールを選択する。「あれが蹴れる選手」(松本安司監督)という横山の素晴らしいFKから、高身長の選手をおとりに中央へ走り込んだ173cmMF賀茂がヘディングシュート。静岡学園戦で2ゴールの守備的ボランチが決勝でも大仕事をしてのけた。

 追う展開となった東海大翔洋はボールを動かし、仕掛ける自分たちのスタイルが出始めていた。だが、次の1点を奪ったのも藤枝明誠だった。21分、賀茂のインターセプトからFW高野雷我(3年)が強引に中央突破し、左でサポートしたMF中山碧主将(3年)へ繋ぐ。中山は中央へ2つ持ち出してから右足一閃。このシュートがゴール右隅に突き刺さった。

 東海大翔洋はボールを握る時間こそ増やしたものの、藤枝明誠の距離感良い守りの前にPAへ潜り込むことができない。賀茂やCB野口楓真(2年)、右SB三輪昭太(3年)含めてハードワークを継続する相手の前に後半はシュートゼロ。藤枝明誠は松本監督が「全体の運動量と守備の集中力。これが全てだったと思います」と評したように、豊富な運動量と集中力によってほぼ隙の無い守備を続けた。

 そして後半アディショナルタイム2分、MF島尻智貴(3年)の右FKをファーサイドの寺田が折り返し、最後は中央の混戦から交代出場FW村松寛大(3年)が右足シュートを決めて3点目。勝負を決定づけた。

 藤枝明誠は準決勝で静岡学園を撃破。全国的にも大ニュースとなる勝利を果たした。それに浮かれなかった選手たち。中山は「まず一つの目標として全国王者に勝とうということをやってきたので良かったんですけれども、目指していたのは優勝だったので、(準決勝後に)『やっていることはブレずに優勝までやっていこう』という話はしました」と振り返る。

 怪我人や体調不良の選手もいたというが、「自信になったことはあの試合でたくさんあったので、準決勝と変わってきょうは前半からみんなが自信を持ってプレーできるようになったと思います」と中山。全国大会では静岡王者、「静学を倒したチーム」として注目を集めるだろうが、主将は「プレッシャーですけれども、自分たちは勝ったので自信を持って戦っていきたいです」と力を込めた。

 4年ぶりの静岡制覇について、松本監督は「選手に感謝しかないです」。4年前はFW遠野大弥(現福岡)やFW藤本一輝(現鹿屋体育大、大分内定)、MF丹羽一陽(現新潟経営大、八戸内定)を擁したが、東海大仰星高(大阪)に競り負け、初戦敗退に終わっている。それだけに、指揮官は「まずは一つめをしっかり戦いたい」。今大会、思うようにボールを繋げなかったことは反省点だが、守備堅く、ショートカウンター、セットプレーの強みもある。全国大会で第1シードとなる静岡王者はここからよりレベルを引き上げて、一戦必勝で選手権を勝ち抜く。 

(取材・文 吉田太郎)
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