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指揮官「アレがあるから相手は上がれない」…脅威与える山梨学院MF新井爽太の“武器”

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山梨学院高MF新井爽太(3年)

[11.14 選手権山梨県予選決勝 山梨学院2-1日本航空 中銀スタ]

 この日投じたスローインは10本を超えただろうか。そして、そのスローインが日本航空にどれだけのプレッシャーを与えただろうか。山梨学院高MF新井爽太(3年)のロングスローは、間違いなくチームの大きな武器だった。

 前半14分にロングスローの流れから先制点を献上した山梨学院。しかし、同19分、同様にロングスローの流れから同点に追い付く。驚きの飛距離を持つロングスローを放り込んだのが新井だった。

 中学生時代はボランチとしてプレー。しかし、山梨学院入学後に「運動量や球際の激しさを評価された」ことでサイドバックにコンバートされる。そこでチャンスをつかみ、トップチームに絡んだことで新たな道が開ける。「トップチームでは、3年生にロングスローを投げられる選手がいた」。見様見真似で投じていくうちに、飛距離は徐々に伸びていった。

 さらに「週一回ロングスローの練習をしたり、フィジカルトレーニングもした」ことや「体の使い方を考えた」ことで、ロングスローの飛距離は「ボールによってはファーサイドまで飛ばせる」までに。

 サイドハーフとして先発したこの日、ボールはニアサイド、もしくはゴール前までしか到達しなかったが、相手に脅威を与えるには十分。新井がロングスローを投じるたびに日本航空はゴール前に人数を割くこととなり、重心は自然と低い位置に。ゴールから相手を遠ざけることは、失点のリスクを軽減させてもいた。

 長谷川大監督も新井のロングスローがチームの大きな武器であることを認める。「相手の隙を突いていくことで、彼のロングスローする場所も相手の深い位置になっていく。そういう仕事も彼の役目なので、その意味で今日は十分に役目を果たしてくれた。相手はアレがあるから上がれないというのも、一つの狙い。うまくいったと思う」。

 新井自身は「足下で勝負したいところがある」と苦笑するが、プレースキックを任されている以上、指揮官や仲間が新井のキック精度にも信頼を置いているのは間違いないだろう。初となる選手権の舞台。「ロングスローは全国でも劣らないと思う」と胸を張ると、「ロングスローだけでなく、プレースキッカーもやっているので、セットプレーからアシストはしたい」と語ったように、全国でもゴールを導けるように自身の武器を磨いていく。

(取材・文 折戸岳彦)
●【特設】高校選手権2020

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